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第十二話「The Flying Stones」(7)
  さてシャワーを浴びてヒゲを剃り、用意された服を着ると、さすがに生き返った気分になった。機関員用らしいブルーのツナギは着古されてはいるが、洗濯は行き届いていて清潔だ。何よりちゃんとした『服』である。
 しかしこの無代という青年、何を着させても『微妙に似合わない』という変な特技を持っている。パリパリのタキシードも、それをボロ直しした半ズボンでも、野生そのままの毛皮マントでも、野暮ったいツナギであっても、どれも『微妙に似合わない』。
 つまり『全然似合っていない』わけではない、というところがミソである。
 集合場所である艦橋のドアをくぐった無代を待っていたのは、バークの心遣いだろう、小さなテーブルの上に用意されたサンドイッチだ。
 「翠嶺先生より、『先に食べていてよい』との御伝言です」
 無代に椅子を勧めたバークが、
 「ご婦人方は少々、お支度にお時間がかかるご様子で」
 と笑いながら、手ずから紅茶を注いでくれる。
 そういうことなら無代も遠慮せず、ありがたく頂戴する事にした。
 「無代さんは料理人でいらっしゃるとか。お口に合えば良いのですが」
 「ありがとう存じます。いえ口に合わないなど、とんでもございません」
 丁寧に紅茶の礼を言った無代が、食事を前に両手を合わせる。
 「ゲフェンで一番人気のパン屋『インプのかまど』のサンドイッチに、アユタヤ産の最高級茶葉『クルバル』の淹れたての紅茶。お貴族様の朝食と言っても恥ずかしくないメニューでございますよ」
 「?!」
 ぎょっとした顔でこちらを二度見するバークをよそに、無代はいただきます、と一礼し、ぱくぱくと食べ始める。
 「これは……どうも怖い人だ」
 「いえ提督様こそ。このお茶、本職も顔負けでございますよ」
 「どうぞ『バーク』と呼んで下さい。……いや、貴方にそう言われるとお世辞でも嬉しい。唯一の道楽でして」
 どうも無代、食い物の話から人と仲良くなるのが得意技らしい。
 「しかし無代さん、よく『クルバル』をご存知で。この大陸でも知る人は少ないはずですが」
 「昔、まだガキの頃に商売で、アユタヤのお貴族様の屋敷に出入りした経験がありまして。その折、いつも入り浸っていた厨房で憶えました」
 「なるほど。とは言っても、香りと色だけで分かるとは」
 「いえ実を言うとバークさん、分かるのはコレだけなのですよ」
 わっはっは。
 あっという間に年来の知己のように、お互いの話を弾ませる。
 よそ者がブリッジにいるせいだろう、少し緊張した雰囲気もあったクルー達の間にも、ほっとした空気が流れた。そこへバークが自ら淹れた紅茶を配ったものだから、ブリッジの雰囲気は一気にリラックスしたものになる。
 さてこのアーレィ・バークという男。
 元はジュノーに本社を置く官民一体の飛行船会社、その定期航路の船長を長く勤めたベテランという。それも初めて飛行船に乗ったのが十五歳というから、いわゆる『大学出のキャリア組』ではない。一番下っ端の『甲板磨き』から始め、働きながら勉強して資格試験を突破し航海士に、さらに船長にまで登り詰めた、いわゆる『叩き上げ』ということになる。
 「会社を定年退職する際に、翠嶺先生からお誘いをいただきましてね」
 賢者の塔が建造した新型飛行船、つまりこの『マグフォード』の専属船長として、再び空で働く機会を得たのだという。
 「翠嶺先生には若い頃から何かと目をかけていただきました。私にとって代え難い恩人です」
 そう語るバークの目が、まるで少年のようになる。あの不変の美貌と卓抜した知能を兼ね備えた戦前種に憧れ、敬いながら己の仕事を全うして来た男の目。それは多くのプロフェッショナルを見て来た無代の目にも、ひときわ好ましく映った。
 ブリッジの伝声管がじりり、と鳴る。
 「失礼」
 バークが席を立ち、伝声管に応答してすぐに戻って来る。
 「ご婦人方のお支度がお済みのようです」
 バークが居住まいを正し、無代は食べ終わった自分の食器を片付けると、席を退いて立ち上がった。
 少し間があって翠嶺、そしてD1がブリッジに現れると、艦橋のクルーの間から一斉に、声にならない感嘆が漏れる。
 シャワーを浴びて綺麗にブラシを入れた、エメラルドとルビーの二色の宝玉髪。その見事な輝きだけでも、機能優先で殺風景と言ってよいブリッジを、一気に別世界に変えてしまうには十分だ。
 「お待たせ」
 柔らかく挨拶する翠嶺の椅子をバークが、D1の椅子を無代が、それぞれ引いて座らせる。ちなみにホストであるバークが椅子を引いた席がこのテーブルの正席、つまり最も篤く遇されるべき客が座る席である。
 「無代、貴方もお座りなさい」
 席に着かず、一歩退いた位置に立つ無代を、翠嶺が呼ぶ。
 「お言葉ではございますが先生、手前の身分で皆様と御同席は……」
 「いいえ、許しません」
 許す、ではなく、許さない、と翠嶺は言う。
 「この件にはもはや特等席も、傍観席もありません。私たち全員の問題です。座りなさい」
 そう言われては断れるはずもない。入り口に最も近い、いわゆる下座を選んで座る。
 バークが新たに淹れた紅茶が行き渡り、ブリッジに漂うその独特の香りがさらに濃くなる。
 「翠嶺先生、ご指示がありました通り、先ほど乗員全員に再度の『BOT』検査を行いました。結果、問題はありません。ご安心下さい」
 「ありがとう、提督。この船ならまず大丈夫とは思うけれど、万一ということもある。事情はこれから説明します」
 翠嶺が優美な指で紅茶のカップを摘むのをきっかけに、テーブルの全員がそれぞれのカップを手にする。
 「さて。本題に入る前に、無代」
 「はい、先生?」
 翠嶺が紅茶を片手にちら、と視線を投げると、
 「貴方、『女たらし』なのですって?」
中の人 | 第十二話「The Flying Stones」 | 00:21 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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