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第十二話「The Flying Stones」(8)
  「いや……申し訳ない、無代さん」
 「いえバークさん、こちらこそ何をどう申し上げてよいやら……」
 何だか地味な感じで、しきりに謝り合う男二人。
 それをいたずらっぽい笑みで眺めながら、
 「あらあら。どうしたのかしら提督、貴方が紅茶を吹き出すなんて?」
 しれっと紅茶を喫するのは翠嶺だ。
 「先生……お戯れが過ぎます」
 部下に持って来させたタオルを無代に渡し、バークが苦い顔で翠嶺に苦言を呈する。
 「D1……アンタ先生に何を……」 
 一方『直撃』を食らった無代も、タオルで顔や身体をごしごしと拭く横目で、翠嶺の隣に座ったD1を恨みがましく睨む。
 睨まれている当のD1といえば、傍目には知らん顔を決め込んでいるものの、持った紅茶が細かく震えているのは明らかに笑いを堪えている証拠。この辺、びくともしない翠嶺とは『年期の差』らしい。
 「あら無代、D1に当たるのは筋違いじゃないかしら」
 「せ、先生……」
 「危ない所だったわ。私もうっかり引っかかる所でした」
 「引っかかる、って『何に』でございますか先生!?」
 さして広くない艦橋で繰り広げられる騒動だけに、無関係のクルー達の耳にも、嫌でも内容が筒抜けだ。全員が下を向いて笑いをこらえている。
 そんな『幕間狂言』はまあ置いておくとして、翠嶺、そしてD1の口から『カプラ社』と『BOT』の問題が語られ始めると、ブリッジの中は打って変わった緊張に包まれた。
 「これは……どうも由々しき事態ですな、翠嶺先生」
 さすがのバークも紅茶を飲む事さえ忘れ、ハンカチで額の汗を拭う。
 「そうね、提督。だけど恐れたり不安がったりしていても無意味です。持てる総力を挙げて対処していかなければ」
 「もちろんです。我が『マグフォード』とその乗員全員、いかなるご指示でも」
 他の人間が言ったら誇大になりそうな台詞だが、バークが言うとごく日常の、何でも無い事のように聞こえる。
 「ありがとう提督。とりあえず急ぐべきは、まず対王国レジスタンスのクローバー船長に連絡を取る事ね」
 「『対王国レジスタンス』?!」
 これに驚いたのは無代だ。
 「賢者様、そいつらはテロリストなのでは!?」
 D1も同じく驚きの声を上げる。
 だが詰め寄られた格好の翠嶺は、しかし落ち着いたものだ。
 「世間的には確かに『テロリスト』という事になるわね。だから貴方達の疑問は当然。だけど、実情はそう単純ではないのよ」
 つ、と紅茶をひと口。
 「ルーンミッドガッツ王国に反旗を翻す彼らは、あの国の政府から見れば確かに『テロリスト』。でも実質的に彼らを支援しているのは実はうちの国、つまりシュバルツバルド共和国政府なのよ」
 恐らくは国際的にもかなりヤバい話を、翠嶺はあっさりと明かす。
 そもそもルーンミッドガッツ王国とシュバルツバルド共和国、それにアルナベルツ法国を加えた『ミッドガルズ大陸三国』は、お互いに決して友好国ではない。むしろその建国時から衝突を繰り返す間柄で、それが大規模な戦争に発展したことも一度や二度ではないのだ。現在も表向きは治まって見えるが、裏では貿易だの国境だのを巡り、小さな火種を幾つも抱えている。
 「国家同士がお互いに『敵の敵』を支援するだの、その逆だの、まあお色々な事をしているわけ」
 「なるほど、いずこも複雑でございますねえ」
 無代だって子供ではないのだから、そう説明されれば理解はできる。
 「でも安心して。レジスタンス組織の中でも、私の言う『クローバー』という人物はまともな人間よ。私が保証するわ」
 「クローバー殿なら、自分もよく存じ上げています」
 静かに口を挟んだのはバークだ。
 「戦闘指揮を含めた戦士としての経験と実力、人物、いずれも信頼に足る方です。自分からも保証をいたしましょう」
 この2人にダブルで保証されて、無代やD1に反駁の余地があろうはずもない。
 「加えてクローバーの操る飛空艇・ヤスイチ号は『戦前機械(オリジナルマシン)』。この地上であれに対抗できるものはほとんどないはずです。そうね、もしできるとしたら『この私』と……」
 翠嶺がなぜかバークの方にちらり、と視線を走らせる。バークの表情、態度に変化はない。
 「……ま、とにかくあれが味方になれば、まず無敵でしょう」
 にっ、と笑う。
 実物を見た事のない無代達には実感が湧かないが、翠嶺の言葉だけに信じるしかない。
 ただ繰り返すが、その頼みのヤスイチ号とクローバー達が今、どういう状況にあるのかを、この時の彼らは知らない。同時に、レジスタンスのトップであるプロイス・キーンが今や、敵のはずのルーンミッドガッツ王国の秘密組織『ウロボロス6』を襲名し、ヤスイチ号と同等かそれ以上の力を持つ戦前機械『セロ』を有して野望に燃えている、その事も知らない。
 「さっき送った手紙に、賢者の塔からレジスタンス本部へ連絡するよう書いておいた。時間的にはヤスイチ号も、もう本部へ帰っているはず。連絡さえ行けば、すぐ来てくれるでしょう」
 翠嶺の言葉にしかし、バークは少し首をひねり、
 「いえ先生、少し時間がかかるかもしれません」
 冷静に指摘する。
 「今の時間ですと定期便の飛行船も出払っていますので、レジスタンスの本部がある浮遊岩塊『リグロー』への連絡手段は、ジュノーからの伝書鳩しかありません。しかも悪い事に『リグロー』の位置は今、首都ジュノーを中心に本船のちょうど反対側です」
 「あら」
 翠嶺が顔をしかめる。『リグロー』とはヤスイチ号の母港。クローバーが一時捕われ、仲間のヴィフ、ハナコと共に脱出したあの浮遊岩塊の事らしい。
 「少しは運が向いて来たかと思ったけど、なかなかそう上手くは行かないわね……。まだ囚われたままのカプラ嬢達も救出しなければいけないのに」
 「その事ですが先生」
 女性2人が食事を済ませるのを見計らい、バークが若い副官を呼び寄せる。テーブルの上が片付けられ、そこに大きな地図が広げられた。シュバルツバルド共和国、それもジュノー周辺を拡大した、詳細な地形図だ。
 「カプラ嬢の皆さんが捕われているという浮遊岩塊、それを特定しておきたいのですが、よろしいですか?」
 無代とD1を交互に見ながら、伸縮式の指揮棒を手にしたバークが地図を指す。もちろん、誰からも異論は出ない。
 「無代さんとD1のお二人が落下したという湖『シュピーゲル湖』がここです。落ちる途中で激突したという尖った山『ブライシュティフト山』がここ。そして現在の本船の位置がここになります」
 とん、とん、と指揮棒の先が動く。
 「さて、ご存知の通りこのジュノー空域には、大小含めて実に2万個に及ぶ岩塊が浮遊しています。これはジュノーにある戦前機械(オリジナルマシン)『ユミルの心臓』が引き起こす重力異常によるものです」

 『ユミルの心臓』。

 それは太古、シュバルツバルド共和国に存在していたという超古代文明が残したオーバーテクノロジーだ。詳細については同国の国家機密とされ、ほとんど明らかになっていない。が、その威力を如実に示す一つの事実がある。
 シュバルツバルド共和国の首都・ジュノー。
 数十万の人口を誇り、同国の大統領府が置かれ、そして翠嶺が所属する賢者の塔『セージキャッスル』をも擁する世界有数の大都市。だがこの都市を有名にしているのは、そんなデーターとはまったく別の事だ。
 その都市は、空に浮いている。
 世界にたった1つしかない『浮遊都市・ジュノー』。それは地上1800メートルの空中に、基礎となる巨大な岩盤ごと浮遊しているのだ。
 ちなみに『空中都市』としてはもう一つ『コンロン』が知られているが、これは『浮いている』のではなく、異世界である神仙界からこちらの世界へ『はみ出している』という表現が正しい。
 これに対し純粋に空中に浮かんでいるジュノーは、風で移動してしまわないよう巨大な鎖を使って山脈の頂上に繋がれ、そこに橋をかけて地上と行き来する、というダイナミック極まりない都市計画で成り立っている。
 そしてこのジュノーを空に浮かせる浮遊力場、その原動力こそが『ユミルの心臓』。この事実だけで、その想像を絶する力を誇示するには十分と言えるだろう。
 しかもこの浮遊力場は都市を浮かせるに止まらず、ジュノーを中心とする半径50キロの範囲に影響を及ぼし、てのひらサイズから数百メートル級まで、大小さまざまの浮遊岩塊を大量に浮かばせている。
 『ケタ違いのパワー』とはまさにこの事だった。
 「ですが、それらの岩塊は決して無秩序に浮いているわけではないのです」
 バークが副官に目配せすると、机の上に広げられた地図の上に重ねるようにもう一枚、地図と同じ大きさの透明なシートが広げられた。シートには様々な矢印やエリアが書き込まれ、下の地図と参照出来るようになっている。
 「これはジュノー空域の主な浮遊岩塊の、向こう1ヶ月に渡る予想移動経路を示したものです。賢者の塔の皆さんによる長年の観測と研究により、ジュノー空域の風の向きと強さから、浮遊岩塊の動きをある程度把握できるようになっています」
 バークが改めて、無代とD1が落下した湖を指し、
 「お二人が湖に落下したのは昨日のお昼ごろ、それに間違いはありませんか?」
 「間違いありません、バーク船長」
 D1がはっきりと答える。
 「結構です、D1」
 バークがうなずく。
 「ではもう一つ。幽閉されていた岩塊の大きさと形を教えて頂きたい」
 「形はひょうたん、もしくは落花生を歪にしたようで、大きさは長い方が500メートル、幅は狭い所で200メートルほどだったかと」
 これは無代が答えた。
 「ではその岩塊の周囲に、他に大きな岩塊はありましたか?」
 「いや、ありませんでした。あっても小さなものばかりで、あの付近ではその岩塊が抜きん出て大きかった」
 「結構です、無代さん」
 バークがもう一度うなずくと、副官、つづいて艦橋のクルー達を見回す。
 全員が軽くうなずいた。どうやらその情報で、はっきりと意見が揃ったらしい。
 「『イトカワ』」
 はっきりと、バークがその名を口にした。 
中の人 | 第十二話「The Flying Stones」 | 00:22 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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