04
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
--
>>
<<
--
RECOMMEND
RECENT COMMENT
MOBILE
qrcode
OTHERS
(c)
このページ内における「ラグナロクオンライン」から転載された全てのコンテンツの著作権につきましては、運営元であるガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社と開発元である株式会社Gravity並びに原作者であるリー・ミョンジン氏に帰属します。 © Gravity Co., Ltd. & LeeMyoungJin(studio DTDS) All rights reserved. © 2010 GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved. なお、当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。 当ページは、「ラグナロクオンライン」公式サイトhttp://www.ragnarokonline.jp/(または、ガンホーゲームズhttp://www.gungho.jp/)の画像(またはテキスト)を利用しております。
ro
ブログランキング
にほんブログ村 ゲームブログ ラグナロクオンラインへ にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
ブログランキング
LATEST ENTRY
CATEGORY
ARCHIVE
LINKS
PROFILE
SEARCH
<< 第十三話 『Exodus Joker』(1) | top | 第十三話 「Exodus Joker」 (3) >>
第十三話 「Exodus Joker」 (2)
  (うへぇ……我がリーダー閣下、ご機嫌最悪ときたもんだ)

 流とプロイスの緊迫したやりとりを部屋の隅で聞きながら、『アクト=ウィンド』は肩をすくめた。
 大して信じてもいない神様にちょっとだけ平安を祈り、ついでに内心で二、三度『くわばら』を呟く。
 彼、アクト=ウィンドは、流と共に『セロ』に乗り込んだウロボロス4・タートルチームの精鋭『タートルコア』の一員だ。
 プロイスが翠嶺を連れて訪れた部屋には、実は流の部下たちも一緒に、こうして軟禁状態にあった。
 とはいえご覧の通り、リーダーたる流の存在感が有り余るほどありすぎるため、彼ら『その他大勢』は誰からも注目されていない。
 もっとも当の彼らはそれを幸い、交代で組み手の訓練をしたり、魔法系のメンバーは瞑想や高速詠唱の鍛錬に励んだりと、それぞれが好き勝手に過ごしていた。
 部屋はちょうど大人数用の船員室らしく、かなりの広さがあってスペースに不自由はない。隅にはベッドも置かれており、呆れた事にその上にひっくり返って居眠りをしている者までいる。
 『軟禁』と言う以上、当然のように武器や装備はもちろん、魔法を使うための触媒など消耗品のたぐいも残らず取り上げられている。一方で、恐らくは負傷者か患者用と思われる薄いブルーの簡易着を与えられているのだが、そこはタートルチームの精鋭。男も女も鍛え抜かれた身体と不敵な面構えの持ち主ばかりのため、患者というよりは囚人の群れ、それもかなりの凶悪犯揃い、というヤバめの印象は否めない。
 (いいとこ『独立愚連隊』だよな)
 自分のことは棚に上げ、アクトは内心で苦笑いする。
 さて、このアクトという男、タートルチームには数少ない上級職業『プロフェッサー』である。そして名字から分かるように『ウィンド』『ファイア』『アース』『ウォーター』の4家からなる、通称『エレメンタル』の一族だ。
 Gv、すなわち『ギルド戦』での傭兵を生業とする異色の一族、あの『エレメンタル』である。
 さて、ここで言う『ギルド戦』とは、ルーンミッドガッツ大陸のあちこちに建てられた『砦』と呼ばれる施設を週末ごとに奪い合う、いわば模擬戦争ゲームのことを言うのだが、ただこれを一口に『ゲーム』と片付けてしまうのは少々、語弊があった。
 なにせこの砦は、それぞれの内部に所有者だけが入れる専用の高レベルダンジョンを有し、また他では手に入らない特殊なアイテムをも産出する。この恵みがもたらす利益は非常に巨大で、例えば複数の砦を長期に渡って保有する大ギルドともなれば、経済的にも軍事的にもちょっとした『国』に匹敵する勢力を有する。
 『エレメンタル』の4家は、そのGvの世界に根を下ろすプロの傭兵集団だ。
 砦を巡る攻防を知り尽くす一方、特定のGvギルドはもちろん国家にも、魔術師ギルドや賢者の塔にすら属さず、ただ報酬のみと引き換えにゲームに参加する。ギルド戦に特化された独自の戦闘技術や魔法の技も、一族の中だけで伝承し磨き上げるという徹底した排他性は、公式にはギルド戦における中立を保つため、とされている。
 だが、これにはもう一つの噂もあった。

 『遥か大昔にこのギルド戦を創設し、今も主催し続けているのは、実はエレメンタルの連中だ』

 という。
 もちろんエレメンタル自身はそれを認めていないし、語る事すらないのだが……。
 まあそれはさておき、常にギルド戦の最前線で戦う彼らは、排他的と言いつつも最新のスキルや戦法を学び吸収する必要性から、例外的に『ウロボロス4』にだけは人間を送り込んでいた。
 そして今回、4家の主席を勤める『ウィンド』家、その三男坊であるアクトにそのお鉢が回って来た、というわけだ。
  ウィンド家の当主、そしてエレメンタルの筆頭でもあるアクトの父は、
 『ウロボロスを仕切る4の魔女、マグダレーナ・フォン・ラウムにコネがあって損はないからな』
 そう言って彼を『ウロボロス4』に送り出した。そしてその際、こう付け加えている。
 『もしあそこで『アマツの一条』を名乗る男に会ったら、そいつを気にしておけ。ひょっとしてお前の運命が変わるかもしれん』
 普段から寡黙一辺倒で、実の息子にもめったにアドバイスなどしない父だったから、アクトは驚いて詳細を聞き返したが、それ以上のことは教えてくれなかった。
 そう言えばこの父も自身、先代『ウロボロス4』の参加者だったはずだ。そして本来なら家督を継げない次男坊でありながら、『ウロボロス4』から生還するや否や、生業のギルド戦で次々に大きな戦功を上げ、とうとう長男を追い落として当主の座に就いた、という過去を持っている。
 だからアクトも『ウロボロス4』へ来て最初の顔合わせで、『アマツ・瑞波の一条流』と名乗る巨漢を目の当たりにした時は、
 (……おいおい、マジでいたぜ。親父殿よ)
 と本気で驚いたものだ。
 だがそれ以上に驚かされたのは、様子見のつもりで偽名を使ってその巨漢に挨拶し、握手を求めた時だ。巨漢は差し出されたアクトの手を取ろうともせず、まっすぐに彼の目を見つめ返すと、
 「地水火風のどれだ、貴様?」
 と、いきなり訊いてきたのだ。
 後に聞いたところでは、流の方もまた義父の一条鉄から、
 『あそこで『アマツの一条』を名乗って、もし向こうから声をかけて来るヤツがいたら捕まえとけ。十中八九、そいつはエレメンタルだ。連中にゃオレの現役時代、ちょいと貸しもある』
 と聞いていたのだという。こうなっては隠す理由もない。流とアクトがそれぞれの持つ情報を交換し、
 「なるほどな。大体読めた」
 流がそう呟くのに時間はかからなかった。
 恐らくアクトの父は、先代の『ウロボロス4』で流の義父・鉄と出会い、ギルド戦の新戦法を伝授されたのだ。
 「正確には義父の鉄ではなく、オレの実父・一条銀が考案したものだろう。昔、父の書庫でそれらしい書き付けを見た記憶がある」
 流の父、そして一条家の先代当主でもある銀の『メモ魔』は有名だ。そして城に残された彼の書庫には今も、その手の文書が山と積まれている。流は少年時代から、暇さえあればその書庫に入り浸り、父の遺した文書を読みあさったものだ。
 『お前の父が取った戦略とは、ひょっとしてこういうものではなかったか?』
 流がアクトの前で、砦の一つを自ら図面に起こし、その上で兵を動かして見せた。攻め方、退き方、そして何よりも砦の地形を最大限に生かした物資と人員の補給、その効率の高さに特徴がある。
 そしてそれはまさに、アクトの父が一族の中に持ち込み、Gvにおけるエレメンタルの戦い方を一変させたそれに間違いなかった。
 アクトが呆然と頷くのへ、しかし流は嬉しそうでもなく、
 『ふん。だが、オレならこうだな』
 図面上でもう一度最初から、新たに兵を動かして見せる。
 (……速い!?)
 眼前で展開されているのは単なる机上の模擬戦だ。しかしアクトは、自分が息を飲んでいることを自覚した。
 流が紙の上で取った戦略は、彼の父が取ったそれよりも三割近くも侵攻が速い。しかも相手がどれほど固く守ろうとも確実にその防衛に穴を穿ち、一気に突破して砦を陥落させてしまう。
 「凄いな」
 素直にそう呟いたアクトに、流は今度こそにやり、と笑うと、
 「ただし、戦費が3倍ほどかかるが」
 「ぶはっ」
 アクトは吹き出すと、それは傭兵にとっちゃ一番痛い、と苦笑いを返す。そして改めて流に本名を告げて握手を求め、今度こそ流の巨大な手で握り返されたのだった。
 以来、彼は流の直下、『タートルコア』の最初の一人となって付き従っている。
 アクトのような、派手さこそないが豊富な才能と経験に裏打ちされた『職人プロフェッサー』が、戦の最前線を支えるのに不可欠な駒だ、と知らぬ流ではない。
 「『ウロボロス4』が終わったら、エレメンタルに戻らずオレの国へ、瑞波へ来い」
 流からかなり真剣にそう誘われ、最初は笑って断っていたものの、最近では、
 (それも面白いかもな……)
 と真面目に思い始めたアクトだ。
 運命が変わるかも、という父の言葉を今更ながら実感する。『一条』の名を持つこの巨漢はまさに、人の運命を力づくでねじ曲げ、全く違う次元へ誘う力を持っているのだ。
 だがそんなアクトさえ、今の状況はさすがに理解を超えていると言わざるをえない。
 なにせ『ウロボロス4』の主宰、マグダレーナ・フォン・ラウムその人を裏切る格好で捕虜にし、それを手みやげにして敵の船に乗り込んでいるのだ。
 それもただの船ではない。遥か聖戦の時代、この世界とは違う世界からやってきた驚異の飛空戦艦『セロ』、その土手っ腹の中ときている。
 (……俺の運命とやら、いくらなんでも変わり過ぎだぜ、親父殿よ)
 アクトが苦笑いと共に、内心で父親にボヤくのも無理はないと言えよう。

 思い起こせば、あの夜。

 『ウロボロス4』を脱走した元コンドルリーダー、テムドール・クライテンを追ってリヒタルゼンに侵入しようとした流たちは、待ち受けていた『セロ』の襲撃を受けた。
 主宰のマグダレーナが『セロ』に敗れ、部隊も壊滅状態となる中、流とタートルコアの面々は倒れたマグダレーナを麻痺武器で捕縛。そのまま本隊を離れ、敵船である『セロ』に招き入れられたのだ。
 あれから数日、流と彼らタートルコアの面々は、ずっと『セロ』の船内にいる。捕縛されたマグダレーナと、彼女の親衛隊『月影魔女』達も、別室ではあるが同じ船内に囚われているはずだ。
 流はプロイスに対し、自分たちを早く組織の本部へ連れて行くよう申し入れているが、まだ実現していない。
 それどころか、彼らに対する扱いはマグダレーナ一派に対するものと同じ、事実上『捕虜』のままだ。
 まあ、流がいくら『ウロボロス4』を裏切りました、そしてこちらの組織に寝返りました、と言っても、すぐに信じてもらえるわけはないから、これは仕方のない面もある。流だって同じ状況なら、まず信用などしないだろう。
 とはいえプロイスの彼らに対する態度には、それ以上の悪感情が含まれているように思われる。
 『恐らくこの組織の中で主導権争いがある。プロイスはそのために、マグダレーナを捕らえた手柄を独占したいのだ』
 流はそう分析する。
 考えてみれば、ルーンミッドガッツ王国の裏をシメる最強の女傑・マグダレーナを倒す、という大手柄を立てたのはプロイスと『セロ』だ。なのに最終的に彼女を捕縛したのは流とタートルコアの面々。
 『このままオレ達を本部に連れて行けば、手柄を横取りされると思っているのだろう。それで機嫌がわるいのだよ、あの男は』
 流はそう結論づけた。そしてそれはほぼ正解である。
 『だがマグダレーナの身柄は、今やルーンミッドガッツ王国に対しての絶大な取引材料だ。一刻も早く本拠地で戦略を固め、王国から何らかの利益を引き出すのが最良の手段だろうに。個人の手柄のために組織全体の足を引っ張るとはな。下らん。実に下らん』
 流は見るも忌々しげな仏頂面で、そうアクトに吐き出したものだ。
 だが、それにも増して流の御機嫌を損ねたのが、何を隠そうプロイスが『セロ』を操るその指揮ぶりだった。
 船の性能に頼り切り、まるで玩具のように見せびらかすその幼稚なやり口には、
 『豚に真珠、いや気違いに刃物だ!』
 と、本気で額に青筋を立てている。
 だから『セロ』が『マグフォード』を襲ったあの戦いの際にも、
 『気分が悪い』
 と見ようともせず、おもむろに上着を脱いで半裸になり、日課となっている身体の鍛錬を始めてしまった。しかも、
 『アクト、お前が見て実況しろ』
 無茶振りがきた。
中の人 | 第十三話 「Exodus Joker」 | 12:17 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment









Trackback
URL: