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第十三話 「Exodus Joker」 (9)
 
 浮遊岩塊『イトカワ』。

 全長約500メートル、幅約200メートル。色気の欠片もない灰色の花崗岩を主体とする、やや歪んだ皮付き落花生のような形をした大型岩塊である。
 飛行船の定期航路から大きく離れ、地上からも見上げる者はほとんどいない辺境の空に浮かぶ、極めてマイナーな岩塊。
 ……のはずが、ある事件をきっかけに一躍有名となった理由こそ他でもない、カプラ嬢達を幽閉する『空の牢獄』としてだったことは、物言わぬ岩の塊にとってさえも、さぞ迷惑な話であったろう。
 時刻はやや戻り、『マグフォード』が『イトカワ』の危機を視認する少し前。
 今は、シュバルツバルドの空を渡る風が、殺風景な岩肌の上をただ吹き抜けてゆくだけだ。
 さて、巨大な岩塊のちょうど真ん中、落花生で言えばくびれの辺りに、カプラ嬢達が身を寄せる岩穴が掘られている。共に囚われた無代の提案で、『イトカワ』に持ち込むことができたわずかな武器と、身につけた強力な破壊スキルを駆使し、硬い岩盤を丸一日かけてくり抜いた待避壕だ。
 まず垂直に深さ10メートルほどの縦穴を掘り、そこから今度は水平に横穴を掘って居住用の空間を作ってある。これは居住区への荒風の侵入を防ぎつつ、縦穴付近で火を焚くことで換気も行える工夫である。
 その縦穴へ真っすぐに差し込む陽の光に、すっ、と一つの影が落ちた。きびきびとした動きと、引き締まった長身のシルエット。
 「『チーム・グラリス』、全員外へ来て」
 穴の中へと響いたその声。

 カプラ・グラリスNo1、師範上弓術師(マスター・スナイパー)。
 名は『ルフール・シジェン』。ジュノーにおいて、無代にその翼を貸した武装鷹・灰雷(ハイライ)の本来のマスターであり、『鷹カプラ』の異名を取る名鷹師であることは、読者もご承知の通りである。

 現役カプラ嬢の中で最年長に近い(いささか余計だが、いわゆる『アラフォー』だ)彼女は、その物に動じない冷静な性格もあって、全カプラ嬢から高い信頼を得ている。特にこの『イトカワ』に幽閉されて以降は、カプラの頂点であるディフォルテーNo1ことD1がその役目を果たせなかったこともあり、『あくまで仮』と言いつつも、カプラ嬢達のリーダー役を引き受けていた。
 「相談がある。急いで」
 飾り気のないシンプルな言葉だけを残し、縦穴に落ちた影も消える。その態度は無愛想と言えば無愛想だが、自らの立つべき場所、するべき事がちゃんと分かっている大人の頼もしさが滲む。
 その声に応え、洞窟の居住区に座り込んでいたカプラ嬢達の中から一人、二人、四人、十人と、カプラ服に身を包んだ女性達が次々に立ち上がった。
 全員が艶のある赤銅色のロングヘア。カプラ服の肩に『螺旋(スパイラル)』の刺繍を持たない『無螺旋(ノースパイラル)』。そして何よりも特徴的なのが、その『眼鏡』。
 カプラ嬢の中でも異色のメンバーを揃えた教導師範部隊、『チーム・グラリス』の面々だ。
 ところで『外へ来い』と言われたが、洞窟と外をつなぐ縦穴の深さは既出の通り10メートル。岩壁に溝を刻んで簡素な梯子を作ってはあるが、そうそう気軽に上り下りできるものではない。
 しかし。
 「お先ネ〜!」
 一人の『グラリス』が軽い声を上げ、穴の底でひょい、とかがみ込むと。
 「『ノピティギ』!」
 瞬間、その身体がひゅーん! と、まるで空から吊り上げられたかのように跳躍、10メートルの高さを軽々とクリアして穴の外へ消える。
 そしてそれが合図。
 見上げるような高さの垂直の岩壁を、ある者は足でとん、とんと蹴ってゴム鞠のように、ある者は梯子も使わず蜘蛛か蜥蜴のようにするすると登って行く。常識的に岩の梯子を使う者も多いが、いずれの『グラリス』も身のこなしは軽快で、高さを恐れたりモタついたりする様子はない。
 まあ中には、
 「えー、登れっての、これ?!」
 などと頬っぺたを膨らませる者もいるけれど。
 「こういうの、自分でよじ上るとかあり得ないんですけど、アタシぐらいになれば」
 カプラ嬢にしてはずいぶんと小柄で細身の身体。しかし目と表情に悪戯っ娘そのものの生命力をたたえた『グラリス』。

 グラリスNo2、師範優魔術師(マスター・ハイウィザード)。
 名を『綾恵(アヤメ)』という。

 魔術都市ゲフェンに本拠を構える名門魔術師一家、それも祖母、曾祖母までも同じカプラ・グラリスで師範を勤めたというパリっパリのエリート一族の長女。
 『優秀な魔術師さえいれば、他の職業なんかオマケ』という鉄の信念に支えられたその性格ときたら、自尊心は山より高く、自制心は海より低い。
 要するに典型的な魔術師気質だ。
 「ねー、抱っこして登ってよ、G10」
 自己中心的な台詞を吐きつつ後ろを振り返る。その格好にしても普通に首を横に捻るのではなく、なぜかわざわざ身体をびよーん、と仰け反らせ、首を真後ろに倒す謎ポーズ。人にモノを頼む態度とか、そういう類いの気遣いが頭からすっぽり抜け落ちているらしい。
 「いや、申し訳ないが魔術師殿、それはお断りせねばならない」
 対して、まるで女性劇団の男役を思わせる、びん、と張りのある声で拒絶したのは、小柄な魔術師とは対照的に長身・大柄の『グラリス』。

 グラリスNo10、師範貴騎士(マスター・ロードナイト)。
 名を『オウカ・ラピエサージュ』。

 ルーンミッドガッツ王国貴族の、これまた名門中の名門ラピエサージュ家の末娘。ちなみに正式には『オウカ』と『ラピエサージュ』の間に、先祖から受け継いだ由緒ある名前だの幼名だの愛称だの、実に10個以上のミドルネームが挟まっている。
 幼い頃からちょっと行き過ぎなほどの騎士道を叩き込まれて育ち、史上最年少となる20歳の若さで『グラリス』の師範騎士枠を襲名した。これは、そのほとんどが20代後半以上、40代だって珍しくない『グラリスチーム』においては異例の若さである。
 頭のてっぺんから踵の先まで、身体に鋼の芯材でも入っているかのような見事な『騎士立ち』。その風格は男性騎士に混じっても全く見劣りしないどころか、堂々たる肩幅や逞しい腰、そして圧倒的な胸の豊かさの分、むしろ勝って見えるだろう。あのアマツ・瑞波国は一条家の長女、綾もかくやの威風である。
 「それに魔術師殿、自分はちゃんと知っていますよ。貴女なら登れる。そもそも貴女ほどの魔術師が、この程度の岩壁に手こずるなどありえないことだ」
 これ、別に嫌みでもなければ揶揄でもない、正々堂々の本音である。魔法の実力と岩壁登りにどんな関係があるのか、それは彼女にしか分からない謎ではあるが。
 「加えて、自分には他に使命があります。G7を連れて登らなければならない」
 そう言うと、側にいた別の『グラリス』を力強く、しかし優しくその腕に抱き上げ、岩の梯子に取り付く。
 「ありがとう、G10。迷惑をかけるわ」
 長身のG10ロードナイトに抱かれて礼を言う、ではこの『グラリス』がG7。

 グラリスNo7・師範創成師(マスター・クリエイター)。
 名は『アロエ・ヘルバール』。

 長年の研究によって得た高い知識や技術、そして名声と引き換えに、慢性的な薬害で視力のほとんどを失っているこのクリエイターにとって、自力でこの壁を登るのは確かに困難だろう。それにしても、体重が軽めとはいえ立派な成人女性であるG7クリエイターを片手で、しかも軽々と抱き上げておいて、残った片手と両足だけで悠々と岩の梯子を登る女騎士の力強さときたら。
 だがその勇姿を見上げながら、不満タラタラなのはG2ハイウィザード。
 「えー、ケチ。じゃG9お願い。聖騎士様!」

 「ん? ああ、いいぞ?」
 諦めの悪いG2ハイウィザードのワガママを軽く請け負った、これも長身・戦士体型の『グラリス』。ロードナイトに劣らない見事な体躯だが、年齢はずっと年上(重ねて失礼だがアラサーだ)の女パラディン。

 グラリスNo9、師範聖騎士(マスター・パラディン)。
 『屡姫斗(ルキト)』。

 誰もが知るその壮絶な戦歴、そしてグラリス襲名に至るまでのエピソードは後に譲るとして、こちらも軽々とG2ハイウィザードを抱き上げる。
 そしていったんぐぐっ、と『左足』を軸にして地面にしゃがんだと見るや、
 「いっせーの、ほいっ!!」
 小柄な魔術師の身体を、縦穴の上へ向かって思い切り放り上げたではないか。
 「え?! ちょ!? ぉぉぉおおお?!」
 いきなり予想外の事態に、G2ハイウィザードが悲鳴を上げながら真上にすっ飛んでいく。そしてその姿が穴の上で見えなくなった、と思ったら、
 「っ痛ったあああ!! おい何すんだごるぁああ!!」
 盛大な抗議が穴の上から降って来たところをみると、どうも着地し損なってお尻かどこかをぶつけたらしい。
 しかしいくら小柄とはいえ、人間一人を10メートルの高さまで投げ上げる、このG9パラディンの力こそ明らかに尋常ではない。ではパラディンという職業にそんな怪力のスキルがあるかと言えば、そんなモノも知られていない。
 「さっすがパラちゃん力持ち! じゃ一丁、あちきもヨロシクでやんす〜」
 ひらりん、と舞うような仕草、そして妙な言葉づかいでG9パラディンにすり寄った、こちらは手足がすらりと長く、加えて目・鼻・口といった顔のパーツがそれぞれくっきりと大きい、何とも特徴的な容貌の『グラリス』。

 グラリスNo6、師範歌舞師(マスター・ジプシー)
 名は『祇王(ギオウ)』。

 こちらもグラリス襲名に至る過程に有名なエピソードを持つ、当代随一の歌唄い。この世で出せない声はない、といわれる七色の声音の一つ、飼い主にすり寄る猫のような、甘く柔らかい声を典雅に響かせる。
 「ねえ、プリちゃんプリちゃん? キリエちょうだいな、キリエ?」
 「よかろう。『キリエ・エレイソン』」
 ジプシーのリクエストに応えてバリアーの魔法『キリエ・エレイソン』を贈った、これも当然『グラリス』だ。
 戦士系のメンバーと同様の男言葉に加え、その風貌がまた異様。
 徹底的に訓練された猟犬を思わせる厳しい顔つき、そしてグラリスのトレードマークでもある眼鏡、その片目をまるで眼帯のように黒ガラスに換えてあるのだ。
 一見すると歴戦の傭兵教官のような、ひどくストイックなルックス。
 そして呪文の詠唱が目を見張るほどに速い。当然、効果も折り紙付き。

 グラリスNo4、師範上僧正(マスター・ハイプリースト)。
 名を『アキラ・スカーレット』。
 
 アルナベルツ法皇庁直轄の威力機関『聖鎚連(せいついれん)』。その容赦ない信仰と暴力で、若くしてその副隊長に上り詰めた猛者が彼女だ。
 しかし異教国家であるルーンミッドガッツ王国との戦いで捕虜となり、拷問の末に片目を失って以降は一転、治療や後方支援を主とする後衛スタイルに転向。戦地医療・支援の専門家として数多くの戦場を渡り歩き、ここでも准枢機卿候補に名が挙がるほどの成果を叩き出した。
 スタイルこそ後衛に転じたが、一切の妥協を許さない信仰と厳しい修行は不変であり、そこから実現する治癒・支援魔法の凄まじさは他の追従を許さない。『イトカワ』から飛び下りた無代とD1がギリギリ生存できたのも、彼女が直前に贈った防御呪文の恩恵あってこそ。今、ジプシーの身体を包む魔法のバリアなど、その力から言えばほんのお遊びだ。
 「っせーの、ほいっ!」
 再びパラディンの身体が沈み、その『左足』が床を蹴る。
 「うっひょおおお!!」
 剽軽そのものの嬌声を張り上げ、ジプシーの身体が宙を舞う。そして縦穴の上に消えたと見るや、カーン!というバリアの接触音。
 「あー! ズルい! ズルいい!!」
 響くのはG2ハイウィザードの不平不満。どうやら自分の失敗を踏み台に、後に続いたジプシーがちゃっかり無傷なのが気に入らないらしい。
 「あひゃっひゃ〜♪ 渦(うず)ちゃん、人柱ご苦労様でやんす〜♪」
 「ぐぬぬぬぬ!!」
 この穴の上の喧噪には、穴の底に残った聖騎士も苦笑い。ちなみに『渦』とはウィザードの略称『ウィズ』をもじった愛称で、上位職であるハイウィザードは『廃渦(はいうず)』などと言ったりもする。
 「さてシスター、御身も放り上げて差し上げようか?」
 歴戦の戦場尼僧である隻眼のグラリスを『シスター』呼ばわりは、同じ聖職系である女聖騎士ならではの洒落だ。
 だがこの2人、同じ聖職系とは言っても仰ぐ神を異にする、いわゆる異教徒同士。それどころか、お互い敵陣同士で相対した過去すらある。
 「……いや、遠慮しておく」
 だが隻眼のハイプリーストは聖騎士に怒るでもなく、だが笑いもせずに応えた。
 「代わりに『これ』を頼む、G9」
中の人 | 第十三話 「Exodus Joker」 | 12:24 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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