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第十五話 Crescent scythe(3)
 「おっけー、ココでいい。ココで敵を待ち伏せする」
  静がそう宣言し、鳥車の屋根から地面へと飛び降りた。頭に巻いた真っ白いターバンの端をなびかせ、ひらり、と着地する。ごろごろと拳大の岩が転がる、およそ歩きやすいとは言えない岩砂漠だが、静にかかればまっ平らの石畳と変わらないらしい。
 鳥車を追っていた敵の前衛はとっくに蹴散らされ、あちらやそちらの地面に転々と散らばっている。ろくな戦力もない鳥車を、待ち伏せの陣まで追い込むための小部隊だったのが災いした。いやまあ例えこの10倍の人数がいたとしても、静が率いる異能の一団の前では鎧袖一触だったろうが。
 静が腰の銀狼丸を、すぱっ、と抜き放ち、地面に垂直に突き立てておいて、刃に片耳を当てる。
 しばし。
 「……本体到着まで、あと5分。数は500。全員徒歩」
 銀狼丸を引き抜き、ポケットに入れた布切れで拭っておいて鞘に収める。先程から、やたらと腕をぐるぐる回したり、とんとん、と踵を鳴らすのは、新しい衣服の具合を調整するためだ。
 「何着せても似合うねえ、お頭」
 殲滅士・アサシンクロスのうきが、鳥車の屋根からニヤニヤと茶化す。
 「ほめても何も出ないよ」
 そちらを見もせず、ひらひらと手をふる静だが、口元には笑い。案外、まんざらでもないらしい。
 マリン=スフィアーが静のために用意した(というか奪い取られた)新しい衣服は、鳥車の荷台に積んであった予備の神官服と、あと幾つかのオプションだ。
 まず神官服は膝丈のフードチュニック、まあフード付きのワンピースみたいなものと思えばよい。通常、神官は下着の上にこれを被って、ウエストをベルトで締めるだけだが、騎鳥ペコペコに乗る時だけ下半身に袴をはく決まりだ。これに、素足の上から膝まで編み上げるサンダルをはく。
 今の静が、まさにその装いである。ただしフードだけは、
 「うっとおしい」
 の一言でざっくり切り取られ、哀れ銀狼丸の『刀拭き』に格下げ。
 髪の毛は、うきが、
 「せっかく綺麗なのに、そのままじゃ痛む」
 と、モロク風にターバンで巻いてくれた。あまり厚巻きにせず、かつ髪を顔の両側に一房ずつ垂らすのがオシャレポイント。うき、アサシンクロスという職業の割に女子力が高い。
 で、腰のベルトに銀狼丸を帯びれば、ちょっとした異国風の美戦士が一丁上がりである。なお、隠し武器の小柄もいくつか、ちゃんと仕込んであるのが静らしい。
 食事も、既に済ませた。
 鳥車には水も、食料も十分に積んである。が、さすがに料理をしているヒマはないので、保存食を齧っただけだ。
 「……なにこれ?」
 食料だと渡されたビスケット大の丸い塊を、静は初めて見るらしく、首をかしげてくんくん、と匂いをかぐ。
 「『金剛焼き』ってのよ、お頭。ものすげー硬いから、こっちの木槌で砕いて小さくしてから、飴みたいに舐めて食べ……」
 
 ぼりっ!!!
 
 うきの説明がまだ途中だというのに、あり得ない破壊音。
 
 ぼりっ! ぼりっ!! ばりばりぼぉりぶぉり!!!

 「あ、なるほど。噛んでると甘くなるねえ」
 平気な顔で静。もぐもぐと動く口の中からは、およそ姫君にあるまじき破壊音がボリボリバリバリ。『下手に齧ると歯が折れる』とは、あの王国秘密機関『ウロボロス4』の金剛僧・ヨシアの言葉だが(第九話「金剛不壊」参照)、それを平然と自前の歯で噛み砕くとは、もはや健康優良児の域を超えている。
 「……色々ありえねー、この姫様」
 うきが呆れたように肩をすくめる。
 いや、このうきにしても、『魔剣醒し』フールにしても、『終末の獣』速水厚志にしても、世間的に見ればたいがい非常識な存在のはずが、この姫様の前では、意外と常識的な存在になったような錯覚にさえ陥る。いや、やっていることといえば、ただ飯を食っているだけなのだが。
 装備を整え、飲食を提供する。これでマリンと、静の間で交わされた雇用条件は満たされた。
 「あとは契約通り、この鳥車と『中身』を目的地へ送り届ける。それでいいわね?」
 静がマリンに確認し、マリンがうなずく。
 といってもマリン自身、決してこの成り行きに納得はしていない。追手の第一陣を、文字通り蹴散らした静たちの実力は認めざるをえないが、それにしても彼女らの正体が不明にすぎた。
 隠形を自在に操る超一流のアサシンクロスだけでも要警戒だというのに、加えて三大魔剣を目覚めたまま駆るロードナイトときた。装備・アイテムの専門家であるマリンならでは、『人間の苦痛を糧とする』魔剣を目覚めたまま使う、それが何を意味するのか手に取るように分かる。
 さらにオマケに、この世のあらゆるモンスターへと変身する能力を持つプリーストと来ては、文字通り悪い夢でも見ているのかと、真剣に頬をつねりたい気分である。
 そして、そんな異能の一団を顎で指揮する、若く美しい女剣士。
 (まるでお伽話の冒険譚だ)
 徹底した現実主義者のマリンでさえ、そんな幻想にひたりそうになる。
 しかも静たちには、他にも『連れ』がいた。2人の、美少年と言ってもいいそっくりの双子だ。
 ただし2人とも『魂を抜かれたように』表情がなく、ただ静やうきの支持に従って歩き、食い、座る。ただそれだけ。
 「余計な詮索はしない」
 静がマリンにクギを刺す。
 「その代わり、こちらも鳥車の『中身』については詮索しない。それでいいよね?」
 条件を出しているようで、一切の有無を言わさぬ声音に、マリンもうなずくしかない。結局、マリンが納得しようがしまいが、今は静たちに頼るより他に手立てがないのも事実だった。
 「ちょっと待った。『全員徒歩』ってどういうのよ? 騎士いないの?」
 うきが静に問いただす。確かに、第一陣はペコペコ騎乗の騎士を中心に構成されていた。なのに本隊が全員徒歩、というのは不審である。
 だがその疑問に答えたのは静ではなく、マリンだった。
 「全員、僧侶神官だからよ」
 憂鬱を絵に描いたような顔で、マリンは言った。僧侶、すなわちプリーストは騎鳥ペコペコに乗れないので『徒歩』は納得だ。しかし、となると別の疑問も湧く。
 そもそも僧侶は戦闘職ではない。
 ただ一つの例外を除いては。
 「あ……ヤな予感」
 マリンの言葉を聞いたうきが、ぎゅっと眉を寄せる。
 「それってまさか……アレ?」
 うきの抽象的な問いに、マリンの答は具体的。
 「『聖槌連(せいついれん)』」
 「やっぱし」
 あちゃあ、と、うきが片手で目を覆う。
 「せーついれん?」
 初耳らしい静が貴騎士・フールと目を合わせ、
 「フール、知ってる?」
 「名前だけは」
 フールが答える。
 『魔剣醒まし』フール。少年時代、『BOT』技術によって他人と魂を入れ替えられ、その副作用で痛みを感じない身体にされた青年騎士。その重い運命の果てに静と出会い、過酷な戦いをくぐり抜けた彼は、以前と変わらず寡黙ではあったが、今はどこか清々しささえ感じさせる。
 例えるなら、激しい破壊の嵐の前で一度は荒れ果てた庭園に、素朴だが美しい野の花が咲き乱れ、青い空から吹き下ろす自由な風に揺れている、そんな心象風景がふさわしいだろうか。
 「アルナベルツ法国の法皇猊下直属の威力機関。ルーンミッドガッツ王国の教会直属『弔銃部隊』に匹敵するという精鋭集団だとか」
 「んで、全員がハイプリースト。ゴッつい『殴り』のね」
 フールの解説を、うきが補完する。
 『殴り』とは、プリーストのタイプを示す隠語だ。本来、回復や支援を主任務とするプリーストの中で、その肉体と腕力を鍛え上げ、戦闘職として戦う者たちを『殴り』、あるいは『殴りプリ』という。戒律によって刃物を持てず、杖や棍でぶん殴るから『殴り』だ。
 読者の皆様には、瑞波一条家筆頭御側役・善鬼という格好のモデルを紹介するだけで十分であろう。
 味方の攻撃・防御力を強化する補助魔法、傷を癒やす治癒魔法の全てを『自分』に使って戦う彼らは、時に専業の騎士や聖騎士を凌駕する戦力となりうる。
 アルナベルツ法国の『聖槌連』は、その代表格でもあった。
 「やりたくねーなー。アイツらしぶといんだよなー」
 「遅いし」
 まるで彼らと戦ったことがあるかのようにボヤくうきを、静がばっさり。その言葉通り、岩だらけの荒野の向こうから、土煙を蹴立てた一団がこちらへ向かってくる。移動速度をアップする『速度増加』の魔法を使っているらしく、その姿はみるみる大きくなる。
 ぼりっ!!
 静が最後の金剛焼きを噛み砕き、革の水筒から水をあおって飲み下す。そしてもう一口だけ水を口に含み、銀狼丸を鞘ごとぐいっ、と抜いて柄を口元へ。
 ふっ!
 革紐が巻かれた柄に水しぶき。刀身と柄を固定する『目釘』と呼ばれる木の軸に、一定の水を含ませることで粘りを上げる。『目釘を湿す』がこれだ。
 「『相手にとって不足なし』ってことでしょ、要するにさ」
 ぐい、と銀狼丸を腰に戻す。
 戦闘準備完了。
 
 「じゃ、とっとと片付けよっか」

 つづく
 
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中の人 | 第十五話「Crescent scythe」 | 13:55 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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