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第十五話 Crescent scythe(5)
  ガラガラガラガラドスン!!!!
 岩山を囲む急斜面が一気に崩壊し、一抱えもあるような岩塊が無数に、それこそ雪崩を打って『聖槌連』を押し流した。
 
 モンスタースキル「アースクエイク」。
 
 『地震』の名からも分かる通り、地面に強力な衝撃波を発生させ、周囲にあるものを破壊してしまう地系の広域魔法である。その威力は『足の下から巨人の拳でぶん殴られたような』と形容され、特殊な防具を身につけるか、それこそ宙に浮いてでもいない限り、人間であればほとんど即死を免れない。中途半端にボスに挑んだ冒険者が、一度は必ず全滅を経験する『凶スキル』としても知られている。
 もしこれを人類が自由に使えるならば、あらゆる戦術戦略を書き換える必要があるとまで言われる絶技だが、幸か不幸か現状ではモンスターだけ、それもごく一握りの『ボス』と呼ばれるモンスターだけにしか使えない。
 あの聖戦から千年、モンスターや神々が使役するスキルの多くが人類によって解析され、現代ではほとんど誰でも、修行さえ積めば行使が可能となっている。かのグラリスNo2・G2ハイウィザードのような高位の術者ともなれば、ボスにも匹敵する破壊力を叩き出すことも容易だ。
 だがそんな中でも、未だに人類の解析の及ばない、どうやっても使えないスキルもいくつか存在する。
 解析・研究しようにも、使えるモンスターが極少数しか生息していなかったり、あまりに強すぎて研究どころではなかったり、スキルの発動構造が複雑すぎてチンプンカンプンだったり、といった理由が主な原因である。
 中でもこの『アースクエイク』は別格とされ、『いない・つよい・わかんない』の三拍子がそろった『研究者泣かせ』として有名。現場の術者達からは解析が熱望されていながら、いまだ誰ひとりとして解析の糸口すらつかめていない、まさに幻のスキルなのだ。
 さしも精強を誇る『聖槌連』が、ほとんど一撃で壊滅的なダメージを受けたのも、だから無理もない話だった。
 彼らとて国軍精鋭にふさわしく、たとえ『アースクエイク』の一撃であろうが、少なくとも即死しないだけの防具を身につけていたし、鍛錬も積んでいる。
 ただ、あまりにも『地の利』が無さすぎた。
 「!!!!……!!!」
 重装甲に身を包んだ屈強のハイプリースト達が、雪崩を打って襲いかかる岩に吹き飛ばされ、押しつぶされ、ねじ切られて埋まっていく。『アースクエイク』の威力をまともに食らい、大ダメージを受けていた身体では、逃げるも耐えるもままならない。
 風化が進んでもろくなった急斜面の岩山、それ自体が兵器と化しては、さしもの精鋭もなすすべがなかった。
 「せーつい何とか、敗れたりっ!!」
 敵の名前すらちゃんと覚えてない静が、オークロード=速水厚志の肩の上で早々と勝どきを上げる。
 数にも戦力にも勝る『聖槌連』を迎え撃つのに、この岩山の頂上を選んだのは彼女だ。そのために、変身した速水にわざわざ鳥車を担ぎ上げさせ、わざわざ目立つようにど真ん中に据えておいた。
 本来、高所に陣取った敵を攻めるは不利であり、罠にも注意が必要である。
 だが静は、うきやフールから聞いた『聖槌連』の情報だけで、
 「警戒せず、一気にくる」
 と読んだ。彼らが有する騎士級の重装甲と、防御・強化・治癒・蘇生の魔法群を自在に駆使する特殊能力。
 そこから導き出されるのは、敵の計略や小細工を正面から押しつぶしてしまう『制覇力』だ。
 敵がどんな場所にどんな陣形を張ろうが、どんな罠を仕掛けようが関係ない。ただ一心に神の神名を唱えながら真正面から突入し、攻撃は魔法で跳ね返す。罠で死者が出れば、周囲の誰かが即座に蘇生させ、ものの数秒で『新品同様』に回復させて再び攻める。
 斬ろうが突こうが死なず、防ごうとも防ぎきれぬ、暴風か津波のような『災害』。
 これに攻められれば、いつか必ず敵は折れる。いくら戦力があろうとも、心が折れる。
 そういう、ある意味で戦術戦略を一切無視したむちゃくちゃな戦いを、彼らは繰り返してきた。この貧しく弱い国を、他の2大国に比肩する『法国』として立たせるため、戦い続けてきたのである。
 その自信、その自負。それがあるからこそ、
 「必ず、まっすぐ攻めてくる」
 と、静は読み、そして的中させたのだ。
 「貴軍に一片の恨みなし!」
 巨人獣の肩の上、神話の戦女のように静が叫ぶ。
 「然れども戦(イクサ)の慣い(ナライ)なれば容赦無用、覚悟!」
 相手に恨みも怒りもない。だが、これが戦である以上、一切の手加減はしない。およそ十代の、それも娘の言うことではないが、静は大真面目である。
 実際、半端ない人数が死んでいる。死体の損傷の激しさから、もはや蘇生魔法を使っても生き返れない者が大半だろう。彼らにも命があり、家族があり、友があり、人生があった。それを一瞬にして奪ったのはほかならぬ、この少女なのだ。
 その死に対し、『殺人者』としていかに在るか。
 十代の娘でなくても、それに答えを出せる者がどれだけいるか。
 いや静とて、言葉としての答えなど持っていない。
 命をかけた力と技と知恵のぶつかり合い、そのど真ん中で立ち続けること、その姿、その生き方こそが答えである。
 
 『どこからでも殺しに来い。殺してやる』

 なんと美しく、そして凄絶な答えだろうか。……だが。
 (……ひょっとしたら)
 カタールを両手に斜面を駆け下りながら、うきの脳裏にふっと、ある思念がよぎる。
 (あの子はこの世界で、一番孤独なんじゃないか)
 それは多分、『一条静』という少女に対して他人が抱いた、最初の違和感であったかもしれない。
 ほんの微かではあるが、静がこの世界から、人の世界からズレ始めていることを、最初に気づいた人間であったかもしれない。
 (……ま、もとからマトモじゃないけどね、あの姫様は)
 その時、うきは自らの違和感を、そのように誤魔化した。が、その思考は後々まで、彼女の心にトゲのように刺さり続けることになる。
 だが今は、そんな感傷的思考など無用。
 戦だ。
 「っせいっ!!」
 うきのカタールが、生き残ったハイプリーストに襲いかかる。刃を振り回さず、脇を締め、肘を腰の骨で固定した状態から、体ごと踏み込んで装甲をぶち抜く。
 アサシンが重装甲の敵と正面からぶつかる際に使う、『直抜き(ジキヌキ)』と呼ばれるスタイルだ。速度は格段に落ちる代わりに、カタールという優秀な刃物の威力を存分に発揮できる。
 本来、アサシンは速度と敏捷性を武器に、敵に対して高速の連突きを叩き込むスタイルを得意とする。だが、今のように重装甲の敵に対しては、ろくに鎧も貫けない軽量の連打をいくら撃ったところで徒労でしかない。
 そこで、対人戦を主にするアサシンの間で編み出されたのが、この『直抜き』だ。
 本来の速度と敏捷性を武器に、まず敵の攻撃をかいくぐって懐に飛び込む。と同時に、腰の骨を起点にがっちりと固定したカタールを敵に叩き込む。そのまま体重をかけて押しこめば下半身を、足を踏ん張って突き上げれば上半身へと刃が食い込む。刃を腕ではなく腰で固定するため、人体で最も力のある脚部の力を直接、刃に伝えることができることがミソだ。
 「ぐ……ゃあ」
 腹部をまともにえぐられたハイプリーストが、身体を『く』の字に折ってよろめく。
 「悪いね」
 ひゅん!
 片手の刃で敵の腹部を貫いたうきが、もう片方の刃を腰から離し、今度こそ存分に風を切らせる。
 かつん!
 腹部への一撃に比べ、ひどく軽い音だったが、その刃は敵の兜の面頬をすり抜け、眼窩から後頭部へするり、と抜けた。
 即死。
 「よっ、と」
 ぶん!
 敵の身体から刃を引き抜きざま、真後ろから撃ち込まれた槌の一撃をひらり、とかわす。敵の目には、うきの姿がいきなり消失したように見えただろう。この敏捷性、そして致命的な一撃を加える時の攻撃力。
 殲滅士アサシンクロス・うきの真骨頂だ。
 「うわ?!」
 うきを殴りそこねた敵が、足場の悪い斜面に足を取られる。その時には、うきはもう彼の真後ろ。
 「ふっ!!」
 胸の前で交差させたカタールを、足から腰、肩から腕へと、全身をバネにして撃ち込む。
 ころり。
 敵の首が落ちる。
 ぶわっしゃあ!!
 鮮血が間欠泉のように吹き出し、岩場を赤黒く染める。
 鎧の首部は、鎖帷子や金属の喉輪で防護されてはいるが、構造上、他の急所ほど重装甲にはできない。とはいえ、鎖帷子ごと人体を切断する威力。
 うきというアサシンクロスは、どうやら相当の対人経験を積んでいるらしい。
 2人片付けておいて、うきが戦場を見渡し、
 「……ちょっと生き残りが多いか。マズいなあ」
 顔をしかめる。
 地震とがけ崩れで部隊の大半を削ったが、それでも生き残った兵士がかなりいる。まずいのは、彼ら全員が蘇生と治療の魔法を持ち、死んだ兵士を生き返らせることができる、ということだ。
 時間をかけてはいられない。
 生き残った敵めがけて駆け出しながら、腰のベルトから小型の毒瓶を取り出し、カタールにセット。ばしゅう!と、禍々しい煙が上がり、刃が異様な色に染まる。
 スキル『デットリーエンチャントポイズン』。
 武器に猛毒を付加し、威力を上げるスキルだが、これを単なる『毒』と考えるのは早計だ。アサシンクロスの扱う毒ともなれば、そのへんのセコい暗殺毒とはレベルが違う。現代でいえばBC、すなわち生物化学兵器に分類されるほどの威力と危険性を兼ね備える。
 「よいせ!」
 掛け声と共に、浮きの姿がかき消すように消失。彼女の異能技『滅失(バニシング)』だ。『潜伏(ハイディング)』も『掩蔽(クローキング)』をも超える、『殺されても気づかない』隠密攻撃術。
 その効果時間はわずか半秒。
 うきにとっては、無限にも比する無敵時間。
 「!」
 今度は声もなく、敵の土手っ腹にカタールを撃ち込む。瞬間、刃の毒が顕現し、敵の腹部が鎧ごと、ごっそりと溶け落ちる。結果だけ見れば、大砲で腹をぶち抜かれたに等しい。
 「?!」
 声もなく、敵が倒れる。前触れも何もなく、腹に風穴を開けられたのだから当然だろう。
 さらに1人、2人、うきのカタールが獲物をとらえていく。
 (わざわざ神のミモトとやらに送ってやるんだ、運賃もらってもいいぐらいだね!)
 罰当たりなことを考えつつ、その姿を明滅させながら戦場を駆け巡る。
 その時だ。
 ずしん!!
 大地を揺るがすような衝撃音。
 (……!?)
 うきが思わず振り返ると、そこに信じられない光景があった。
 オークロード=速水厚志の巨体が倒れている。
 そして、それを守るように立つ静の前に、ひときわ輝く鎧を着けた巨漢の姿。
 うきは、その姿に心当たりがあった。
 (やっばい! あれ、『大将』じゃん!)
 
 つづく

 
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中の人 | 第十五話「Crescent scythe」 | 14:09 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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