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第十五話 Crescent scythe(7)
 「アマツ、瑞波の守護職・一条瑞波守鉄が三女、静! 推して参る!」
 静の名乗りがアルナベルツの荒野に、文字通り轟き渡った。
 実は静、ルーンミッドガッツ王国にやって来て以来、こうした『名乗り』を控えてきている。彼女の立場はあくまで『お忍びの花嫁修業』であり、その静が父である鉄の名や瑞波の国名を共に名乗ることは基本的に許されない。また、フールや速水らも静の名は呼ばず、しーちゃんだの姫だのと好き勝手に呼んでいるのはご承知の通りだ。
 それをあえて今、名乗った。
 (さすがと言うべきなのか)
 静の名乗りを聞きながら、フールは内心で唸りたい気分だった。
 (ああいう感覚は、ボクには無い)
 静に対し、素直に敗北を認める。
 単純に敵と戦うだけなら、フールの戦力は静にもそうそう引けはとらない。世に言う『三大魔剣』、ミステルテイン、オーガトゥース、エクスキューショナーの三振りを『生きたまま』操る『魔剣醒まし(アウェイクン)』の真価は、まさにこういう乱戦の中でこそ発揮される。
 
 SYAHaaaaaaa!!!

 不気味な哄笑を振りまきながら、悪鬼の牙・オーガトゥースが戦場を駆ける。見た目は象牙型の短剣、それに目があり牙がある武器型モンスター。それがランダムに、しかも高速で地上を滑りながら、『聖槌連』に手当たり次第に攻撃を加える。

 カカカカ、カーン!!!
 
 聖槌連の身体を守っていたバリア魔法『キリエエレイソン』の防御音が鳴り響く。この音が鳴っている間は不可侵・無敵、だが当然それにも限界がある。

 カーン!

 バリアの耐久力、その最後の一枚が剥がれ落ちる。そのタイミングを狙いすましたかのごとく、愛鳥・プルーフに騎乗したフールが、砂塵を巻き上げて殺到。

 KHAAA!!

 これまた異形の咆哮が響き、フールの右手に抜き放たれた処刑剣・エクスキューショナーが聖槌連の頭上に落ちる。
 がちん!! 聖槌連の豪壮な盾が、本来なら致命の一撃を防御。しかし相手は魔剣。

 GA!!

 盾で受け止められた処刑剣の刃がミシミシと音を立て、まるで盾に噛みつくように変形。
 「ふッ!」
 鍛え抜かれたフールの腕に、タイミングをぴたりと合わせた騎鳥・プルーフの足さばきが加わり、聖槌連の盾がぐいっ、とはね退けられる。
 「!」
 聖槌連が、その名の由来でもある槌を掲げてフールを攻撃。だが遅い。
 
 Khyahaha!!!

 三たび、不気味な鳴声が吹き上がる。三大魔剣最後の一振・ミスティルテイン。
 『宿り木(ミスティルテイン)』。遥か神話の時代、この世のあらゆる物に対して無敵の誓いを立てさせた神が、『あまりに弱すぎて』誓いを立てさせるのを怠った一本の宿り木によって殺される、その故事からその名が取られたという。
 元来、地面ではなく樹上に寄生する宿り木は植物の中でも特殊視される。なぜというに、かつてあらゆる生命が天からもたらされた際、その住処によって大地か、海のどちらかの神と契約を結ばなければならなかったが、唯一、海にも大地にもよらなかった宿り木だけはその契約を逃れ、天上にあった時の魔力を失わずにすんだ。
 ゆえに、最弱に見えて最強。
 フールの左腕に、まさに宿り木よろしく絡みついた大剣・ミスティルテインが、撃ち込まれる大槌を受け止め、ついでにバリバリと噛み砕く。魔剣の特殊現象・石化の発現だ。
 
 hahahahahaha!!!

 聖槌連の鎧が石化して砕け、忌まわしい魔剣の顎がついにその肉体を噛む。
 「ぐ……ふっ」
 屈強の鎧僧が、膝から砕け落ちる。面頬の奥から鮮血を吐いて地面を這う。
 (強いな)
 愛鳥・プルーフを回頭させ、次の敵を探しながら、しかしフールは敵の練度の高さを実感していた。
 ご存知の通り、フールの三大魔剣は物理破壊力に加え、相手の肉体に常識外の苦痛を与えるという特徴がある。『人間の苦痛を食う』というモンスターの特徴を活かし、わずかに掠っただけでも、神経が焼き切れるほどの激痛が叩きこみ、下手をすればそれだけで相手の生命活動を停止させることもある。
 これを食らった相手はたいてい絶叫し、死なないにしてものたうち回るはめになるのだが、今の敵、聖槌連は例外だ。魔剣を食らっても苦痛を押し殺し、声も立てず、暴れもせず、ただ死ぬ。
 多くの宗教において、修行と称する苦行が取り入れられていが、これは精神を鍛えるのに最も効率的な方法が、実は肉体を鍛えることと考えられていることと無関係ではない。厳しい運動や、痛覚そのものといった苦痛に耐えることで精神が鍛えられる、そう信じられているからである。
 アルナベルツ法皇庁においてもこれは例外ではなく、よってその親衛部隊の頂点である聖槌連が、徹底した苦痛耐性を持っていることは不思議ではない。
 (やりにくい相手だ)
 フールにとって、苦痛の効きが悪い相手というのは、確かに相性がよろしくない。
 ちなみにこの激痛は、持ち主であるフール自身にも常に加えられているが、痛みを感じない『無痛症』の肉体を持つ彼には無関係。先日の戦いにおいて、聖歌『ゴスペル』の効果を受けて一時的に痛みを回復(?)したものの、その効果が切れると同時に再び無痛の身体に戻っている。
 だが、丸っきり元のフールに戻ったのかと言えば、それがそうでもない。
 かつては、自分の身体をわざと痛めつけるような無茶な戦いを繰り広げた彼が、今はむしろ慎重とさえ言える精密さを持って戦場を駆けている。無痛の身体を持って、傭兵として無数の戦場を経験したフールには、誰にも真似できない『戦場経験値』とも言うべきものが蓄積されており、今、それが最大限に活用されていた。
 いや、今までだってやろうと思えばできた。ただやらなかっただけだ。
 人間の魂を肉体から抜き取る『BOT技術』によって、他人の身体と魂を入れ替えられ、その副作用で無痛となったフール。人並みの痛みを感じない、それも他人の肉体を、かつては厭わしく思いながら生きてきた。
 それが静と肩を並べての戦いを越え、その心にも今までとは違う風が吹き込まれているようだ。

 『自分』を大切に思う、『何か』が。

 とはいえ、そんな強者・フールでさえ、静のとった行動には驚かされた。
 今の聖槌連に対して、自分の名を堂々と名乗る。
 その意味を、いや『威力』を、彼女は完璧に理解しているのだ。
 事実、静の名を聞いた敵軍の様子が、明らかにおかしい。魔剣の苦痛にさえ退かない精強の鎧僧達が、静の叫びに対しては明らかに『怯んでいる』。
 『一条静』、その名前に?
 いや、違う。
 目の前の少女が、自らの名と出自を堂々と名乗った、その事実そのものが、彼らの心を抉ったのだ。
 『名乗れる者』に対し、『名乗れない者』である自分たちに、引け目を感じたのだ。
 (……そりゃ辛いよね。神の紋章さえ隠して戦うのは)
 次の敵に魔剣を噛みつかせながら、フールが同情する。それを剣ごしにも感じたか、魔剣の苦痛よりも激しく、敵の鎧が蠢動する。

 そう、この敵は明らかにおかしかった。

 アルナベルツ法皇庁直属の最強威力部隊『聖槌連』。それであるのは間違いないのに、静たちに対して一度もそれを名乗らない。
 何よりおかしいのは、戦いにおいて神の名を唱えず、そして鎧にも神の紋章がない。
 アルナベルツの国民にとって、主神である『女神フレイヤ』の存在はまさに『絶対』だ。
 ましてその宗教の頂点にも近い彼ら聖槌連が、フレイヤの名も紋章も頂かない、というのは異常も異常。例えは妙だが、猟犬がワンと鳴かずにニャアと鳴きながら、四本足ではなく二本足でスキップして獲物を追うような、何かの風刺画のを思わせる滑稽ささえあるのだ。
 その姿、戦い方から導き出される結論は一つ。
 「おのれが奉じた神にさえ顔向けできぬ戦に、勝ち目があると思うか! 賊徒ども!」
 静の咆哮が轟く。
 その声が、どんな武器より鋭く敵の心を刺すのを、フールは天を仰ぐような気持ちで感嘆する。戦場経験だけ言うなら、自分より遥かに少ないはずのこの少女だが、戦というものの機微を知り、それを正確に突くことにかけては天才的と言うしかない。
 (まさに『戦の申し子』だ)
 フールでさえ、そう思わざるをえない。
 「天に頂く神さえおらぬ貴様らは、大人しく去れ! さもなくばここで死ね!」
 口先一つ、戦の潮目さえ変えてしまう静の声が、今やアルナベルツの荒野を支配していた。

 つづく
 
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中の人 | 第十五話「Crescent scythe」 | 13:13 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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