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第十六話「The heart of Ymir」(3)
 グラリスNo1スナイパー、ルフール・シジェンの目は、風が『人』に見える。
 (女王陛下、御領地に立ち入る無礼をお許し下さい)
 彼女が今、飛行船『マグフォード』の上から挨拶した『風』は、シュバルツバルド山脈を吹き渡る風の中で二番目に大きく、強い風である。地上にも、飛行船にも目もくれず、天を覆うような巨大なドレスをはためかせ、ただ悠々と空を駆ける姿はまさに女王だ。
 空中都市・ジュノーを中心に、山脈を取り巻くような周回軌道を描くこの風は、その過程で山脈の峡谷という峡谷、頂上という頂上を制覇し、そのたびに無数の小さな風を生み出していく。
 『女王の子供達』
 G1がそう呼ぶ風たちだ。
 今も、女王がはためかせるドレスの裾から、次々に生まれてくる無数の小さな風が、『マグフォード』とG1の周囲を吹き渡り、旋風を巻いてかき消えては、またよみがえっていく。それは気まぐれなダンスのようでもあり、ただ無心に遊んでいるだけのようでもある。
 (……子供が20……いや、30)
 G1の目に、女王が連れる子供たちの姿が見えてくる。岩の黒と雪の白が支配するシュバルツバルトの山々を、あまねく遊び場とする自由の子たち。
 この空にあるものは、すべてが彼らの玩具。

 たとえ『戦前機械(オリジナル)』でも、例外はない。

 (新しい玩具が、この空のどこかに隠れている。さあ、最初に見つけるのは誰?)
 G1が心の中で呼びかける。が、もちろん返事はない。風の女王も子供達も、あくまでG1の異能感覚がもたらす、いうなれば錯覚であり、極論すれば妄想に過ぎない。G1の視覚や聴覚など、五感に触れるすべての感覚が脳内で再統合され、このようなビジョンを生み出している。
 カプラ・グラリスとなってからの長い年月、ジュノーの街角に立ち続けながら、毎日のように眺めた空の中で、彼女はこのビジョンを生み出した。
 (見つけたら教えて。最初に見つけた子に、私の口笛を贈ろう)
 さあ……っ、と、G1が被ったマントが舞う。
 女王のドレスが激しくはためき、その裾や袖の先から小さな風が生まれ落ちては、シュバルツバルドの空へと散っていく。
 (私の灰雷が無事ならば、踊りのパートナーに貸し出そう。そして、とびきりの口笛で踊らせてあげる)
 今は側にいない愛鷹までダシに使うが、その灰雷が怒ることはないだろう。
 鳥は風と同じくらい、ダンスが好きな生き物だ。
 「監視からブリッジ。針路やや北」
 伝声管へ指示を送ると、『マグフォード』の巨体が静かに向きを変え、遮るもののない太陽と影がゆっくりとG1の周囲を巡る。
 G1の目には、『マグフォード』が風の女王のドレスにふわり、と乗る光景が映る。この風に乗っていけば、女王の城であるジュノーまで一直線だ。
 だがG1、一息つく間もなく伝声管を握ると、
 「G1からG3」
 「G3です」
 グラリスのリーダーであるG1から、カプラの戦闘指揮を任されているG3プロフェッサーの、落ち着いた声が返る。
 「G3、そちらの様子はどう?」
 「戦闘準備は70%といったところでしょうか。100%までには、あと30分ほしい」
 「まだ兆候はないけれど、急がせて」
 「了解、G1……各班、進行状況を報告して!」
 『マグフォード』の船体下部に広がる、大きな格納庫。その隅に陣取ったG3プロフェッサーが、G1との通話を切るやいなや周囲に指示を飛ばす。
 グラリスNo3プロフェッサー、ルウカ・ウィンレイは、ルーンミッドガッツ大陸の各所で毎週繰り広げられるギルド戦で名を馳せた元指揮官だ。戦闘においては、下準備こそが勝敗を決する最大の要因と知っている。
 「準備なんかいらん。あたしぐらいになれば!」
 即座に怒鳴りかえしたのはG2ハイウィザード。G3のほど近くに座り込んだ女魔術師は、カプラ倉庫から引っ張り出した携帯食で腹ごしらえの最中だ。
 『準備不要』とは、傲慢を通り越して、いっそ清々しいほどのプライドで固めた彼女らしい返答だが、その姿は言葉とは裏腹。
 銀色に輝くブーツにも、軽金属の糸で織られた術衣も、同じく細鎖を編んだマントにも、びっしりと魔術式のルーンが刻まれた重装備。
 ブーツの踵を低く、帽子のつばは狭く、杖も短めに軽くアレンジしているのは、ひとえに
 『走りやすさ』
 を追求した結果で、この女魔術師が生粋の前線魔術師である証拠だ。
 「了解です、G2」
 だから指揮官も、とやかく言わない。
 「こちらはあと10分というところだ、G3」
 グラリスでも有数の『男前な声』で答えたのはG4ハイプリースト。かつて戦場で失った片目に眼帯を施した風貌は、僧侶というより歴戦の傭兵教官を思わせる。そのはず、彼女はアルナベルツ教皇庁直属の威力機関、あの『聖槌連』の元幹部。隻眼となって以降、治療・支援型として修行をやり直したという異色の武闘派だ。
 何を隠そう、彼女をあつく信頼してグラリスに推挙したのはアルナベルツの少女教皇その人。そして隻眼のG4ハイプリーストもまた、少女教皇への絶対的な忠誠を崩さない。
 「……すみませんG3。久しぶりなので、念入りにやってもらっています」
 G4の背後、どこかの部屋のカーテンを引っぺがして作ったらしい、いかにも急ごしらえのテントの中から謝罪したのはG10ロードナイト、オウカ・フォン・ラピエサージュだ。
 長身の彼女の体を隠すため、カーテン数枚をつなげて作ったテントから、今しも若いカプラ嬢が出てきたところ。その手には
 『血まみれのタオル』。
 入れ替わりにG4ハイプリーストがテントに身体を入れ、 
 「『ヒール』」
 治癒の魔法を贈る。
 治癒魔法で肉体が修復する際、肉体に痺れが走る現象が知られているが、魔法の使い手によってこれが緩やかに作用する『癒し型』と、強烈な痺れをもたらす『殴り型』に大別される。
 そしてこの隻眼のG4ハイプリーストこそ『殴り型』の典型。食らった怪我人が気絶することもあるという、人呼んで『殺人ヒール』。
 「ぐ……!」
 痛みには相当強いはずのG10ロードナイトさえ。うめき声を抑えられない。その様子を見て、
 「仕事とはいえ、よーやるよなー」
 G2ハイウィザードが顔をしかめる。彼女には、わざわざ痛い思いをする人間の気が知れないのだろう。
 そんなG10が何をしているのかといえば、なんと今でいう
 『エステ』
 である。
 といっても、もちろん今のエステで流血の騒ぎになるはずもないから、あくまでイメージだけだ。
 G10が受けているエステは、まず頭髪から何から全身の体毛という体毛をすべて剃り落とす。その状態で、全身の角質やシミ、無用な日焼けをした皮膚を、魔法で凍らせたり、焼き切って除去する。
 なんなら爪さえ剥がす。
 この時、やむなく相当の出血があるのだ。
 そして後にヒールをかけ、体毛や皮膚を完全に新しいものに再生する。これがこの世界の『エステ』となる。
 聞くだに戦闘には関係なさそうに思えるが、さにあらず。
 戦場の華・ロードナイトにとって、

 『敵より美しくあること』

 こそが重要。
 まして師範貴騎士、グラリス・ロードナイトともなれば、容姿外見で他人に劣るなど決して許されることではない。
 浮遊岩塊『イトカワ』での不自由な生活や、それに続く戦闘で荒れた肌や髪のままで、敵の前に姿をさらすことは、ほとんど万死に価する恥辱だ。
 それに比べれば流血も、痛みも大した話ではない。
 「アレも『女子力』っていうのかな」
 小柄なG2ハイウィザードが肩をすくめる。
 「『女子力』というより、『女子怪力』って感じでやんすな♪ 『りく』ちゃんのは」
 ロードナイト=RK=りく、という、なんとも雑な略し方をするのはグラリスNo6ジプシー、祇王(ギオウ)。いつの時も明るく陽気で、そして底が知れない師範歌舞士は、歌において男の声はもちろん、複数の声を同時に発する『虹声(レインボーボイス)』の持ち主だ。
 「あんたもやれば? G6」
 「真っ平御免でやんす」
 身もフタもない反応。こっちも、わざわざ痛い思いをしてまで外見にこだわる神経はない。
 「……ありがとうございましたG4」
 心なしか荒い息のG10ロードナイトが、隻眼のG4ハイプリーストに礼を告げる。
 「こちらはOKですので、御自分の支度をなさってください」
 「了解した」
 荒っぽいエステが終わったらしい。G4ハイプリーストがテントを去ると、代わりに野次馬なG6ジプシーが早速、のぞきに入る。が、
 「う……おぉ」
 何かと茶化し屋のG6ジプシーが一瞬、言葉を失っている。
 「いいぞ。カーテンを外してくれ」
 長身のG10ロードナイトが立ち上がったらしく、豪奢な金髪がカーテンのの上からのぞいている。カーテン製のテントはあくまで血を隠すためで、裸を見られるのは別に平気らしい。
 世話役の若いカプラ嬢たちが、いいのかな、という顔をしながら、ばさり、と布を取り去ると、

 「じゃーん!」
 
 正面にG6ジプシーが、司会よろしく立ちふさがり、次の瞬間、両手を真横へ差し伸べながら、身体をスライド。
 残されたのは、見事な全裸を隠しもしないG10ロードナイト。

 きゃあああああ!!!!

 女性だらけの倉庫の四方から、真っ黄色の声が響き渡った。

 つづく

 
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中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 12:46 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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