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第十六話「The heart of Ymir」(4)

 「静かに! G6も自重してください」

 時ならぬ黄色い歓声に、G3プロフェッサーが叱咤を飛ばし、ついでにG6ジプシーもたしなめる。

 「へいへい、でやんすー」

 当のG6といえば、大して応えていない様子だったが、それ以上G3プロフェッサーが怒らないのは、戦闘を目前に控えて深刻になりがちな空気を、G6ジプシーなりに和ませようとしたこと、と承知しているからだ。

 「ありがとうございます、G6」

 全裸をさらし物にされた長身のG10ロードナイトが、小声で礼を言ったのも、それがあるからだ。戦(いくさ)においては先陣を切って敵を威嚇し、味方の士気を鼓舞する役割を追うロードナイトにとって、自陣の雰囲気を守ることも重要だ。

 ところでG10、まだ全裸だが、相変わらずその肢体を隠そうともしない。ルーンミッドガッツ王国において、聖戦時代から続く名家中の名家に生まれただけあり、羞恥心というもののあり方が根本から違っているらしい。

 「お召しを、G10」

 「うむ、大儀である」

 G10ロードナイト付きの若いカプラ嬢たちが、G10専用の鎧に着替えさせ始めても、ただ棒立ちでされるがままだ。ちなみに、近代的な組織を導入しているカプラ社において、カプラ嬢の間に『身分差』は存在せず、カプラの役名とナンバーによる階級制があるだけ。であるのに、G10ロードナイト付きのカプラ嬢たちが、まるで貴族に仕えるメイドさながらに彼女を敬うのは、やはり持って生まれた『血』のなせるわざと言えるだろう。

 ただ自陣にいるだけで神々しく、敵を畏怖させ、味方を奮い立たせる。

 戦の象徴・貴騎士ロードナイトの頂点として、実にふさわしい姿といえた。

 

 一方で、それと正反対に静かで、そして緊張に満ちた一角がある。

 

 「G13チーム。状況を」

 G3プロフェッサーが報告を求めたのは師範殲滅士・G13アサシンクロス付きのカプラ嬢たち。

 「あと3分で『補給』を終えます」

 その返答は、まるで重大な機密研究の進捗を知らせるような正確さと、緊張に満ちている。実際、床に片膝立ちの『待機状態』で座ったG13アサシンクロスを、複数のカプラ嬢が取り囲んだ様子は、何かの希少生物の研究風景さながらだ。

 「最後の一口です、G13」

 『給餌係』のカプラ嬢が、何かの粥のようなゲル状の食物を、計量器でもって慎重に重さを測った上で、スプーンに乗せて差し出す。

 「……」

 G13が無言で口を開け、かぷ、と口に含むと、もぐもぐ……咀嚼する。

 「いち、に、さん……」

 カプラ嬢が、咀嚼の回数をカウントし、定量に達したところで飲み込むように指示。最後に、これも定量の水をストロー付きの容器で吸わせ、食事終了。

 「お薬です。しばらく飲めなかった分を追加します」

 『投薬係』のカプラ嬢が、堅牢無比の魔法金属・エルニウム製のピルケースから、いくつかの錠剤を取り出す。世界最古の職業集団・アサシンギルドの紋章が刻まれたこのピルケースは、ギルドから定期的にカプラ社へ届けられるもので、収められた薬の内容たるや、薬剤の専門家である師範創成師G7 クリエイターにすら、

 『さっぱりわからない』

 と言わしめる代物。

 『ひょっとして、すべて偽薬(プラセボ)かも』

 彼女は、そう分析する。

 『偽薬(プラセボ)』、あるいは『偽薬(プラセボ)効果』とは、まったく薬効のない、たとえば小麦粉を固めたものを『薬だ』と言って患者に与えると、薬効がないにも関わらず症状が改善することことがあり、その現象を指す。

 『これを飲まなければいけない、と思い込まされている可能性は否定できない』

 ピルケースの中身を調べたG7は、確証はないながらも、そう結論づけている。

 『最強の暗殺者が、万一にもギルドの支配下を逃れないよう、そうしているのでしょう』

 その分析は、G3プロフェッサーのものだ。

 極端な秘密主義で知られるアサシンギルドは、世界最古の歴史を誇る反面、その内実のほとんどが闇に包まれている。その闇の奥から1世代に1人、純血の暗殺者が人の世に送り出され、『13番目のグラリス』を名乗るのが仕来りとなっている。

 彼女らは驚異的な戦闘能力と、水底の花のような美しい外見を持つ一方で、その精神を徹底的に破壊され、能動的に言葉をしゃべることも、ろくに食事を摂ることもできない。

 アサシンギルドが発行する『仕様書』に従い、こうして何人もの世話係が食事を作って食べさせ、薬を飲ませ、身体を洗い、髪を整える。彼女が自分でできるのは服を着て、武具を身につける程度だ。服の洗濯や武具の手入れも当然、世話係の仕事である。

 「着替えますよ、G13」

 『衣装係』が声をかけると、自分からカプラ服をばさばさ、と脱いでしまうG13アサシンクロス。G10ロードナイトとは別の意味で、羞恥心の欠片も感じられない。

 ついでだが、こちらの全裸姿もまた、人間離れして美しい。

 G10ロードナイトの時とはまったく違う、感動と畏怖に満ちたため息が、カプラ嬢たちの間を駆け抜ける。

 「ほいほい、早く着せた着せた。『抜き身』は目に毒でやんす」

 G6ジプシーの反応も真逆。確かにその姿、あまり長く見つめていると、魂を抜かれそうにすら感じられる。しかしG6、『抜き身』とはよく言った。

 

 純血のG13アサシンクロス、その全裸姿はまさに『致死の刃』そのものといえる。

 

 「どうした! なにかあったか!!?」

 時ならぬ全裸劇場が展開した『マグフォード』の倉庫に、今度は凄まじい大声、それこそ倉庫の壁がビリビリと震えるような銅鑼声が響く。

 グラリスNo9パラディンだ。

 とはいえ、この銅鑼声は決して、彼女が空気を読まないとか、そういうことではない。

 「G9、マイクの音量! 音量を下げてください!!」

 G9パラディン付きのカプラ嬢がおおあわてで、『鎧から伸びた伝声管』に声を放り込む。

 「おお!! すまん」

 G9の返事は、前半が大きく、後半が普通。音量とやらを調節したらしい。

 広い倉庫の、また別の一角。そこにG9パラディンと、そのチームが陣取っている。が、もはやG9パラディンの姿は『見えない』。

 チームの中心に、でん、と据えられたのは巨大な鎧。それも尋常な大きさではない。

 短く、太い脚部。脇が閉められないほど広い肩幅と、首が肩に埋まったシルエット。

 シュバルツバルドの辺境、そこに広がる古代の遺跡『ジュピロス廃墟』で冒険者を待ち構えるモンスター『ヴェスパー』。その姿をシルエットに取り入れた、とてつもなく頑強な鎧だ。

 あまりに屈強すぎて、鎧の内外で声が届かないため、マイクと集音器が取り付けられている有様。

 「これでいいか?」

 「OKです、G9。鎧に問題は?」

 「ない。立ってみる」

 G9パラディンの応えはシンプルだ。決して根っからの武人というわけではないが、戦に臨んで余計なことは言わず、常にシンプルに思考し、行動する。

 戦場において、身を呈して味方を守る守護護聖騎士。身についた習慣とでもいうべきか。

  ごん!

  倉庫の床が一度、大きく揺れ、鎧が立ち上がる。 

 「おお……!」

 周囲から感嘆の声。

 このヴェスパー様式の鎧は、法王を守る親衛隊のためにデザインされながら、誰一人として戦うことはおろか、歩くことも、立つことすらできなかったという『欠陥品』で、この1点を除いて二度と作られなかった曰く付きの代物だ。

 それを着て平然と立ち上がるG9、身体の半身にホムンクルス製の義足を埋め込まれているとはいえ、やはり尋常な武人ではない。だがそれでも、

 「……立つのはいいが、歩くのは難しいな」

 そう認める。やはり壮大な欠陥品には違いないらしい。

 「ジュノーに着けばペコペコが、『フィザリス』がいる。彼なら平気で騎乗させてくれるさ」

 戦場で大怪我を負い、夫の手で禁忌の生体手術をほどこされて蘇った彼女を、リハビリ時代から支えてくれた愛鳥・フィザリス。

 G9パラディンは、ジュノーのカプラ女子寮に残してきたその愛鳥が、今も無事でいることを疑っていない。

 とはいえ、その愛鳥が女子寮に忍び込んだ無代と出会い、今や完全武装で主人の帰りを待っているとまでは、さすがに予想できまい。

 「G9、武具はどうしましょう?」

 「後でいい。ネジ止めしたら外せないしな」

 ヴェスパー鎧、もはや『手』も内部に埋め込まれるため、槍や盾も鎧に直接固定する。これでは『戦う』というより、ただの『壁』だ。

 法王の周囲に突っ立って、法王を狙う攻撃を身代わりに受け止める、そのための鎧。

 「『給薬』だけ、始めておいてくれ」

 「了解」

 G9の指示を受け、カプラ嬢たちが抱えてきた箱は治療薬・ホワイトスリムポーションの大箱だ。この貴重な薬剤を、金属製のマガジンに1ダース単位で詰め、マシンガンの弾よろしくがしょん、がしょんと、鎧の背中に差し込んで行く。

 「『給薬』よし。G9、作動テストを」

 「了解」

 鎧の内外、合図が揃うや否や、

 

 がががががっ!!

 

 本当にマシンガンの連打めいた機械音。続いて、

 

 からからからん!!

 

 鎧の下から、貴重な治療薬の空瓶が、これまたマシンガンの薬莢よろしく排出される。

 「動作、問題なし。G9からG3」

 G9パラディンが、壁の壁の伝声管に直接、鎧の伝声管を接続して連絡。

 「G3です。G9。状態はどうですか?」

 「準備よし。計算通りなら無補給で、即死攻撃に20分、耐える」

 「十分です。あとは待機で」

 「了解」 

 『即死』に『20分耐える』とは、聞くだに意味不明だが、指揮官たる月神のG3プロフェッサーは満足そうだ。

 倉庫外からの伝声管が鳴ったのは、その直後。

 「G1からG3」

 「G3です。G1、なにか?」

 「そろそろ『ジュノーフィールド』に入る。G15に準備をさせて」

 「……了解。G15」

 「アーイ」

 小柄なG15ソウルリンカーが、ぴょん、と立ち上がる。

 「じゃあ、『起こす』ネー」

 その視線の先。

 

 床に寝かされた、革製の『死体袋』。

 

 

 つづく

 

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中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 12:57 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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