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第十六話「The heart of Ymir」(5)

 カプラの教導師範部隊『チーム・グラリス』は、すべての職業の頂点と目される女性を集めて結成されていることは周知の通り。そして、その職業は初級職と、万能職『スーパーノービス』を除いた全16職業に及んでいる。

 しかし、もうご承知の方もいらっしゃるだろうが、現在の『グラリス』はNo1からNo15までの15人。そう、

 

 『1人足りない』

 

 早々に種明かしをするならば『拳聖』の職業が欠員となっているのだ。

 実は、このようにグラリスに欠員が出ることは珍しくない。職業者の、しかも女性の中から最高の人材を選び出す、という建前上、どうしても足りない職業が出てしまう。

 職業ギルドからの推挙によって決まるアサシンクロスやチェイサー、一発勝負のオープン選考が開かれるスナイパー、チャンピオン、ジプシーなどは比較的選びやすい。

 一方で、最も難関とされるのがご存知ロードナイト。実力はもちろん、容姿や家柄まで抜群であることが求められるため、適材が揃うことの方が珍しい。他に、熟達者が多くて優劣がつけにくいハイウィザードも、毎回のように選出が混乱することで有名だ。

 その難関を突破し、貴騎士ロードナイトと優魔術師ハイウィザードが2人揃ったグラリスは、歴史上でも極めて珍しいといえた。 

 現在、欠員となっている拳聖もまた選出が難しい職業とされ、その理由としては

 

 『熟達者が極めて少ない』

 

 ことが挙げられる。

 例を挙げれば、先代のグラリスで拳聖職を務めた女性は、年齢、実に70歳を超える老女であったが、実力はまさに折り紙つきで、各世代のグラリスにおいても最強とされるグラリス・アサシンクロスを相手に模擬戦をして、

 

 『まるで相手にしなかった』

 

 という。

 グラリス・拳聖が自らの周囲に展開する、一般には『拳界』と呼ばれるエリアに触れるや否や、どんな相手だろうが不可視の、そして無数の打撃に襲われ、彼方へ吹っ飛ばされてしまう。

 そこまで強力な職業である拳聖だが、一方で制約もある。

 己の肉体を鍛え上げるだけでなく、ほとんとスピリチュアルのレベルまで昇華する過程において、時に自分の視力、聴力、嗅覚といった感覚を犠牲にすることさえある。先代のグラリス・拳聖も、目がほとんど見えず、食事をしても味を感じなかったという。いや、そもそも『ほとんど食事もとらなかった』というから、まるで仙人かなにかのようだ。

 かように代償の大きい職業ともなれば、学ぶ者も、まして道を極めようとする者など、当然ながら少数。しかもその多くが、各国の軍隊やギルド戦の強豪ギルドが戦略的に『保有する』人材がほとんど。事実、先代のグラリス・拳聖も強豪ギルドからの引退組で、少女時代からずっとギルドの『所有物』であった。

 歳を取り、若い頃のような『効率』が出せなくなったため、引退ついでにカプラ嬢へ推挙されたのだ。

 それを残酷と見るか、温情と見るかは、人によるであろう。

 話がそれたが、ともかく現在のグラリスには欠員があり、そしてグラリスには欠員を埋める手段があった。

 

 倉庫の床に置かれた『革製の死体袋』。

 

 そして、その前に立った小柄なG15ソウルリンカーが、なにやらむにゃむにゃと儀式の準備に入る。カプラ嬢たちの視線が、その不可思議な場所に集中する。

 「はい、皆、手を止めないで」

 たしなめるのはG3プロフェッサーだ。もはや『引率の先生』じみてきた彼女だが、とにかく今は1分、1秒でも惜しい。

 「全員、交戦手順は確認したわね? ……じゃあこれが最後、万一にも飛行船が敗れた場合の手順を説明します。じゃあ、G14から」

 指名されたのはグラリスNo14・師範忍者。

 グラリスの設定に合わせて赤銅色に染めた髪はそのまま、トレードマークの覆面を常に外さない。

 「今から全員に、この丸薬を配る。配られたらすぐに飲め」

 忍者の声は低いが、不思議に倉庫の隅々まで届く。油紙に包まれた真っ黒な丸薬が、すばやく全員に回される。

 「この丸薬には、飲んだ者の体臭を変える効果がある……大丈夫、常人には匂わない。忍者にしか分からない匂いだ。安心しろ」

 体臭と聞いて一瞬ざわつく、そこはカプラ嬢といえども若い女性の集団だ。逆にG14のフォローこそ、忍者らしくない気遣いといえる。

 「この匂いは、我が星屑忍群の者に対して『棟梁から、お前に頼みがある』という意味を持つ。棟梁とは、私だ」

 忍者特有の、噛んで含めるような物言い。

 「我が忍群の忍者なら、数キロ先からでも嗅ぎつけ、必ずお前たちの前に現れる。もし飛行船が敗れ、地上に落とされたとしても、可能な限り動き回らず、体力を温存して待て。このシュバルツバルド山脈にも、我が忍群の『草』が隠れ住んでいるから、彼らがきっと現れる。そうしたら、頼みを言うがいい」

 言うだけ言って、さっさと座り込むのも忍者らしい。

 「はいはーい、次はあちきでやんす」

 打って変わってド派手なアピールは、おなじみG6ジプシー。

 「いいでやんすか、忍者ちゃんたちに出会ったら『潮騒の兄弟』商会へ、その商館へ連れて行くように頼むでやんす」

 ぐるり、と見渡す目は、しかし真剣だ。

 「あちきのおとーちゃんが作り上げ、その息子たち……あちきの兄弟たちが継いだ商会でやんす。この大陸の港という港に商館を持っている」

 G6ジプシーが少女時代、海賊上がりの富豪に買われ、そこから運命を変えていったことは承知の通りだ。

 「商館に着いたら『7兄弟』につなぎをつけてもらう。商会を率いる幹部たちは、拠点となる大きな商館にしかいない。つなぎの符丁は『嵐・雷・火事・拳骨』。よく覚えるでやんすよ。そして最後、これが肝心」

 G6の目がすっ、と細まる。

 めったにない、彼女が最高に真剣な時の表情。

 「待った、G6。……伝声管をすべて切って。外に声が漏れないように」

 G3プロフェッサーの指示。

 「ありがとうありんす」

 G6ジプシーがにっこり。だが決して目は笑っていない。

 「幹部に、あちきの兄弟たちに会ったら、こう言うでやんす。『科戸の桜(しなとのさくら)から、お願いがある』」

 ぐるり、と再び周囲を見回す、その真剣さ。

 「これを聞けば、たとえどんな願いだろうが命がけで動いてくれる。それがあちきの兄弟でやんす。ただし、決して他所では言わないこと。そして、言ったら忘すぐにれること。以上、きっとお願いしたでやんすよ」

 しん、と倉庫が静まる。

 その言葉にどんな意味があるかは知らずとも、この陽気な師範歌舞師の過去にまつわる、重大な言葉であることは察せられた。

 「あ、もひとつ、忘れてたでやんす」

 重い空気を察したかG6。

 「あちきの兄弟たち、おとーちゃんが手塩にかけて育て上げた海の男たち。全員すこぶるつきのイイ男でやんすが」

 にやり。

 「決して惚れちゃあダメでやんすよ? 『海の男に惚れた女は地獄』と、相場は決まってるでやんすからね」

 G6のウインク。まるで音がしそうなそれに、どっ、と倉庫に笑いがもれる。

 「最後は私だ。着替えながら失礼する」

 G10ロードナイトが引き継ぐ。さすがにもう全裸ではなく、下着をつけ、鎧下で身体を覆った上で、若いカプラ嬢たちの介添えを受けながら鎧を着けている最中。

 「商会の船に乗ったら、すみやかに『ファロス灯台』へ集まれ。あの古城は私の城だ」

 ルーンミッドガッツ王国でも屈指の大貴族に生まれたG10ロードナイトは、グラリス拝命の際、父親から形だけの領土をもらっている。ロード、すなわち『領主』であることが、拝命の条件だったからだ。

 「形だけとはいえ我が城。遠慮は無用。そして、そこが我らの最後の砦となる」

 聖戦時代には海戦の拠点として利用された灯台兼要塞島も、現在は存在価値を失い廃城と化している。しかし陸地とつながる橋を落として籠城するとなれば、その難攻不落ぶりは相当なものになろう。

 まして、全員がカプラ倉庫を自在に操れるカプラ嬢となれば、数年の籠城すらたやすいに違いない。

 ただし、その時にはジュノーの『ユミルの心臓』は敵に握られ、カプラシステムもどうなっているか分からない。

 籠城に援軍の望みはなく、ただの延命措置となる可能性も高い。

 その未来は決して明るくは……

 「んなの、真面目に聞く必要ない、ない」

 ここまで真剣な撤退手順を、てんからバカにしたような声は、G2ハイウィザード。

 「アタシぐらいになれば、逃げる算段なんていらないのよ。敵は全部焼くからね」

 倉庫の中に、べつの感慨が流れる。

 だが決して、G2の言葉を大言壮語と侮る者はいない。

 

 言葉だけでなく、それが実現可能だからこそ『グラリス』なのだ。 

 

 「ハーイ、じゃあいくヨー!」

 やっと準備が整ったか、それともここまで空気を読んで待っていたか。小柄なG15ソウルリンカーが印を結ぶ。

 「『拳聖の……』」

 ぼう、と光る魂術の光。

 「『魂』!」

 気合と同時、死体袋の上に青い気文字が流れる。

 『過去に存在した最強の拳聖の魂を呼ぶ』、ソウルリンカーの術。ならば袋の中は、まさに死体なのか?

 全員が注目する……だが。

 「アレ……?」

 術をかけた本人であるG15ソウルリンカーが、妙な顔で首を傾げる。

 そして次の瞬間。

 

 革袋が爆発した。

 

 つづく

 

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中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 14:49 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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