07
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
--
>>
<<
--
RECOMMEND
RECENT COMMENT
MOBILE
qrcode
OTHERS
(c)
このページ内における「ラグナロクオンライン」から転載された全てのコンテンツの著作権につきましては、運営元であるガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社と開発元である株式会社Gravity並びに原作者であるリー・ミョンジン氏に帰属します。 © Gravity Co., Ltd. & LeeMyoungJin(studio DTDS) All rights reserved. © 2010 GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved. なお、当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。 当ページは、「ラグナロクオンライン」公式サイトhttp://www.ragnarokonline.jp/(または、ガンホーゲームズhttp://www.gungho.jp/)の画像(またはテキスト)を利用しております。
ro
ブログランキング
にほんブログ村 ゲームブログ ラグナロクオンラインへ にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
ブログランキング
LATEST ENTRY
CATEGORY
ARCHIVE
LINKS
PROFILE
SEARCH
<< 第十六話「The heart of Ymir」(6) | top | 第十六話「The heart of Ymir」(8) >>
第十六話「The heart of Ymir」(7)

 今、この大陸で「キル・ハイル」の名を聞いて「ああ」とうなずく者がいたならば、それはまず『冒険者』とみていい。

 シュバルツバルド共和国辺境の高山地帯、現在では鳥型モンスター・グランペコを狩る少数の冒険者だけが通う岩山に、突然として出現する巨大な廃墟『キル・ハイル学園』。

 周囲を高い外壁に囲まれた豪壮な施設は、しかし見るものに『学園』とは真逆の、『要塞』もしくは『牢獄』のイメージを抱かせる。

 いや、意外にそれは真逆ではなく、共通のイメージかもしれない。

 内部は共和国の大統領権限によって厳重に封印され、校舎内はおろか外壁の中をうかがうことすら困難。そのせいか、

 『夕暮れ時に、校舎の窓から複数の女生徒たちの姿を見た』

 だの、

 『それが全員、まったく同じ姿・顔をしていた』

 だの、

 『強引に侵入しようとした冒険者が、突然現れたアルケミストギルドの特殊部隊によって骨も残さず溶かされ、消された』

 だのと、怪談めいた流言も多い。つまりは誰も詳細を知らない、そのことの裏返しだ。

 廃墟がなぜそんな場所にあるのか、なぜ『学園』の名を持つのか。

 そして「キル・ハイル」とは誰なのか。

 現在、それを知る者は一握り。

 共和国政府、賢者の塔、アルケミストギルドという3組織の中枢と、カプラ社だけだ。

 

 「キル・ハイル」とは、かつてシュバルツバルド共和国に生きた技師、そして企業家の名である。

 

 貧しい田舎の生まれた機械工のキル・ハイルが、いかにして指折りの富豪となり、自らの名を冠した学園を設立するまでになったか。それを語る前に言っておかねばならないことは、その男が天才で、そして邪悪であったということだ。

 若き日、一人の美しい女に横恋慕したキル・ハイルは、邪恋の果てに女を殺害する。さらに女の恋人だった男にまで憎悪を募らせ、彼を破滅させることを計画する。

 そのための力と金を得るため、共和国の技都リヒタルゼンを支配するレッケンベル社に自らの技術と成果を売り渡した。

 

 その技術とは『自動人形(オートマタ)』であった。

 

 当時の共和国にもすでに自動人形は存在したが、技術レベルは低く、ほとんど玩具のロボットの域を出ないものばかり。その中で、キル・ハイルの製作する自動人形は、まさに『次元が違った』。

 従来と同じ人口骨格と機械心臓をベースに作られているにもかかわらず、最初に持ち込まれたレッケンベル社の重役達でさえ、

 『人間ではないか……?』

 と疑ったとされる完成度は、彼の天才と狂気を示すエピソードであろう。

 この第一世代を元に、レッケンベル社から支援を引き出したキル・ハイルは、魔法による情報圧縮と、アルケミストのホムンクルス技術の導入に成功した。

 そうして誕生した第二世代は人間以上に美しく、感情豊かにふるまうようになる。下賎な話だが、『夜の相手』までつとめるレベルに到達したのだ。

 当時のヒリタルゼンで、第二世代自動人形を使った密かな饗宴が行われ、幾体もの人形が享楽の末に生贄よろしく破壊された、という話は公然の秘密である。

 キル・ハイルに『息子とされる青年』キエル・ハイルが付き従うようになるのもこの時期である。

 

 だがキル・ハイルの邪な人生にも終わりがやってくる。

 

 キル・ハイルの自動人形に対し、最初に動き出したのはアルケミストギルドだった。

 レッケンベル社によって厳重に秘匿されていた人形技術が、禁忌『ホムンクルスへの知性付与』、そして大禁忌『人体錬成』に抵触することを察知したのだ。

 ギルドから抗議を受けた共和国政府は、情報機関による捜査の結果、キル・ハイルが過去に犯した殺人と、その後に行った禁忌の所業を確認、彼の逮捕を決定する。

 

 逮捕に向かった捜査員は、しかしキル・ハイルの死体と対面する。

 

 見るも無残に引き裂かれた死体は、『彼の息子とされる』第二世代自動人形キエル・ハイルの仕業、というのが、死体を発見したレッケンベル社の主張だった。

 が、すべての犯罪をキル・ハイルとその『息子』に押し付けよう、としたレッケンベル社の陰謀という説も根強い。そこらへんは、読者の皆様にお任せしよう。

 こうしてキル・ハイルの死と、レッケンベル社からの『積極的な』資料・情報提供によって、いったんは解決したかと思われた事件は、しかし意外な方向へ展開する。

 『キル・ハイル学園』、実は秘密の機械人形工場として建設されたその施設に、残された機械人形を回収に向かったアルケミストギルドの部隊が、何者かの抵抗にあって全滅したのだ。

 『髑髏印(スカルマーク)』の異名を持つギルドの戦闘部隊は、独自の薬剤技術によって製造される爆発物の扱いに長け、瞬間的な破壊力ならば他職を寄せ付けない。

 だが、自ら開発した第四世代自動人形へと身体を移し替えたキエル・ハイル、そして彼に率いられた第三世代自動人形たちの戦闘能力は、彼らの予想をはるかに上回った。しかも学園は要塞化され、うかつに近づくことすらできない。

 ギルドの要請を受けた共和国政府は、キルハイル学園へ正規軍の投入を決定したものの、しかし自動人形たちの抵抗は激しく、いたずらに被害を増すばかり。

 仕方なく賢者の塔、そしてカプラ社へと支援要請が下り、最終的には当時の『チーム・グラリス』が学園内に侵入、見事キエル・ハイルの撃破に成功し、ようやく事件は終結を見た。

 その後、政府とアルケミストギルド、賢者の塔の3機関による共同管理下に置かれた学園から、一体の女性型自動人形が発見される。

 

 過去の自動人形を遥かに超える『第五世代』自動人形。

 

 真っ当な方法では破壊どころか傷一つつけられないボディは、プログラム次第で少女から老婆まで変幻自在。さらに内蔵されたギミックのほとんどが、現代に至るまで未解明というオーパーツ、そしてブラックボックスであった。

 共和国政府内で、『彼女』の破壊を主張する声が高かったのは当然だが、しかし賢者の塔、アルケミストギルドの知的好奇心が勝ち、彼女は存続を許された。

 その管理場所としては、国家や宗教はもちろん、いかなる利益集団にも属さず、しかし暴走など不測の事態にも対処できることが条件。

 そして最後の自動人形はカプラ社へ、そしてグラリスの所有物となったのである。

 

 「どしたあ!」

 だだだだん! と倉庫の階段を降りてきたのは美魔女のG5ホワイトスミス。艦橋に詰めていたはずだが、騒ぎを聞きつけたらしい。G3プロフェッサーが、

 「『G16』が暴走しました!」

 「なにぃ!? んなわけが……?!」

 報告に目を剥く。グラリスの技術担当として自動人形の調査も行う彼女は、その人形の精密さをよく理解している。壊れたなど信じられない。

 とはいえ、彼女にさえ未知の部分が多い、それも事実。

 「待て、停止させてみる!」

 ばちん!

 G5ホワイトスミスが駆け出すのと同時、G16自動人形を包んでいた魔法陣が消失する。G2ハイウィザードが起動済みだった魔法を、G3プロフェッサーが発動前にキャンセルした。

 「『ディボーション』!」

 自動人形に駆け寄るG5に、側へ詰めていた義足のG9パラディンから献身のスキル。これでG5が受けるダメージは、すべて聖騎士が引き受ける。不気味に白い『ヴェスパー鎧』は、まさにグラリスの砦だ。

 (停止コマンドのコンソールは……首の後ろ!)

 G5が自動人形の後ろに回り、カプラ服の背中のチャックに手をかける。

 しかし。

 「!」

 するり、と、G16自動人形が動いた。身体が床へと深く沈み、カプラ服のスカートが黒い花のように床へ広がる。そして次の瞬間、

 とん!

 床を蹴って、G16自動人形が飛ぶ。

 「む!」

 峰打に剣を振ったG10ロードナイトの脇をくぐり抜け、片手を床につける。

 「イヤーッ!」

 ニンジャシャウトが倉庫を圧する。G14忍者がG15ソウルリンカーを抱いたまま、片手でクナイを投擲。

 きゅん!

 G16自動人形が、床についた手を支点にバックフリップ。クナイは空を切り、倉庫の壁へ。

 ぱきん!

 隔壁すら穿つニンジャのクナイは、だが刃に阻まれる。

 G13アサシンクロス。

 なんと彼女はG16自動人形ではなく、倉庫の隔壁を傷つけるクナイの方を『脅威』と判定した。

 この異常。

 G16自動人形が、倉庫の隅へたどり着く。

 「?! 隔壁を開く気だ!」

 G5ホワイトスミスが叫ぶ。だが遅い。自動人形の手首から伸びたマジックハンドのようなギミックが、倉庫の隔壁をコントロールする機構に侵入し、強制的に解放。

 ごぅん! 

 重い駆動音とともに、後部隔壁が持ち上がる。

  轟!

 隔壁の隙間から吹き込む風が、倉庫内を暴風が舞う。

 「くそっ!」

 G5ホワイトスミスがダッシュ。が、その必要はなかった。

 わずかに開いた隔壁は、すぐに閉まった。強制解放と同時に、閉鎖のコマンドも打ち込まれていたらしい。

 倉庫の中に静寂が戻る。

 

 そしてG16自動人形の姿だけが消えていた。

 

 「なになに?! 何が起きたのよ!」

 G2ハイウィザードが叫ぶが、答えは誰も持っていない。

 だがその時だ。

 「ご説明しましょう」

 倉庫に通じる階段に現れたのは、深紅の髪のカプラ嬢。

 ディフォルテーNo1、D1の姿だった。

 

 つづく

 

JUGEMテーマ:Ragnarok

中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 14:46 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment









Trackback
URL: