07
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
--
>>
<<
--
RECOMMEND
RECENT COMMENT
MOBILE
qrcode
OTHERS
(c)
このページ内における「ラグナロクオンライン」から転載された全てのコンテンツの著作権につきましては、運営元であるガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社と開発元である株式会社Gravity並びに原作者であるリー・ミョンジン氏に帰属します。 © Gravity Co., Ltd. & LeeMyoungJin(studio DTDS) All rights reserved. © 2010 GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved. なお、当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。 当ページは、「ラグナロクオンライン」公式サイトhttp://www.ragnarokonline.jp/(または、ガンホーゲームズhttp://www.gungho.jp/)の画像(またはテキスト)を利用しております。
ro
ブログランキング
にほんブログ村 ゲームブログ ラグナロクオンラインへ にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
ブログランキング
LATEST ENTRY
CATEGORY
ARCHIVE
LINKS
PROFILE
SEARCH
<< 第十六話「The heart of Ymir」(7) | top | 第十六話「The heart of Ymir」(9) >>
第十六話「The heart of Ymir」(8)

 カプラ嬢の頂点に返り咲いて以降、チーム・グラリスを除く若いカプラ嬢たちを、言葉と態度で力強く統率するD1は、しかしほとんど笑顔を見せることがなかった。

 カプラ社どころか、世界そのものの存亡に関わる事態の、その最前線に立っている責任と重圧を、真正面から受け止めようとする彼女に、G5ホワイトスミスが『会社と心中するつもりだ』と心配したのも無理はない。

 だが今、D1の声も表情も、かつての晴れやかさを取り戻している。

 「まずは落ち着いてください。確かに異常な事態ですが、私たちにとってはむしろ福音です」

 そして笑顔。

 それが、たとえ一時的なものであったとしても、仲間のカプラ嬢たちを落ち着かせるには十分だった。

 「聞きましょうか、D1」

 神眼のG3プロフェッサーが促した時には、義足のG9パラディンも、長身のG10ロードナイトも、それぞれの準備位置に戻っている。もちろんG13アサシンクロスも待機状態だ。

 危機的状況ではない、と即座に判断し、戦闘状態を解除。しかし同時にD1の言葉を注視する。

 「はい、G3。でもその前に、彼女たちを紹介させてください」

 めったに見られないD1の『どや顔』。だがカプラ嬢たちがあっ、となったのは、彼女の背後から姿を見せた2人のカプラ嬢の方だ。

 「T4?! あなた、『戻った』の?!」

 G3プロフェッサーが、わざわざ声に出して確認する。

 倉庫じゅうの視線を集め、そこに神妙な顔で立っているのは、ポニーテールにした黒髪が特徴のカプラ嬢『テーリング』、そのNo4だった。

 敵の手によって『BOT』にされた彼女は、かつて浮遊岩塊『イトカワ』に捕らえられていた際には、岩塊を脱出しようとした無代とD1を銃で狙撃、計画を頓挫させる寸前まで追い詰めている。

 その後は仲間のカプラ嬢たちによって捕縛され、意識もないままに荷物として持ち運ばれていたのは記憶に新しい。

 それが今、生気を宿らせた瞳を輝かせ、カプラ服の背をぴん、と伸ばしてD1の隣に立っている。

 その腰には、女性らしいカプラの制服に不釣り合いな、ゴツい銃帯(ガンベルト)。

 彼女は銃士・ガンスリンガーだ。

 「G15が起きたら、改めて確認してもらいますが、彼女は間違いなくT4です。『BOT』だった身体に、魂が戻った」

 「私からも保証するさ。コイツは間違いなく私の馬鹿弟子、T4さ」

 D1の言葉を受け、後ろからぺしぺし、とT4の頭を小突いたのはグラリスNo11・師範銃士(マスター・ガンスリンガー)。万能二丁拳銃『シキガミ』を腰の後ろへ十字にぶち込み、革製のブーツを高らかに鳴らす姿は、そこらの男性銃士が裸足で逃げ出す『粋』を光らせている。

 「ったく心配かけやがってさ。ほら、謝っとくさ」

 「……皆様にはご迷惑と、ご心配をおかけしました。申し訳ありません。T4、ただいま戻りました」

 神妙な声、目には薄っすらと涙。

 「T4、よかったでやんす!!」

 倉庫の階段をすっ飛んできて、T4をがっちりと抱きしめたのはG6ジプシーだ。無理もない、誰よりも自由を愛する彼女にとって、魂を奪われる『BOT』化は、自分の心を抉られるように辛い。

 「あの段階では、誰が『BOT』にされて、同じことをさせられてもおかしくなかった。T4、貴女に責任はないわ」

 G3プロフェッサーの言葉は明快で、それゆえに有無を言わせぬ説得力を持つ。それがカプラ嬢の総意である、という保証はない。だが今は戦時、戦闘指揮官の言葉に一定の説得力さえあれば、多少のブレは看過されてよい。 

 「ほんの5分ほど前のことでした」

 D1が話し始める。

 彼女と、双銃のG11ガンスリンガーは倉庫を離れ、別にしつられられた船室にいた。そこには『BOT』状態のT4と、もう一人、同じく『BOT』にされたディフォルテーNo4、D4の身体が収容されている。

  D4、本名をモーラというカプラ嬢は、ルーンミッドガッツ王国の首都プロンテラで、冒険者に挫折しかかっていた無代と付き合い、そしてカプラ社の内紛へと引き込んだ経緯を持つ。

 そして自らも『BOT』にされて無代を襲い、さらに『イトカワ』を襲う飛行船でカプラ倉庫として利用されていたところを、チーム・グラリスの活躍によって救出された。

 D1にとっては可愛い部下、G11ガンスリンガーにとっても、T4は愛弟子だ。今は『BOT』としてのプログラムも停止しているのか、目覚めていても人形のように何の行動も、反応も返さない2人に食事をさせ、排泄や身体の洗浄、着替えや化粧まで、まるで不能者を介護するかのように面倒を見る。

 他に責務も仕事もある2人だが、他の若いカプラ嬢たちには任せられない、と自ら介護を買って出るあたり、男も逃げ出すカプラの手練れたちといえど、そこは女性らしいといえるかもしれない。

 「よし、だいぶ見違えたさ。な、D1?」

 「そうですね……服と下着の洗濯は、まとめて若い子たちに任せましょう」

 「すげー早く乾くってさ」

 「飛行船ですからね」

 D1とG11、顔を見合わせて笑う。風と太陽に事欠かない飛行船は、なにせ洗濯物干しに最高。今や『マグフォード』の上部甲板は、カプラ嬢たちの服や、華やかな色の下着で満艦飾状態である。

 船の甲板員には、草鹿少年のような青少年も多いので、大変に困ったことだ。

 T4とD4、相変わらず人形のような2人を椅子に座らせ、飛行船が荒っぽく飛んでも大丈夫なようにベルトを締める。まず先にD4。

 

 異変が起きたのは、まさにその瞬間だった。

 

 するり。

 G11ガンスリンガーの腰に、不意の感覚。もちろんプロ中のプロフェッショナル、その原因を即座に察知する。

 (『オロチ』が抜かれた?!)

 腰の後ろに十字型に携帯している二丁拳銃『シキガミ』のうち、左の『オロチ』が抜き取られた。残るは右の『イヅナ』。

 「D1、下がるさ!」

 詳細は不明、だが状況は明らかだ。部屋の中には4人、そして今のタイミングで自分の銃を奪えるのは、

 「T4!」

 双銃の、いや今は単銃のG11が『シキガミ』を手に叫ぶのと、T4が立ち上がるのが同時。

 じゃきん!

 『オロチ』の銃口が、G11の眼前に黒々と迫る。T4の手首に浮き出た筋肉が、ピクリと震える。引き金を引く人差し指を駆動させる合図。

 「しッ!」

 瞬間、G11が掌底で『オロチ』の重心を真上へ跳ね上げ、そのまま曲げた肘でT4の肘を打つ。

 T4が、負けじと打ち下ろした肘で迎撃。

 ごちん!

 2人の肘鉄が激突し、金属めいた音が部屋に響く。その音が合図だった。

 ひゅん!

 瞬時、G11の『イヅナ』が奔り、その銃口をT4の眼前にお返し。T4の『オロチ』も風を切り、『イヅナ』の銃口を弾き飛ばす。

 銃身が絡み合い、弾け飛ぶ。同時に開いた片手がお互いのカプラ服を掴み、関節を極めようとして外される。

 4つのブーツの踵が、かかん!と床を叩く。相手の足を払おうとして、複数回のフェイントを絡めた蹴りに阻まれる。

 ひゅん! ひゅん! ひゅひゅん!

 一瞬の迷い、一手のミスが致命傷となる、ドアまで退避したD1でさえ、思わず見惚れるほどの超接近戦。

 熟練のガンスリンガー同士が戦う『銃身舞踏(バレルダンス)』も、極めれば芸術だ。

 ぶぅん!

 2丁の銃底が、お互いの顎を狙って思い切り振り回される。

 「!!」

 2人の身体が同時に仰け反り、そっくり同じ角度まで、見事なアーチを描く。

 ひ!

 仰け反った勢いのまま、同じ蹴りが跳ね上がる。

 ぱちん!

 2つのブーツが空中で接触し、そこで上昇を停止。

 ぐん!

 仰け反ったまま後ろへ回転するはずの2人が、接触したお互いのブーツを支点にして、強引に身体を前方へ引き戻す。

 『オロチ』の銃口が振り下ろされる。

 『イヅナ』の銃口が振り上げられる。

 「甘い!」

 G11の気合い。

 床に残った片足一本に、鋼のような力を宿らせて身体を支え、空中で接触したブーツに今一度、蹴りを発生させる。

 「……わ!?」

 その変則動作に、とうとうT4が均衡を崩す。

 「動くな(フリーズ)!」

 瞬間、G11がT4の背後へ回り込み、その後頭部へ『イヅナ』の銃口をポイント。

 T4が『オロチ』の引き金から指を抜き、両膝を床へついて両手をホールドアップ。

 

 『勝負あり』。

 

 「まだまださ、T4」

 「さすが、恐れ入りました。……ただいま戻りました、師匠」

 降伏を告げるT4の声には、しかし限りない嬉しさと、申し訳なさが含まれている。

 「お帰り、T4」

 手塩にかけて育てた弟子の腕と、『BOT』のそれを見間違えるような師匠ではない。

 あの短い『銃身舞踏』が、どんな言葉よりも雄弁に、弟子の復活を告げている。

 「G11!?」

 駆け寄ったD1が、状況をつかめないまま目を丸くしている。

 「D1、こいつはT4だ。間違いないよ。しかし、どうやって戻った?」

 「そのことです、師匠。『私たち』は、ある人に助けられ、自分の身体に戻ることができたのです」

 

 「……『私たち』?」

 「……『ある人』?」

 

 D1がそこまで説明すれば、さすがチーム・グラリス。状況を推論するのに手間はない。G2ハイウィザードがぽん、と手を打つ。

 「あー、道理で見たことある動きだと思ったわ、あたしぐらいになれば。さっきのG16の『中身』って……」

 「ええ、あれは『D4』です。G15の招魂プロセスに横入りして、T4の魂を戻し、D4をG16のボディに宿らせた」

 説明すれば単純だが、しかしそれがどれほどの神業か、知る人ぞしる。

 「……あー、びっくりしたヨー!!」

 覆面のG14忍者の腕から、びよん、と飛び起きたのはG15ソウルリンカー。隻眼のG4ハイプリーストが素早くバイタルをチェックするが、問題なさそうだ。

 「平気平気。ちょっとびっくりしただけだヨ」

 ヒラヒラと手を振り、長い煙管に火を着けさせて一服。

 「いやー、コンロンの年寄り連中から話は聞いてたけど、やっぱ本物はすごいネー。あんなことができるなんてサー」

 細い目を、さらに細くするG15ソウルリンカー。

 「G15、説明を」

 G3プロフェッサーが促すのへ、G15、ぷはー、とひとつ天井へ向かって煙をはくと、

 「『鬼道』」

 その禁忌の言葉は短く。

 「『霊威伝承種(セイクリッド・レジェンド)』だヨ。そして……」

 煙管を掲げたまま、面白そうにぐるり、と周囲を見回しておいて、一言。

 

 「『無代の嫁です。どうぞよろしく』。だってサー?」

 

 つづく

 

JUGEMテーマ:Ragnarok

中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 13:03 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment









Trackback
URL: