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第十六話「The heart of Ymir」(21)

 「前進! 機甲前進!」

 ヒゲの大統領が叫ぶ。そんなに何度も言わなくても分かる話だが、響きが気に入っているらしい。

 ど、どぉん!

 並列2門の主砲が火を吹き、自動人形の塊を吹き飛ばす。そこへG16自動人形の身体を借りたモーラが暴れ込み、突破口を開く。なお今のモーラはG16の身体を持つと同時に、ディフォルテーNo4すなわちD4のナンバーズでもある。

 ややこしい。

 ここは簡略に『モーラ』と呼ぶことにしよう。

 「バドンの後ろへつけ! ちと煙いが、離れるな!」

 「承知しました、閣下!」

 ヒゲの大統領の指示に無代たちが従い、一団となって巨大な戦車の後ろへ固まる。確かに煙たい。戦車の排気ガスだ。

 「若先生、せめてこれを」

 呼吸器が弱い架綯のため、無代が清潔な手ぬぐいでマスクを作って着けてやる。棒付きのイグ種をくわえたままなら、多少は耐えられるだろう。

 何よりも、無代の大きな手のひらが架綯の背中に添えられ、力強く撫でてくれる。だがそれは単純な保護や憐れみ、まして甘やかしではない。架綯を一人前の戦力として正しく整備し、その性能を最大限に発揮させるためだ。

 限りなく優しく、そして容赦がない。

 ざわ、と架綯の背中に痺れが走る。肌が、ひりひりと痛い。

 傷つくことへの恐れと、戦いへの嫌悪、そして一人前の戦士として扱われたことへの喜び。とても一言で伝えきれる感覚ではない。

 震え、立ちすくむのが当然。

 「背負って差し上げましょうか、若先生」

 見透かしたように、無代の提案。だが、

 「……歩けます!」

 泣きそうな声で、それでも架綯は言い放ち、足を前に出す。転げたってかまわない、どうせ無代が支えてくれる。

 それが無代の仕事。

 そして架綯には架綯の仕事がある。

 「SPを補給できます。不慣れですが、言ってください!」

 体内で無限に魔力を生成し、それを他者に供給できる教授=プロフェッサーの仕事は、戦場における魔力タンクだ。はなはだ心もとないタンクではあるが、それでも、

 (僕は僕、一人しかいない)

 架綯は歩き、そして呪文を唱える。魔力を回し、そして自動人形を味方に作り変える。

 マスクの下にくわえたイグ種は、これで7個目……8……11個目。どんどん増える。体力と魔法で魔力を交換する術は、熟練者でも身体への負荷は大きい。

 まして架綯、すでに発熱している。無代が足元の雪をすくって布に巻き、架綯の首筋と脇の下に巻きつけて冷やしてくれる。脳に回る太い血管を冷やすことで、脳そのものを熱から守るのだ。

 どれだけ歩いたのか。いつしか周囲はトンネルに変わり、一つ目の角を曲がり、二つ目の角を曲がり、そして数がわからなくなる。

 (暗い)

 架綯の視界が狭まっていく。貧血を起こしかけている。

 どおん、どおん!

 バドンの大砲の音。

 ざりざりざりざり。

 キャタピラの音。

 がおお! がおおおお!!

 エンジンの音。

 がき、どがばきぐしゃ!

 戦いの音。

 せんせい、わかせんせい!

 無代の声。

 

 無代の……

 

 「若先生! 口を開けて!」

 耳元で叫ばれ、無意識に呪文を唱え続ける口に指を突っ込まれる。無意識に噛む。

 「いっ……先生! 飲んで!」

 指の間から、冷たくて甘い液体が流し込まれる。かっ、と喉が焼ける。ハチミツ入りの水、おそらくウイスキー添加。

 「ん……ごく」

 甘い。喉が焼ける。そして鉄の味。噛みついた指から流れる、無代の血。

 ずる、と指が抜かれ、そして飲んだ水が全身に回る。治癒魔法の効果だ。じん、と身体がしびれ、貧血状態が強制的に解除される。

 「先生、息を吸って!」

 「は……あ!」

  冷たい空気をいっぱいに吸い込む。追加の水を含まされ、さらに飲み下す。

 「上へ出ます。若先生、息を整えて」

 無代の手が背中を撫でる。

 「この先は坂です。無代が背負います」

 反論する暇すらない。あっという間に無代の背中に背負われ、背中と足を紐で固定される。

 「苦しくはございませんか。今のうちに、少しでも体力を回復して下さいませ」

 言いながら、無代が戦車の後から坂を登り始める。

 急な坂は、貯雪槽とトンネルを保持するための重機を地下に運ぶ穴だ。

 がおお! がおおおおお!

 がりがりがりがり!

 戦車・バドンが力強く坂を登る。凄まじい排気の煙が、マスクをした架綯の喉さえ侵す。

 「もう少しでございます!」

 だが架綯を背負った無代はまるで平気。広い背中、そして力強い足取りで、架綯を上へ、上へと運んでくれる。

 そして光。

 強くなる。

 太陽の光。

 空中都市ジュノーの空。

 そこは今、まさに戦場だった。

 「マグフォード!!」

 無代が叫ぶ。

 飛行船マグフォード。無代たちの希望を乗せた船。

 「セロ……!」

 ヒゲの大統領がつぶやく。

 飛行船マグフォード、そして飛空戦艦セロ。

 

 二つの飛行機械の死闘が、ついに決着の時を迎えていた。

 

 つづく

 

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中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 14:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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