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第十六話「The heart of Ymir」(22)

 「……ダメっさね」

 巨銃エクソダスジョーカーXIIIのスコープから目を離したグラリスNo11、双銃のG11ガンスリンガーは、呆れるほどあっさりと降参した。

 「ちょ!? ええぇぇぇええええ?!!?!」

 グラリスNo2、小柄で毒舌なG2ハイウィザードが、この時ばかりは目をむいて絶叫。

 「ど、どどどどういうこと!? その大砲、効かないの?! どーすんのそれ?!」

 しかしG2があわてるのも無理はない。

 圧倒的な戦力を持つ戦前機械(オリジナルマシン)・飛空戦艦『セロ』に対し、技術的には周回遅れもはなはだしい飛行船『マグフォード』で立ち向かう。その戦いの成否は、同じく聖戦時代の性能を伝える巨銃、エクソダスジョーカーXIIIの破壊力にかかっていたからだ。

 この巨銃の弾丸には、火薬ではなく複数の激発型魔法陣が仕込まれており、それが着弾と同時に起動、瞬間的に複数の熱核系エネルギー召還魔法となって発動する。

 『召還融合(リコールフュージョン)』。

 寸分違わず重なった同一の空間座標に対し、同一の効果を持つ魔法を発動することで、破壊力を幾何級数的に増大させる超技術。

 敵の攻撃を吸収・分解してしまう『セロ』の流体装甲(リキッドアーマー)といえども、この威力には耐えられない。

 

 はずだった。

 

 「だってさー、そもそも弾が当たんないんじゃ、どうしようもないさー」

 G11ガンスリンガーが、いっそ呑気といっていい口調でぼやく。

 事実、彼女が放った弾丸は『セロ』に着弾する直前、展開された13枚のエネルギーウイング『ルシファー』によって迎撃され、蒸発させられてしまった。これでは魔法が発動せず、破壊力を発揮するどころではない。

 「……ふむ」

 杖を抱えたグラリスNo3、月神のG3プロフェッサーが思案顔。

 「どう思いますか、G9」

 質問した先は、『マグフォード』の甲板に巨大な鎧ごと固定されたグラリスNo9、義足のG9パラディンだ。

 「『オートガード』だ」

 分厚い鎧の中から、伝声管ごしの回答は素早く、そして簡潔だ。聖騎士の性格もあるのだろう。

 聖騎士系の防御スキル『オートガード』は、敵の攻撃を一定の確率で完全防御する。その確率は必ずしも高くはないのだが……

 「13枚のエネルギーウイングとやらに、それぞれ一人づつ聖騎士を配置して、発動確率を上げているんだろう」

 13人のうちの誰かが『当たり』なら自動防御が発動する、そういう仕組みか。

 「バカバカしいほどの力技だが、確かに効果はあるな」

 「なるほど」

 聴き終えたG3プロフェッサーが、再び思案顔に戻る。

 「落ち着いてる場合かぁぁぁああ!!」

 G2ハイウィァードがじたばた。

 「ええい、こうなったら結局あたしの魔法だ! 見てろ、焼き鳥にしてやる!!」

 全身にまとった凄まじい魔力強化装備をじゃらり、と一度鳴らしておいて、空間の向こうにある自分のカプラ倉庫から、瓶やら錠剤やらの薬剤を1ダースほども引っ張り出す。

 ただでも強化された魔法を、さらに肉体、精神レベルでブーストする秘薬の数々。それも常人が飲めば間違いなく命にかかわるほどの量だ。それを、

 「はいはい、落ち着くでやんす」

 ひょい、と取り上げたのはグラリスNo6、虹声のG6ジプシー。

 「ああっ、こら返せ!!」

 「その前に、作戦をちゃんと聞いてたでやんすか、渦ちゃん? ここまでは『想定内』でやんすよ?」

 「ん……?」

 G2がきょとん。

 「やっぱり聞いてなかったでやんすね」

 G6ジプシーがやれやれ。

 「本番はこれからさー。まあ、見てるさね」

 G11ガンスリンガーが、再び巨銃のスコープに目を当てる。そして、

 「支援、よろしくさ」

 後ろも向かずに声をかければ、ただちに、

 「『ブレッシング』! 『マグニフィカート』!……」

 グラリスNo4、隻眼のG4ハイプリーストから、自己強化の魔法が次々に贈られる。さらに、

 「ブラギをなんと呼ぶべきか♪」

 G6ジプシーの歌が響く。さらに、

 きぃん……!!

 G11ガンスリンガーの片手から、一枚のコインが澄んだ音を響かせて宙に舞い、そのまま甲板の外へ、どこまでも広がる空へと消えていく。

 きぃん……!

 続けてもう一枚。コインに込めた魔力を解放し、自身の力に変えるガンスリンガーの技だ。

 「『インクリージングアキュラシー』……!」

 狙撃の命中率を高める銃士スキル。これまでの試し撃ちでも使ってこなかった強化スキルを惜しげもなく投入。また足元には既に空になった薬瓶も転がっている。

 きり……!

 G11ガンスリンガーの目が、音を立てて細まる。比喩ではない、本当に音を立てたのだ。

 持てる力のすべてを費やし、人間を超越する。

 「OK、いつでもいいさ、G1」

 G11ガンスリンガーの隣、いつのまにか立っていたのはグラリスNo1、神眼のG1スナイパー。

 左手には愛用の大弓、そして右手につがえた矢は……。

 「ちょっと、それマジ?!」

 G6じぷしーにイジられていたG2ハイウィザードが、再び目をむく。だが当然だ。

 G1スナイパーが弓につがえた矢には、肝心の鏃がなかった。代わりに別の物がくくりつけられている。

 巨銃エクソダスジョーカーXIIIの弾丸、その弾頭だった。

 「それ、弓で撃つ気?! 本気で?!」

 「G2、静かに」

 G3プロフェッサーがたしなめる。

 ぎり、り……!

 飛行船『マグフォード』の甲板、その突先に陣取ったG1スナイパーが大弓を引き絞り、ぐい、と遥か天を指す。

 恐らく人類史上、聖戦時代を含めても前例がないだろう、弓による超・超距離狙撃だ。

 いつの間にか、飛行船の甲板を見渡せる窓に、若いカプラ嬢たちが鈴なりになって見つめている。危険だから席に座ってベルトを締めろ、と言われているはずだが、どうにも我慢できなかったらしい。

 そもそも、彼女たちを率いるはずのディフォルテーNo1、D1さえ、その中に混じっているのだからお代はいらない。

 今から起きる奇跡、それを見逃すことは、どうしてもできない。

 ひょう……♪

 口笛。

 G1だ。

 素朴といえば聞こえのいい、単調なメロディー。技巧もなく、リズムもバラバラだ。

 それでも口笛は風に乗り、見渡す限りの青空と、所々に散った雲の中へと流れ、消えていく。

 歌舞にかけては最強のはずのG6ジプシーでさえ、一瞬、自分の歌を忘れ、陶然と目を閉じる。

 (さあ、この矢を届けた子に、口笛をあげよう)

 G1の異能。

 風が人に見えるという感能力が、空を吹き渡る風を目で捉える。

 もちろん、風は人ではなく、口笛もなにも聴いてはいないし、G1の言うことを聞くわけでもない。

 それは、彼女自身の感覚を高め、人を超えていくための儀式のようなものと思えばいいかもしれない。

 (届けて、この矢を)

 ふ!

 自分でも気づかぬうちに、矢が弓を離れた。

 だが敵までの距離は遠い。とても矢の勢いだけでは届かない。

 (……まず、西向きの風が運ぶ)

 G1の目が、矢を背中に乗せて飛翔する西風の姿を追う。

 (邪魔が入る。北の風はいたずら者だ)

 背中の矢を、北風の子供が振り落とす。見る間に高度が落ちていく。

 「うわ……!」

 見ていたG2が目を覆う。が、

 (大丈夫、東の風は素直だ)

 ひょう、と、落ちてくる矢を両手ですくい上げ、再び軌道に乗せるのは東風だ。

 (でも、南風とのデートがある。矢は二人が出会うまで)

 南風が吹き、東の風をさらっていく。

 矢が手を離れ、落ちる。

 「……10秒後に敵直上100メートル」

 G1の唇が、奇跡の始まりを告げる。

 「カウント、5、4、3……」

 「『スネークアイ』」

 G11ガンスリンガーが、最後のスキル名をつぶやく。

 ばき、と音を立て、銃士の瞳が縦に割れる。蛇の眼。

 トリガーが引かれる。

 だぁん!!

 巨銃が火を噴く。瞬間、

 「よし」

 神眼のG1スナイパーがうなずく。彼女には、もう分かるのだ。

 

 飛翔する矢を、敵に撃ち落とされる前に、弾丸で狙撃する。

 神業の中の神業が、見事成功したことが。

 

 「全員、衝撃に備えて。中の娘たちも席について、ベルトを締めさない」

  G3プロフェッサー。伝声管に吹き込む声は冷静、いっそ事務的ですらある。

 「え、当たったの?」

 きょとんとするG2ハイゥザードに、

 「ああ。これからね」

 G1スナイパーがうなずいて、G2の身体を子供のように抱え上げ、甲板に備えられた非常用の椅子に座らせ、ベルトでぐるぐる巻き。

 「ちょ、お?!」

 「杖を離さないように」

 言いながら、自分は甲板のフックに自分の腰から伸びたベルトを引っ掛けただけ。

 そして。

 「命中(ヒット)」

 甲板にひざまずいたG1が、小さくつぶやいた次の瞬間。 

 

 かっ!

 

 空の真ん中に、光の地獄が出現した。

 

 つづく

 

JUGEMテーマ:Ragnarok

中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 15:43 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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