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第十六話「The heart of Ymir」(26)

 もふ。

 飛行船『マグフォード』の船体が、ホムンクルスの柔毛の中へ、さらに埋まる。

 同時に猛烈な異臭が、甲板にいるチーム・グラリスたちの鼻を犯す。柔毛が高熱で焼ける匂い。

 巨大銃・エクソダスジョーカーXIIIの威力を、この巨大な人造生物が受け止め、飛行船を守っている証拠だ。

 「でっかー!?」

 シンプルで正直な感想は、グラリスNo2ハイウィザード。実際、この巨体を前にしては、誰だってその程度の感想しか吐けないに違いない。

 「まさか、ここまで上手くいくたぁね」

 肩に巨大なレンチを担いだグラリスNo5ホワイトスミスが、タバコをひと吹きして笑う。

 「『空中召喚』は、際限なく巨大にできるのがいいわ」

 盲目のグラリスNo7クリエイターも笑う。

 錬金術師系が創造・使役する人造生物ホムンクルス。その『大きさ』を競うカテゴリーにおいて、当代最高の技術を持つ『巨大種使い(ギガントファンサー)』こそが彼女だ。

 浮遊岩塊『イトカワ』脱出で活躍した鳥型のフィーリルに続く2体目。

 羊やカバといった獣型を取り、主人を守る防御力に秀でたアミストルの巨大種(ギガンテス)。その巨体を空中に召喚し、至近距離での超爆発から船体と乗員たちを守った。

 爆発に直接さらされた体側は、体毛から肉まで焼け焦げた非道い有様だろう。が、元来ほとんど痛覚を持たない人造生物、焼かれようが裂かれようが苦痛はない。

 モンスターに倒され死亡した主人の横で、同じくボロボロの姿になりながらも、のんびりと草を喰むアミストルの姿は、冒険者たちの間では日常茶飯事だ。

 「でもさ、このデカイの連れてたら無敵じゃん?」

 「あ、それ無理」

 のんきに目を輝かせる細身のG2に、盲目のG7はあっさりと首を振って、

 「この子、『重すぎて立てないのよ』。地面だと」

 「意味ねえ?!」

 G2のツッコミ。

 『巨大種使い(ギガントファンサー)』は、あくまで『大きさ』を競うカテゴリーであり、現代で言えば『巨大カボチャコンテスト』に近い。味の良し悪しいや、食えるかどうかも問題ではない。

 ただひたすら、大きければいいのである。

 「ああ、でもせっかく新記録級ができたのに……大きさ測れないかしら、今?」

 そんなことをつぶやくG7。

 常識人に見えてもグラリス、頭のネジがどこか抜けている。

 「ま、おかげで助かっ……おっと!?」

  美魔女のG5が、巨大なレンチを担いで甲板をダッシュ。ホムンクルスの柔毛の圧力で外れ掛けたボルトを自ら締め直していく。

 「全艦! 各部の損傷チェック!」

 「全艦、各部損傷チェック」

 G5の怒声を、甲板に鎧ごと固定されたグラリスNo9パラディンが、内蔵の伝声管を通じて館内に通達する。元は職人上がりのG5がドラ声を上げるのに対し、バリバリの前衛戦闘職であるG10の声が逆に落ち着いているのが可笑しい。

 戦闘が苛烈になるほど感情は落ち着いてくる、というより『感情を殺し始める』のがプロフェッショナルだ。ましてG10パラディン、戦場のど真ん中で味方のダメージを自ら引き受ける守護聖騎士ともなれば、死ぬ時もこのテンションのまま息絶えるだろう。

 「お、と、と?!」

 『マグフォード』の甲板が急激に傾き、グラリスたちが足場を崩す。

 「ちょっと、しっかりしなさいよ!!」

 「無理言わないで」

 怒鳴るG2に、盲目のG7クリエイターが穏やかに反論。

 「『ベルガモット』はアミストルよ。空が飛べるわけじゃない。空中に召喚されたら、そりゃ落ちるわよ」

 「はあ?!」

 ぐら。『マグフォード』の傾きが激しくなる。『ベルガモット』が落下を始めたのだ。このままでは『マグフォード』も柔毛に埋まったまま墜落する。

 どれだけもふもふの巨大種でも、この高さから落ちれば即死。もちろん『マグフォード』だって巻き添えだろう。

 「G7、ここまでだ!」

 「『安息』」

 美魔女のG5が指示し、盲目のG7がホムンクルスの召喚を解く。偽りの生命を終わらせ、たった1個の卵母細胞へ回帰させると、腰の試験管へ厳重に封入。同時に、

 ざあ!!

 巨大な身体を構成していた肉体が、同量の有機塩へと変換される。空の真ん中、青みを帯びてさえ見える真っ白な塩の塊。

 それは極寒の地に降るパウダースノーのように空中へ散り、『マグフォード』の上にもほんの一時、降り積もった後、風に吹かれて空中へと消えていく。

 「ふえ、しょっぱ!」

 文句を言うG2だけではない、他のグラリスたちも、口やら目やら耳やらに容赦なくサラサラと降る塩を、吐き出したり振り払ったり。

 「大丈夫、人体に害はありませんよ」

  盲目のG7。安心させるつもりだろうが、もちろんそういうことじゃない。

 いや、今はそれよりも。

 「敵は?!」

 飛空戦艦『セロ』、目下の敵はそれだ。グラリスのほとんど全員が、甲板の縁に駆け寄る。

 広がる空。眼下には赤茶けたシュバルツバルドの辺境大地。遠くに雲、いくつかの浮遊岩塊。

 そして『セロ』もいる。『マグフォード』のほとんど真下。至近距離からの奇襲で、ついに『上』を取った。

 「……残り3本」

 誰かがつぶやく。

 圧倒的な破壊力と防御力を誇る『エネルギーウイング』。それをここまで削るなど、到底、人間が成しうる技ではない。

 だが、それでも敵は健在。脅威は依然、脅威のまま。

 グラリスたちの戦いは終わっていない。

 「……G8を上げてください」

  グラリスNo3プロフェッサーが指示。

 「 G8、上げろ」

 G9パラディンが伝声。と、ほとんど同時。先刻、彼女が鎧ごと甲板へリフトアップされた昇降機が再び動きだす。

 開いた甲板から暗い船倉が見え、そしてその闇を淡く照らす幾つもの光球が見えてくる。

 甲板を吹き抜ける高空の風、それより高く、そして規則正しい呼吸音。

 グラリスNo8チャンピオン。裸足を座禅に組み、静かに目を閉じて『その時』を待っていた。

 決戦。それが近いことを、否応なく全員が感じ取る。

 だが一人、

 「はいはい出オチ出オチ。下げた、下げた」

 全く感じていないグラリスが一人だけいる。

 「『トドメ』とか無用、あたしぐらいになればね!」

 ぎゃらあん!

 杖と、全身を飾る魔力強化アイテムを揺らし、彼女は甲板の舳先に片足をかける。

 「任せました、G2。思い切りやっちゃってください」

 指揮官たるG3プロフェッサー、彼女にしては軽い言葉遣いだ。その方が、相手が『ノる』と知っている。

 「おっしゃ、任されたぁ!」

 グラリスの最大破壊力・G2ハイウィザードが、その杖を天にかざす。

 

 つづく

 

JUGEMテーマ:Ragnarok

中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 13:28 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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