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第十六話「The heart of Ymir」(28)

 「1本、残った」

 忌々しく輝く光の翼が、『マグフォード』に迫る。

 

 そこからの数分、いや『数秒間』に、飛行船『マグフォード』の上で起きた出来事を伝える記録は存在しない。

 

 いや、記録そのものは存在する。のちに再建されたカプラ社が発行する社史の中に、詳細に叙述された『正史』が存在することは、する。

 だから正しくは、その出来事を『正確に記した記録は存在しない』というべきだろう。

 

 その出来事は『ある理由で』抹消され、それを目撃したカプラ嬢と『マグフォード』の乗組員だけの、生涯の秘密となった。

 

 『正史』によればこの時、グラリスNo2ハイウィザードが苦しい身体を圧し、2発目の魔法を放った、とある。

 だが、正確にはそうではなかった。

 G2ハイウィザードは『魔法を放とうとした』。

 「ぎぅぅ!!」

 倒れそうになる身体を杖に預け、自らの牙でズタズタに裂けた唇を震わせて、呪文を唱えようとした。

 その目、その耳、その鼻からも、鮮血が滝のように流れ落ちている。凄惨な有様だ。

 思考と魔力導通を高速・強化するため、ドラゴンの体液を精製した薬剤を摂取し、ドラゴンがそうであるように脳を結晶化させた。

 結果、脳へ血液を供給する動脈が詰まり、頭蓋骨の中で内出血を起こしている。

 当然、脳への酸素供給も行われない。

 余命数秒、いや、生物学的には『もう死亡している』と表現されてよい。

 カラカラカラカラ!!

 『マグフォード』の甲板を、回復剤の空き瓶が、マシンガンの空薬莢よろしくバラまかれる。グラリスNo9パラディンが、ダメージ転化の『献身』スキルにより、G2のダメージを引き受けている。

 が、身体への単純な損傷や痛覚だけならともかく、G2のそれは薬剤による永続的な身体異変を伴うダメージだ。いかなグラリス・パラディンといえども、引き受け切れるものではない。

 だが、そんな『死に体』の有様で、なお敵を撃つために這いずり回る。

 これが魔法使い。

 そんなダメージでも、淡々と受け止めて支える。

 これが守護聖騎士。

 「……ゲぅ」

 小さな龍が火を吐くように、G2が吐血。意志はあれども、もはや身体が限界だ。

 瞬間。

 ばさ、とG2の頭に大きな紙袋が被せられた。

 グラリスNo4ハイプリースト。

 そして次の瞬間。

 「ふ……ッ!」

 ごきん!!

 G4の肘鉄が紙袋の上からG2の脳天へ、全体重を乗せた激烈さで叩き込まれる。

 なにせ、ただの尼僧の肘鉄ではない。

 アルナベルツ教国教皇直属の威力機関『聖槌連』、その中隊を率いた武僧が前身という武闘派。治癒支援型に転身した今でも、1日数時間に及ぶ鍛錬を欠かさない肉体は、グラリスの騎士系嬢たちが教えを乞うレベルだ。

 ぐじゃ、と紙袋が血に染まる。脳幹を頭蓋ごと叩き割られて即死。そして素早く、

 『蘇生(リザレクション)!』

 死者を蘇らせる、僧侶系の奇跡魔法が贈られる。

 薬剤によって結晶化したG2の脳は、たとえ治癒魔法を贈ろうが元には戻らず、ただ死へ向かうのみ。だから頭蓋骨ごと脳を砕き、いったん死亡させることで、薬剤による肉体変異をリセットした。

 もちろん、ここまで激しく損傷した肉体では、蘇生に失敗してそのまま死亡する確率も高くなる。が、

 「……げふっ!」

 G4の膝の上で、G2の身体がびくん、と痙攣。

 蘇生成功。

 この無慈悲なまでに容赦ない、しかし確実無比な治療こそ、従軍尼僧G4ハイプリーストの真骨頂だ。

 仲間の復活に安堵する、しかしグラリスにその暇はない。

 

 飛空戦艦『セロ』が迫る。

 

 グラリスNo1スナイパーは弓を連打、No11ガンスリンガーは腰の双銃を引き抜き、伏せ撃ちのまま乱射するが、『セロ』の流体装甲を破るには威力不足。

 「『スパイラルピアース』!」

 乾坤一擲、騎士系職でも最大級の遠距離攻撃、グラリスNo10ロードナイトの槍が飛ぶ。だが、

 ばしっ!

 エネルギーウイング、最後に残った1本の光の羽に撃ち落とされる。

 

 万事休す。

 

 だっ、とグラリスの全員が動いた。

 グラリスNo8チャンピオンが、甲板の最後部から助走を開始する。だが正直、今、敵に向かって突撃しても、エネルギーウィングで迎撃されるだけだろう。

 しかし、それもやむなし。

 さらにG9パラディンが、グラリスを保護していた献身を解き、巨大な鎧ごと身をかがめている。

 手には巨大な剣。このまま甲板を突き破って船倉に落下し、『グラリス以外の』各チームのNo1を保護する。

 G7クリエイターは、手持ちのホムンクルス・ギガンテスの再召喚を準備。

 G4ハイプリーストはG2ハイウィザードの身体を肩に担いだまま、船内へと走る。ありったけのバリア呪文を振りまくためだ。

 

 『マグフォード』が墜落した時、1人でも多くのカプラ嬢が生き残れるように。

 

 合図も何もなく、『戦闘(バトル)』ではなく『生存(サバイバル)』へと、グラリスたちは目的を変えたのだ。

 

 1人を除いて。

 

 チーム・グラリスがいっせいに甲板を駈け出す中で、たった1人、悠々と甲板の舳先を目指して歩く姿があった。

 「?!」

 G3プロフェッサーが一瞬、目をむく。彼女のプランに、そんな動きは入っていない。

 だが、その小柄な姿は止まらず。

 グラリスNo15ソウルリンカー。

 敵の巨大な船影が迫る、『マグフォード』の舳先に立ち、彼女はにっこりと微笑むと、

 「みんな、大好きだヨー」

 今、それを言う時なのか。だが、彼女は言葉を続ける。

 「だから、私を嫌いにならないでね」

 聞いたこともないほど、寂しそうな声。

 さしも百戦錬磨のチーム・グラリスが一瞬、五感のすべてを彼女に奪われる。

 G15の小さな手が静かに、まっすぐに敵を指す。

 

 「『霊道よ、通え(エストン)』」

 

 ぱしん!

 霊能力を持たないグラリスたちにも、はっきりと見えるほどの霊力が、G15と敵の間に奇跡の道を開く。

 敵の被害は軽微、だがそれはあくまで『お膳立て』に過ぎない。

 G15の周囲に、その小柄な身体が一瞬、宙に浮くほどの霊力が集中。

 少女の姿の魂術師が、きらり、と細い目を光らせる。

 

 「『霊撃(エスマ)』」

 

 そしてグラリスたちは、カプラ嬢たちは、『マグフォード』に乗り込む全ての者たちは知ったのだ。

 グラリスNo15ソウルリンカー。神殺しの女魂術師。

 彼女こそは、はるか遠い昔に封印され、忘れ去られた禁断の存在。

 

 霊撃魂術師(エスマリンカー)である、と。

 

 つづく

 

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中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 13:57 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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