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第十六話「The heart of Ymir」(29)

 グラリスNo15ソウルリンカーの周囲に、轟、と、可視の霊渦が出現した。

 魔法使いや僧侶たちが駆使する『魔力』とは別種の力、『霊力』によって召喚された霊物質(エクトプラズム)。それらは本来、不活性状態においては不可視のはずだが、それが『見える』ということは、単純に『濃度が濃い』ことを意味する。

 『霊撃(エスマ)』とは、この単純に濃厚な霊物質を敵に叩きつけるスキルだ。

 それゆえに魔法使いたちからは、

 『あんなの技術(テクノロジー)でも技法(テクニック)でもない、ただの力任せの暴力(フォース)だ』

 と謗られる。

 そして『霊撃魂術師(エスマリンカー)』とは、その霊撃を操る術師の総称。

 神仙都市・コンロンを本拠地とする魂術師(ソウルリンカー)は、今でこそ大した戦闘力も持たず、もっぱら兵士や冒険者を補助する支援職としか知られていない。

 だが、ざっと600年ほど歴史を遡った過去、その評価はまるで違っていた。

 『1人ボス殺し(ワンマン・ボスキラー)』

 当時のソウルリンカーを評して……というか呪って、冒険者たちがつけたあだ名だ。

 本来なら冒険者がチームを組み、必死のチームワークを駆使して挑まねば倒せないボスモンスターに、単身で挑んだ挙句倒してしまう。 

 格闘術に秀でた初級職『テコンキッド』から受け継いだ、俊敏な基礎体術と見切りのスキル。

 『敵から攻撃を受けるたびに傷が癒える』、という反則級の自己治癒スキル。

 『一度だけ敵の攻撃を完全に無効化する』という、これまた反則級の防御スキル。

 極めつけは『死亡と同時に蘇生する』、死すら超越するスキル。

 もちろん、使いこなすには相当の修練を必要とするものの、もしも彼らが敵に回ったことを想像すれば、これほど厄介な敵はまたといないだろう。

 そして『霊撃(エスマ)』。

 凶暴にして強大なボスモンスターを単身で翻弄し、ろくに手傷も負わないまま、涼しい顔で撃破する。

 その力の前に冒険者たちは戦慄し、そしてそれは『排除』・『迫害』へと変化していった。

 これは皮肉だ。

 だって冒険者とは元々、一般社会で異物として『迫害』され、『排除』された者たちに他ならない。

 その彼らが今度は身内に異物を作り、それを切り捨てにかかる。ギルドという共同体に群れ、そこに社会性を求め、規則を作り、そして『反則』を許さない。

 それを皮肉と呼ばずして、なんと呼ぶのか。

 だが結局、ギルドという形で徒党を組んだ冒険者たちは、ソウルリンカーたちの本拠地であるコンロンに詰め寄り、今後は『霊撃(エスマ)』の研究と修行を行わないことを約束させてしまう。

 以来、『霊撃(エスマ)』の力はみるみる弱まり、ものの100年と経たないうちに『霊撃魂術師(エスマリンカー)』は滅びてしまった。

 少なくとも表向きは、そう思われていた。

 だが、違ったのだ。

 『霊撃(エスマ)』は生きていた。

 『霊撃魂術師(エスマリンカー)』は、ここにいる。

 

 G15ソウルリンカー。

 神殺しの巫女。

 

 少女時代の彼女が、どうして次元を超えて侵入した凶神を殺すことができたのか。街を、民を救ったにもかかわらず、なぜコンロンを追放されねばならなかったのか。

 考えてみれば分かる話だったのだ。

 巫女の身であるにも関わらず、神を殺してしまった。

 使ってはならない『霊撃(エスマ)』を使ってしまったこと。

 二重の禁忌を犯したからこそ、彼女は故郷を追われたのだ。

 

 『私のことを嫌いにならないで』

 

 決死の戦いの末、街を守った彼女に向けられた蔑みの目。守ったはずの人々から向けられた目。

 普段の飄々とした態度からは想像もつかない、決して癒えることない傷。いや、それはもう傷などという中途半端な言葉では表現しきれない。

 砕け散った心の欠片を、ころん、と転がせただけの虚ろ。

 その欠片に残った、微かな熱だけが。

 

 ただ、その熱だけを。

 

 轟、と、封印された禁忌の暴力が大空に咲き誇る。

 膨大な霊力の渦が、実体を伴って宙を駆け、エネルギーウィングの防御をかいくぐり、飛空戦艦の船体に突き刺さる。

 ばっ!!

 エネルギーウイングが消失。最後の砦が、ついに陥落した。

 飛行船の舳先、ふわ、とG15の小柄な身体が、風にあおられて宙に浮く。一瞬で力を使い果たした巫女は、静かに目を閉じる。

 

 『私のことを』

 

 がしっ!!

 その襟首を、力強い手ががっちりと掴み、引き寄せた。

 「うぉっとお!」

 グラリスNo5ホワイトスミス。戦闘ではない、力仕事で鍛えた腕が、風に流されようとするG15の身体をキャッチ。

 「とぉーっ!」

 グラリスNo6ジプシーが、妙な気合いと一緒にダイブし、G15の細い腰に身体ごとタックルを敢行。

 「確保っ!」

 大柄な身体でG15を羽交い締めにしたのはグラリスNo10ロードナイト。

 「よいしょ、と」

 不自由な目で、それでも両手を懸命に手探りし、G15の身体にハーネスのベルトをぱちん、と固定したのはグラリスNo7クリエイター。

 「道を開けてください」

 G15の安全が確保されたのを確認し、淡々と作戦を実行する、それがグラリスNo3プロフェッサーの仕事だ。

 G15を中心に、グラリスが塊となって甲板の上を横へ移動する。そこへ、

 「G15、手ぇ!」

 甲板の端から舳先へと、全速力で助走してきた裸足のカプラ嬢。

 

 グラリスNo8チャンピオン。

 

 走りながら片手を肩の高さに、手のひらを大きく開く。

 G15が細い目を目を丸くしながら、それでも小さな手を、同じように開く。

 2人のグラリスがすれ違う。

 ぱぁぁん!

 鍛錬に鍛錬を重ねたチャンピオンの掌と、小さな巫女の掌が奏でるハイタッチの音が、どこまでも澄み渡る青空へと遠く。 

 「行ってくる!」

 真っ白な歯を、これでもかと笑顔に飾り。

 目を、再び糸のように細めた笑顔に見送られ。

 だぁん!

 裸足の王者は、大空へ跳ぶ。

 

 つづく 

 

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中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 13:03 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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