06
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
--
>>
<<
--
RECOMMEND
RECENT COMMENT
MOBILE
qrcode
OTHERS
(c)
このページ内における「ラグナロクオンライン」から転載された全てのコンテンツの著作権につきましては、運営元であるガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社と開発元である株式会社Gravity並びに原作者であるリー・ミョンジン氏に帰属します。 © Gravity Co., Ltd. & LeeMyoungJin(studio DTDS) All rights reserved. © 2010 GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved. なお、当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。 当ページは、「ラグナロクオンライン」公式サイトhttp://www.ragnarokonline.jp/(または、ガンホーゲームズhttp://www.gungho.jp/)の画像(またはテキスト)を利用しております。
ro
ブログランキング
にほんブログ村 ゲームブログ ラグナロクオンラインへ にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
ブログランキング
LATEST ENTRY
CATEGORY
ARCHIVE
LINKS
PROFILE
SEARCH
<< 第十六話「The heart of Ymir」(30) | top | 第十六話「The heart of Ymir」(32) >>
第十六話「The heart of Ymir」(31)

 『貴女は、未来を生きなさい』

 弟子となったグラリスNo8チャンピオンに、尼僧は繰り返し告げた。そして、その言葉には2つの意味がある。

 一つは、尼僧自身が歩んだ人間兵器としての過去に囚われないこと。

 二つには、人が人に進化する前の、獣(ケモノ)の力に頼ることなく、人のまま人を超えること。

 すなわち『自己進化』の達成だ。

 数多くの失敗と犠牲を繰り返してきた尼僧には、しかし確信があったのだ。

 『人を進化に導く扉、9番目のチャクラは存在する』

 尼僧は既に、独自の鍛錬と瞑想の末、その端緒を掴んでいた。そして誰にも伝えるつもりのなかったその秘密を、最後の弟子・G8チャンピオンに託したのだ。

 

 『人の脳には、龍が潜む』

 

 尼僧が託した、それが口伝。

 進化の当初、人間の脳は、ただの神経細胞の塊に過ぎなかった。だが発達の過程で複雑に分岐し、様々な役割を持つ部位へと拡大していく。

 原始的な瘤のようだった脳から、まず二つの部位が分かれて上方へと隆起し、左右の頭頂葉へと進化した。そこから隆起は前方へと転じ、前頭葉が作られる。が、そこに至っても、人の脳はまだ拡大をやめなかった。行き場を求めた脳は後方へも拡大し、側頭葉と後頭葉が作られる。

 結果、元の原始的な部位は、完全に新しい脳によって覆い隠されてしまう。

 『脊髄の先端、獣(ケモノ)の尾から生まれた龍は、必ずそこにいる』

 それは、新しい脳に覆い隠された古い部位、大脳辺縁系のさらに奥。

 頭のてっぺんにある頭頂のチャクラ・サハスラーラ、気功術では百会と呼ぶ泉の、ちょうど真下。

 『龍は、9番目のチャクラは、必ずそこにある』

 尼僧は確信を持って示す。

 『その泉を、龍泉と名付けましょう』

 尼僧は、弟子となったG8に武術を教える傍らで、呼吸法と瞑想による『龍泉』の探索を日課とした。過去、何人もの犠牲を出した危険な鍛錬だったが、尼僧自身、たゆまぬ努力で技法を洗練し、もはや『荒瞑想』などの過度なストレスによらずとも目的に近づける。

 やがて幾年かが過ぎ、老齢となった尼僧が肉体の衰えとともに病み、床につくことが多くなっても、師弟の探求は止まなかった。

 そして、ある快晴の朝。

 『御師さん、龍が見えました』

 瞑想中だったG8が、ついに己の脳の奥に『それ』を見つけた。尼僧は、衰えた身体を寝床から引きずるようにして、

 『そのまま、龍を見失わないように』

 瞑想を続けるG8の後ろに立つと、残り少ない己の気を振り絞り、

 『龍よ、天に昇れ!』

 瞬間、両手の掌をG8の背中にふっ、と触れさせ、全ての気を若い弟子の身体に注ぎ込むと同時に、G8の身体が白熱し、どん! と、その身体の周囲へと衝撃波が拡散。その余波で、老いた尼僧が枯れ木のように吹き飛ばされ、荒れた岩山に転がる。

 『御師さん!?』

 G8があわてて跳躍し、師の身体を抱き上げた時には、老いた尼僧は既に手遅れの状態だった。高価な蘇生アイテムも、ここにはない。

 『龍は、未来を示すもの』

 苦しい息の下で、尼僧は最後の言葉を告げる。

 『貴女は、未来を生きなさい。きっと楽しく、笑って生きるのよ』

 そうして事切れた師の表情は、弟子のG8が初めて見る、穏やかな笑顔であった。

 そう、彼女は優しい師であったが、彼女の過去がそうさせたのだろう、

 

 彼女は、決して笑うことはなかったのである。

 

(御師さん、私は今、笑ってます)

 巨大な敵に向かって、大空のど真ん中を落下しながら、G8チャンピオンが師に呼びかける。貴女の言いつけを守り、笑って、楽しくいます。

 貴女がくれた生きる力で、未来を生きています。

 「……『潜龍』」

 風と雲が支配する世界で、G8は彼女の龍を呼び覚ます。

 「『昇天』……っ!」

 どん!

 身体を捕えようとする風を吹き飛ばす、『爆裂波動』と呼ばれる凄まじい身体衝撃波がG8を包む。

 G8の体内を龍が、活性化された気が駆け巡り、すべての細胞という細胞を活性化させる。

 人の進化の可能性を信じた、一人の女性の遺産であり、未来への投資だ。

 すうっ!

 G8が高空の空気を吸い、そして吐く。呼吸によって気を練り、その気を気弾として身体の周囲に精製していく。その数はかつての5個から、最大の15個。

 そして、師の問い。

 

 『すべてのスキルの中で最強のスキルは何か、貴女は分かる?』

 

 様々な異論はあれど、多くの人は、いやほとんどの人々が答える名はひとつだろう。

 

 「『阿修羅』……」

 

 G8が拳を握りしめ、全身の気を振り絞る。飛空戦艦『セロ』、その銀色の船体が視界を埋める。

 

 「……『覇凰拳』!」

 

 つづく

 

JUGEMテーマ:Ragnarok

中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 13:50 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment









Trackback
URL: