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第十六話「The heart of Ymir」(42)

 「『マグフォード』、降下用意」

 グラリスNo3、月神のG3プロフェッサーが伝声管を通じ、飛行船の艦橋へと指示を送る。

 「『降下用意、了解』」

 同じく伝声管越しに指示を反復してきたのは、操縦桿を握る副長アレン・リーデルだ。

 飛行船『マグフォード』がロケット型に変形して以来、ずっと船の操縦を引き受けているが、いまだにその声には緊張がある。

 なにせ『マグフォード』のロケット飛行は、たった1度の試験飛行を経ただけで、これが2度目。しかもこの先、さらに前代未聞の高難易度飛行に挑まねばならない。

 ジュノーへ向かって飛行高度を徐々に下げていき、空中都市の直前でエンジン全開&垂直に上昇。上昇推力と重力がギリギリ釣り合う頂点で、ジュノーの上部都市と高度を合わせて短時間停止し、船を捨ててジュノーへ上陸する。

 一歩間違えばジュノーの岸壁に激突して木っ端微塵。上昇推力が弱すぎれば、ジュノーの上部都市へ届かず、逆に強すぎれば通り過ぎてしまい、上陸できない。

 前代未聞のアクロバット帰港ともなれば、緊張しないほうがおかしい。

 しかも、飛行戦艦『セロ』の追撃をかわしながら、となれば、成否はほとんど奇跡に頼るしかない。

 その緊張を感じたか、

 「力抜けよ、若いの。アンタは上手くやってる」

 つとめて明るい声で励ましたのはグラリスNo5 、美魔女のG5ホワイトスミス。

 「ここまでだって、みんなをちゃんと運んでくれた。アンタの操船がなかったら、みんなとっくに空の藻屑だったさ」

 がっはっは、と銅鑼笑い。さらに声を低めて、

 「安心しろ、ちゃんと『約束』は守ってやるから」

 G5、副長のアレンが舵を握る代償としてディフォルテーNo1・D1ことガラドリエル・ダンフォールと、デートの設定を約束している。

 カプラ嬢トップである美女との1日、なるほど命を掛けるに値するだろう。

 「なんなら『お泊まり』もつけてやるぜ?」

 「『……?!』」

 伝声管の向こうから、明らかに息を飲む気配。

 「なんでやんす? なんでやんす? なんだか楽しそうな気配を感じるでやんすよ?」

 明らかに楽しんでいるG5の真横に、ひょいと顔を突っ込んだのはグラリスNo6、虹声のG6ジプシー。

 「おう、G6、実はな……ごにょにょ」

 「な、なんでやんすとー?!」

 G6、目を丸くしながら、両の手のひらで口を覆う。いわゆる『年収低すぎポーズ』というやつだ。

 「そんな面白……素敵な計画とは! これは一肌脱がなきゃ、女がすたるというモノでやんす!」

 「場所のセッティング、頼めるか?」

 「おとーちゃんの別荘に、ぴったりのヤツがひとつ」

 「ほうほう?」

 「白亜の豪邸に緑のヤシ、白い砂浜。海へ沈む夕日が、これまたムード満点」

 「よさそうだな」

 「しかも絶海の孤島。ちょこっと船に故障してもらえば、1週間でも1ヶ月でも」

 「……決まりだ」

 G5とG6、互いの手のひらをぽん、と打ち合わせ、

 「つーわけで、若いの……死ぬ気でいけ」

 「『り……了解っ!』」

 余計力が入ったようにも聞こえるアレンの返答。

 「降下開始。以降はG1の進路指示に従ってください」

 G3プロフェッサー。仲間の悪巧みは、あえて聞かないふり。

 「このまま直進しつつ降下。10秒後に右へ流されるが、気にせず舵そのまま」

 G3を受けて進路を指示するのはグラリスNo1、神眼のG1スナイパー。

 甲板の先端に陣取り、『風が見える』異能をフルに活かして、暗礁海域をゆく水先案内人よろしく『マグフォード』を導く。

 ひゅう……

 誰もが、何かと饒舌なG6や、グラリスNo2、G2ハイウィザードまでが口を閉ざすと、甲板にはただ風の音。そして気嚢ロケットの微かな推進音。

 ふっ、と甲板が暗くなるのは、シュバルツバルド山脈が作る山影に船が飲み込まれたせいだ。

 360度に広がっていた青空が消え、緑の少ない、赤茶けた山肌が視界を埋めていく。

 海でもないのに、深海へと潜行していくような、不思議な感覚。

 ジュノーの空中都市が近い。

 空中にそびえ立つ岩肌、遥か上空から斜め鋭角に差し込む日の光。

 この世に二つとない奇景の下を、『マグフォード』は潜行する。

 「……敵は?」

 それは、誰の言葉だったか。

 「いる。『ミネタ』の向こう側だ」

 待ち受ける空中戦艦『セロ』は当然、巨銃エクソダスジョーカーXIIIを警戒し、死角に回り込んでいる。

 『マグフォード』はさらに潜行。

 「うわ……初めて見たわ、岩塊のケツ」

 「見ることないもんねえ、普通に暮らしてたらさ」

 グラリスの誰ともなく、つぶやきがもれる。

 円錐形を逆さにした3つの超巨大岩塊、その尖った先端が見えている。都市の排水や老廃物を地上に捨てる廃棄口があることから、『ケツ』だのと下品な呼ばれ方をする。

 「上昇、用意」

 G3プロフェッサーが指示を出す。

 「このまま3大岩塊の隙間を、ど真ん中から上昇します。最終目的地は『ソロモン』岩塊」

 「……」

 船の内外から、息を飲む気配。作戦を理解してはいても、前代未聞に前代未聞を重ねた、成否不明の強行作戦だ。

 ほとんど狂気の沙汰である。

 「敵の狙いは『ユミルの心臓』の奪取。ならば『ソロモン』岩塊への不用意な攻撃は避けるはず。そこに賭けます。……G1?」

 G3プロフェッサーの読み。

 「いつでもOKだ」

 答えたG1スナイパーは、なぜか船の真下をのぞきこんでいる。

 「上昇、開始!」

 

 つづく

 

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中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 14:19 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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