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第一話「Good morning!Adventure!」(2)
 この世界には人が騎乗する、いわゆる『馬』はいない。 いるのは『ペコペコ』、あるいは『ペコ』と略して呼ばれる『鳥』である。
 ペコペコの翼は空を飛べない。が、その足は重装甲の騎士を装備ごと、馬に劣らない速度で運ぶことができる。
 さらには馬の通れない岩場や木の上、荒れ果てたダンジョンの中まで自由自在に行きすることもできた。
 冒険者の宿にはだから、冒険者たちが乗るペコペコを預かる『鳥小屋』が不可欠なのだ。
 その鳥小屋も昼間は皆、それぞれの冒険に出払っていて空。
 「無代さん、いるかい」
 「……ペコ」
 「ペコはペコって鳴かないよ。何してんだい?」
 「どん底の気分を噛み締めてたんだ」
 鳥の羽が混ざった敷き藁の上で、無代はひっくり返ったまま応える。声に力が無いのは我ながらやむをえまい。しかもここが一番『下』だという保証はどこにもない。
 「馬鹿言ってないで出て来な。お嬢様はお出かけになったよ。夕方までアカデミークエストだそうだ」
 アカデミークエストは、冒険者アカデミーが新人の冒険者に与える、ほどよい難易度の試練である。
 危険はほとんどないが、主立った都市や初歩的なダンジョンをほぼ無料で見て回れるし、報酬としてそれなりの装備も手に入るため、新人が経験を積むにはなかなか良く出来ている。
 無代は身体についたペコの羽をはたいて立ち上がる。
 連れて行かれた先は、さっきの部屋。
 「さて、お嬢様には『追い出せ』って言われたんだがね」
 「俺に不服はないぜ。元々そうだったんだし」
 特に嫌みのつもりもなく肩をすくめる。
 「無代さん、アンタ何者だい?」
 「……光っても輝いてもいない、冒険者くずれ」
 「嘘言いなさんな。それが瑞波国のお姫様と『タメ口』かい? しかもあんなに泣かせといてさ」
 「そんなこと聞いてどうするんだ?」
 今度は少し嫌みを混ぜたが、女将は無視する。
 「なあ、無代さんや。アタシも困ってるんだよ。協力しとくれ」
 「困ってるって?」
 「当たり前だろ? ウチを何だと思ってるんだい? お姫様がお泊まりんなるようなご立派なお宿に見えるかい?」
 「見えん」
 正直にけなしたが、女将はむしろ満足そうにうなずく。
 「だろ?」
 「自慢されても困るけどさ。じゃ断りゃよかったんだ」
 「馬鹿言いなさんな、断ったらどうなる? 瑞波国のお姫様を追い出した宿にする気かね!」
 「それはそれでカッコいいじゃないか」
 ほめたのだが、今度は目を吊り上げられた。
  「いい加減にしておくれ。あのお姫様をこれからどうするか、アンタが何者でどんな関係か、アタシにこれから何がおこるのか、全部聞かせてもらうまで、ここ を出さないよ!」
 だん、とテーブルをぶっ叩かれる。
 「あのね無代さん。こんなこた言いたかないが、一月も宿代のツケ待ってやって、最後の夜は女連れ込むのも目つぶってやったんだ。そんくらいしてもバチは当たらんと 思うがね?」
 「……」
 実にもっともな理屈なので、無代も言い返せない。
 「ツケは全部チャラにする。泊まりたいってんならまた泊まってもいいからさ」
 「まあ、ツケの話はともかく、迷惑かけたのは事実だ。わかった。ただし……」
 「ただし?」
 「他言無用の話も結構ある。他言したけりゃしてもいいけど、そんときゃアンタの命がないだけじゃ済まないと思ってくれ」
 『脅し文句』だが、決して『脅しではない』、と分かってもらえるだろうか。
 「女将さんとその係累、雇い人、この宿に至るまで、そんなものがあったことさえ無かったことになる」
 しかし、女将はうろたえない。
 「あのね、ウチはご覧の通りのボロ宿だけどさ、ココで冒険者相手の商売やってもう十数年。いろんな事があったさ。他言無用の話だってダース単位で知ってるよ。大丈夫、他言はしない」
 落ち着いたものだ。無代は改めてこの女将を見直す。これならば大丈夫かもしれない。
 「あの娘……静は天津・瑞波国の守護大名、一条家の三の姫。まぎれもないホンモノのお姫様だ」
 「ま、それはもう信じるしかないね。でもそれがなんでまたお伴も連れずに……家出?」
 女将が手の中の銀塊をいじくりながら首をひねる。無理もない。静を子供の頃から知っている無代でさえ、今の事態はいささか信じがたい。
 「何しに、というなら簡単だ。あの娘の婚約者を捜しに来たのさ」
 「何だって?」
 「ちょっと話がややこしくなるが…しかも他言無用だ。いいか?」
 「いいよ、話しておくれ」
 無代はポケットから小銭をいくつかつかみ出す。
 「まず、今の一条家の事からだ。最初に一家の当主であるお館様……『お殿様』だな。一条鉄(いちじょうくろがね)様とおっしゃる」
 硬貨を一つテーブルに置く。
 「次に、その鉄様の奥方様……巴(ともえ)様とおっしゃる」
 硬貨をもう一つ、テーブルに置く。
 「このお二人は再婚同士だ」
 あと二つ、硬貨を置く。
 「巴様は、一条家の先代のお殿様、一条銀(しろがね)様の奥方だった。銀様は鉄様の兄上に当たる方だ」
 「一条銀様って方は知ってるよ。結構な名君でいらして、通称は『ワイズシルバー』。でもお身体が弱くて、若くしてお亡くなりになったんだよね?」
 「そう、よく知ってるな。その通り。ちなみに弟の鉄様は『クレイジーアイアン』。……お若い頃はやんちゃだったそうでね」
 無代は苦笑いする。
 「で、鉄様の方もその少し前に奥様を亡くされてな。鉄様が銀様に代わって一条家をお継ぎになる時に、お二人は再婚なさった」
 硬貨の一つをまた少し離し、残った2つをくっつける。
 「兄上様の奥様をもらわれたわけか」
 「そうだ。まあその辺、色々言う人もいたが……ね。で、再婚した時、巴様にも鉄様にも、それぞれにもうお子様がいらっしゃった」
 硬貨を動かす。まず巴の方に1つ。
 「巴様と銀様の間には、流(ながれ)様という男子」
 そして鉄の方に3つ。
 「鉄様には綾(あや)様、香(かおり)様、そして静の3人の女子だ」
 「男子1人に女子3人。で、お世継ぎはその流様なのかい?」
 「うん。これは先代銀様の御遺志でね。自分の跡を弟の鉄様に譲る代わりに、息子をその次の殿様にすること……というか、これはあの『御兄弟二人の意志』と言うべきだな」
 「モメそうなもんだがね……そういうの」
 「珍しいぐらい兄弟仲がよかったんだよ。重臣どもも一切、口が出せなかった」
 遠くに離した銀の硬貨を、少し鉄の方へ近づける。
 「それで、婚約者がどうとかってのは?」
 「ああ……つまりあの娘、静は流様の許嫁なんだ。親も本人達もバリバリ公認のね」
  硬貨の2つをくっつける。
 「へー、従兄妹同士ってことか。…ってことは、あのお姫様は将来……」
 「そ。お殿様の奥方様で、男子を産めばお世継ぎの母上様になられる…はずのお方だ。だけど問題が……起きた」
 「問題?」
  くっつけた硬貨の一つを手に取り、拳の中に握り込む。
 「流様が……行方知れずになってるのさ。コレは絶対に他言無用だ」
 「何だって? 行方知れずって……お世継ぎ様だろ? その若様」
 「そうさ。表向きは一年前から、身分を隠してここプロンテラに武者修行に来てる……ってことになってる。いや実際そうだったんだが、首都に着いた様子はなく、消息も不明だ」
 「おおごとじゃないか……?!」
 「そうだな。しかし表立って騒ぐ訳にもいかん。ここは他国で、瑞波国だって天津のあちこちに敵を抱えてる。世継ぎがいなくなったなんて事が広まったら……」
 「下手すると国が傾く、か」
 「ああ。当然、一条家だって探してる……はずだがね。少なくとも表立って人を派遣したりはしてない。内々の事は俺にはわからんが…」
 無代は苦い顔になる。友人である一条流には当然、無代の他にも武士の友人やらがごまんといる。
 だが、彼らには流が行方不明という情報すら知らされていない。
 無代の知る限り、瑞波からプロンテラに捜索に来ているのは彼一人だった。
 「でも無代さんにも見つけられない。だから、シビレ切らした許嫁のお姫様が自分で探しに来た……ってのかい?」
 「簡単に言うとそういうことだな」
 「割と素っ頓狂な話だね、それ」
 女将があきれたように言う。無代も否定はしない。
 「そうだな。静……あのお姫様は昔っからアレだ……その『素っ頓狂』なことを平気でする娘でね。いやまあ、あそこの三姉妹はみんな素っ頓狂といえばそうなんだが」
 テーブルの上に配置された硬貨を片付けようとする無代の手を、しかし女将がさえぎった。
 「待ちなよ。そこまで知ってるアンタは、じゃあ何なんだい? それを聞いてない」
 「……」
 「ほれ、アンタの硬貨を置きなよ。どこのどういう場所に置くんだ?」
 「俺は……ここかな」
 ちゃりん。
 硬貨を一つつまんで、無代はそれを床へ落とした。
 「なんだいそりゃ? 床?」
 「俺のご身分といったら、いわゆるフツーの下々の者さ。瑞波のお城の城下町の、何の変哲もない商人の、それも妾の子だ。だからあそこ」
 床に落ちた硬貨を、あごで指す。
 「それが、何でお姫様を呼び捨てだい? おかしいじゃないか?」
 「それを話すには先代のお殿様、銀様の事を話さないといけない。『てんじょううらのまおう』の話をね」

 一条瑞波守銀(いちじょう みずはのかみ しろがね)。
 『瑞波の賢公』、『ワイズシルバー』などと数々の名声を謳われた希代の名君主。
 身体が弱く統治期間は短かったが、瑞波の一条家を天津でも指折りの大名にのし上げたのは間違いなくこの銀の力だ。
 「そんなに偉かったのかい?」
 「偉いって言うか……とにかく『目』が凄い。」
 「目?」
 「うん。洞察力っていうのかね。ほとんどお城を出た事ないくせに、外の世界で起きている事を恐ろしいほど詳しく把握してたな。で、戦でも商売でも政治でもココにはコレしかない、っていう文句無しの手を打ってくる」
 天津全土どころか世界中に『草』を飛ばして情報を集めさせ、それを寝床で分析する。書状を一枚、二枚読んだだけで、自分の打つべき手が『見える』。
 「何だいそりゃ?! 何か神がかってるね」
 「ああ。重臣の顔見ただけで死期を言い当てちまったこともある。『何か憑いてる』って言うヤツも一人や二人じゃなかったよ。実際変わり者だったのも事実だ」

 わしはまおうじゃ

 「俺みたいな身分の人間が、雲の上のお殿様と会うことができたのも、それがモトだったのさ」

 ゆうしゃたちよ よくぞここまでたどりついた

 「頭良いくせに、子供みたいな悪ふざけが好きな人でね……」

 みごと わしをたおしてみよ

 「妙な遊びを思いついては、家来の子供達をおどかして遊んでたんだ……」

 その殿様が、ある日思いついた。
 「お城をダンジョンに見立て、自分が魔王役、子供を勇者役にして冒険させたら面白そうだ」
 しかし、勇者役の子供が問題だった。
 家来の子供達はこれまで散々おどかして遊んだこともあって、なかなか思うように『冒険』してはくれまい。
 そこで目をつけたのが、城下町の平民の子供。
 女の庭番を使って子供達を城内に、そこがお城とは知らせずに誘い込めば、面白いに違いない。

 「で、アンタが選ばれたワケかい?」
 「自慢じゃないがその頃、ちょっとは知られたガキ大将でね」
 「自慢するコトかね」
 
 怖いモノなしのガキ大将の前に、ある日美しい女性が現れ『魔王退治』を頼んでくる。
 怪しみつつも女性の色香と、褒美の宝物に目がくらみ、迎えの駕篭に乗る少年。

 「そっから大冒険だ。やたらと凝った武具とか渡されてね。実は紙製なんだが、とてもそうは見えんぐらいよくできてて…銀の殿様が自分で作ったらしい」
 「あはは、面白い方だ」
 「んで、家来衆が扮装した魔物とか倒して……途中からもう一人の勇者と一緒になって……どっちが勇者かでモメたり」
 「そのもう一人の勇者ってのは?」
 「あとで知ったが『若様』、つまり一条流様だった。ホントはこの遊びには呼ばれてなかったんだが、仲間はずれが許せなくて飛び入りしたらしい。向こうもなかなかの……悪ガキだったぜ」
 「なるほどねえ」

 そして予定外の二人の勇者が、魔王の巣食う天井裏にたどりつく。
 魔王は首尾よく勇者たちに倒され、勇者はご褒美をもらい、また市中に帰って行く。

 「で、どうやらその時の活躍っぷりで、お殿様に気に入られたらしくってね。内緒で城に入るのを許されたんだ。若様の、ちょっと毛色の変わった遊び相手ってことでね」
 「そりゃ、夢みたいな話だね」
  「妙な遊びに付き合わされて、若様と二人で何度もえらい目にあったな。あんまりおふざけが過ぎると奥方様がお怒りになってね。お殿様と若様とオレと三人で、正座でお説教喰らったこともあった」
 「ぶははは、そりゃ傑作だ!」
 「後で三人で大笑いして、今思い出しても確かに夢みたいな出来事だったな……」
 「いいねえ……でも、亡くなっちゃったんだろ、そのお殿様」
 「……ああ」

 わしには もうじかんがない

 「お殿様お気に入りだからって、町人のガキが通夜だ葬式だに出られるワケもない。後で城を抜け出して来た若様に話を聞いて、二人で泣いて…初めて酒飲んでまたえらい目にあって…」

 これからは おまえたちが

 「若様は『いつでも城に来い』って言ってくれたが……あんまり行く気にはなれなかった。もう『まおう』がいないって実感するのがイヤだったのかもな」

 わしのかわりに せかいをかえていくのだ

 「その後、奥方様が再婚なさって、鉄様が新しいお殿様になって……この方にもお会いしたけど、こっちもすげー良いお殿様でさ。で、その鉄様と一緒に三人のお姫様が城にやってきた。流……若様が引き合わせてくれて、そん時さ。初対面は」
 「なるほど。それで静お嬢様とも知り合いだったわけだ」
 女将はやっと納得が行った風にうなずいた。
  「鉄様がお殿様になると、城下町に武士・平民が一緒に学問や武術を学ぶ『天臨館』ってのをお作りになってね。ルーンミッドガッツの人も教師でたくさん来 て…。若様やお姫様たちと、そこで一緒に勉強した時期もあるんだ。さすがに人前ではへりくだってたが……俺と若様、姫様たちしかいない時はタメ口だった。そろって悪さしたことも……あったな」
 「よしわかった」
 女将がぽん、と一つ手を叩いた。
 「で、これからあのお嬢様をどうすればいい?」
 「……」
 「そんだけ親しかったんだ。アンタなら判断がつくだろ?」
 「まあ、速やかに天津にお帰り願うのが一番いいだろな」
 のろのろとした言葉。
 「無代さん、アンタが連れて帰ってくれるかい?」
 「無理」
 無代はあっさり断言し、今度こそテーブルの硬貨を片付ける。今の彼の全財産だ。明日の飯にも事欠く額だが。
 「あの調子で、静が俺の言うことなんか聞くワケない」
 「だろうねえ……」
 「天津に……ワープポータルのつてでもあれば、一条のお城宛に手紙ぐらいは書ける」
 無代はのろのろとだが提案する。
 ワープポータルとは魔法の一種で、一度行った事のある場所で魔法のメモ(『ポタメモ』という)を取れば、いつでもその位置に自分や他人を転送することができる。
 僧侶系の職業ならば使う事ができるが、商人の無代には使えない。
 またメモを取る事の出来る場所、取れる数には限りがあるため、必要な時に必要な場所のメモを持っている人間(『ポタ持ち』という)を探すのは、以外と手間がかかることもある。
 「で、静がここにいるって伝えて、誰かに迎えに来てもらう。奥方様…御家来衆にもまだ、多少は知り合いがいなくもない」
 「天津のポタ持ちか……うん、当てはある。よし、それで行こう。早速書いておくれ。ツケはチャラ、昼飯も出そう」
 そういえば、もう昼だ。
 「それでお帰り願えるかねえ……あのお嬢様?」
 「ま、多分な。アカデミークエストも最後までは無理だろうし……。諦めるさ」
 「? そんな風には見えないがね。アカデミークエなんざ、半日で片付けそうなお姫様じゃないか?」
 「アイツな、虫が苦手なんだよ。……下水道クエがあるだろ? ゴキブリてんこ盛りの。アレ、まず無理だ」

 たのんだぞ ゆうしゃたちよ

 かならずや せかいをかえてくれ

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