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第十六話「The heart of Ymir」(43)

 「上昇、開始!」

 グラリスNo3、月神のG3プロフェッサーが指示を下す。

 

 ふぉぉぉ!!

 

 飛行船『マグフォード』の2つの気嚢が柔らかく、だが力強い音を吹き上げる。『錬金式噴射推進機構(アルケミカル・ロケットエンジン)』の、恐らくは最後となるであろう咆哮が、ジュノー空中都市の岸壁に跳ね返り、何度も木霊となって響き渡る。

 

 ばくん!

 

 気嚢に備わった上下の方向舵が思い切り上に振られ、『マグフォード』の姿勢が一気に変化する。斜めに、そして垂直に。

 「総員、落下に備えて」

 G3の指示。

 カラ〜ン……と、ひとつ落下音が響いたのは、甲板に転がったまま残っていた薬瓶が、重力に負けて転がり落ちた。グラリスNo9、義足のG9パラディンが消費した回復剤か。

 さもなくばG2ハイウィザードが無茶な服薬をした時の、強化剤の空き瓶だろう。

 「うひゃあ!」

 グラリスNo6、G6ジプシーの奇声。甲板に出たままのチーム・グラリスたちは、垂直の床にハーネス1本でしがみつき、真下千メートル以上の高さに耐えねばならない。

 とはいえ、本音でビビっているグラリスなど皆無。G6の奇声も、単にムードを和ませるためのフリだ。

 『マグフォード』が上昇する。

 空中都市ジュノーを形成する『ソロモン』『ハデス』『ミネタ』の3大岩塊、そのど真ん中の隙間を、天へ向かって突き進む。

 今の『マグフォード』からは3大岩塊は逆光で黒く。そして隙間から見える空は青く、引き裂かれた割れ目のように見えている。

 ただ、その速度は悲しいほどに遅い。

 気球の気嚢を転用したロケットエンジンの耐久力は低く、故にそこまで強力な噴射力は得られない。水平飛行ならともかく、これだけの重量を垂直に運ぶには、明らかにパワーが足りていない。

 「……くるぞ」

 グラリスNo1、神眼のG1スナイパーがつぶやく。

 『マグフォード』最大の障害物、飛空戦艦『セロ』。それが、ジュノー帰還に挑む『マグフォード』の希望を砕かんと接近してくる。

 『セロ』の持つ武器『エネルギーウイング』の一閃、いや、ただ至近距離を高速ですれ違うだけで、『マグフォード』はバラバラに砕け散る。

 相変わらずの、絶望的な戦力差。

 (だが、そうはさせない)

 『マグフォード』の甲板、今や垂直となった木製の床にハーネス1本でぶら下がりながら、G1スナイパーは冷静だった。

 そして、その切れ長の目をさらに細くし、『真下』をにらみつける。そして、

 (……いる)

 確信を持つ。

 彼女以外の人間が見れば、そこにはただシュバルツバルド山脈の赤茶けた山肌と、深い谷底の暗黒だけしか目に入るまい。

 だがグラリスの頂点に君臨する、このスナイパーの異能を持ってすれば。

 (女王……母なる風)

 『風が見える』

 その異能を持ってすれば。

 (今は眠っている。『風の玉座』で、眠りについている)

 そこは、なにもない無風の空間。だがG1の異能感覚は、全く別のものを見る。

 この地に、人の手によって空中都市が築かれた時、シュバルツバルド山脈の気流・気候にもまた大きな変化がもたらされた。

 自由だった風がせき止められ、幾多の乱気流が形成され、そして逆にまったく風の吹かない場所も形成された。

 G1が『玉座』と呼ぶ無風地帯だ。

 風の吹かない場所を『風の玉座』と呼ぶのは、いかにも理屈に合わない話だ。が、この世で唯一、風をその目でとらえるG1スナイパーにとっては、逆に自明の理だった。

 (すべての風は、あそこから生まれる)

 彼女の目には、それがはっきりと見えるのだ。

 無風なればこそ、あらゆる風を生む場所。

 そして、そこには『女王』が住まう。

 「来たよ、来たよ!!」

 グラリスNo2、G2ハイウィザードが叫ぶ。垂直に上昇する『マグフォード』目指し、飛空戦艦『セロ』が真上から、悠々と降下してくる。

 「……G11、用意は?」

 「いつでもオッケーさ」

 G1に応えたのはグラリスNo11、双銃のG11ガンスリンガー。

 身体に複数のハーネスを装着し、垂直の床に張り付くようして、巨銃エクソダスジョーカーXIIIを構えている。もちろん銃にもハーネスを満載し、その凄まじい重量に抵抗する。

 だがその方向は『セロ』とは真逆。 

 『真下』だ。 

 「ちょっと! 逆よ逆! 上から来るってば!!!」

 大騒ぎするG2に、しかしG11は静かに、

 「わかってるさ、これでいいんさ。どっちみち、ここでアイツは撃てないさ」

 G11の言葉通り、3大岩塊に囲まれたこの場所で巨銃を撃てば、その爆発力は浮遊都市にも大きなダメージを与えてしまう。

 もちろん、巻き込まれた『マグフォード』などゴミ同然だ。

 「じゃあ、何撃つってのよ!!」

 「……」

 G11は答えず、動いたのはG1スナイパー。

 「私の矢を撃て、G11」

 「あいさ」

 G1が愛用の弓を構える。身体を支えるのは、腰につけたハーネス1本。ほぼ完全な宙吊り状態。

 「……!」

 ひょう、と、真下へ向かって矢が放たれる。

 小さな矢は、わずかに風に流されながら、あっという間に谷底へ吸い込まれ、見えなくなる。だがG1とG11、グラリスが誇る2人の射手、その目には、矢の行方がはっきりと見えていた。

 「……今だ」

 「!」

 

 ずんっ!!

 

 巨銃エクソダスジョーカーXIIIが火を噴いた。変わらず、凄まじい反動。銃身を固定した甲板が、まるでぶっ叩かれた太鼓の面皮のように跳ね上がり、丈夫なハーネスが1本、耐えきれずにばちん、と弾け飛ぶ。

 からーん!

 G11のダメージを引き受けたG9パラディンの鎧から、回復剤の空き瓶がまた吐き出され、真下へ消えていく。

 「『セロ』、本艦直上!」

 G3の声で、全員が真上に目を転じる。降下してくる『セロ』の赤黒い船体は、先の戦いのダメージが癒え切っていない証拠だ。が、今はそれでさえ脅威。

 そして。

 

 かっ!

 

 遠く、真下の谷底から凄まじい閃光が吹き上がった。

 真下から照らされた『マグフォード』、そして『セロ』の二つの影が、まるで怪物のごとく巨大化し、空中都市の壁面へと投射される。

 やや遅れて。

 

 ど、どどどどど!!!!1

 

 爆発音。

 爆風。

 「くるぞ、つかまれ」

 いっそ冷淡にさえ聞こえるG1の声は、降下してくる『セロ』を示したのか、それとも。

 

 ばっ!

 

 『セロ』のエネルギーウィングが展開される。たった1本、だがそれでも『マグフォード』を100回、いや1000回でも沈めて余りある。

 ただし。

 

 『チーム・グラリスさえ乗っていなければ』

 

 ぐん!

 『マグフォード』の船体が真下から、凄まじい力で押し上げられた。

 「うひゃああああ?!」

 G2ハイウィザードが、あわてて近くのG6ジプシーにしがみつく。

 (寝起きの女王のお怒りだ)

 G1スナイパーの唇が、不敵に釣り上がる。

 「『天浮橋(アメノウキハシ)』?!」

 誰かが叫ぶ。

 空中都市ジュノーに、ごく稀に吹く風。

 都市の真下から垂直に吹き上げ、浮遊岩塊をつなぐ橋を真下から煽る。

 この時、橋を固定する巨大な鎖がきしみ、橋が天へ向かって巻き上げられるように見えることから『天浮橋』の異名がある。

 (無風状態の間、谷底に溜まった風が、何かの拍子に目覚めて吹き上げる)

 G1が『女王』と呼ぶその風を、巨銃の一撃が呼び覚ました。

 びきい!

 『マグフォード』の構造材が悲鳴を上げ、引き換えに今までとは比べものにならないスピードで上昇を開始。

 『グラリス、伏せてください!』

 伝声管から、アーレィ・バーク。

 同時に『マグフォード』の上昇軌道が船底方向へ、滑るようにずれていく。

 

 びぃぃぃん!!

 

 甲板すれすれを、光と熱の塊が通り過ぎた。

 エネルギーウィング。

 『セロ』必殺の一撃、その下スレスレを『マグフォード』が潜り抜ける。

 真下からの爆風、その力によって速度と軌道を急変させ、『セロ』の攻撃をかわした。

 「ざまあー!!!!」

 グラリスNo5、美魔女のG5ホワイトスミスが叫び、オマケとばかりにくわえていたタバコを真下、『セロ』へ向かって弾き飛ばす。

 彼女をして、目にうっすらと涙を浮かべているのは、自分が建造に携わった飛行機械が大仕事を成し遂げた、技術者としての充実感によるものだろう。

 だが、それで終わりではない。

 ただ一撃、かわしただけだ。

 しかも、彼らを助けた爆風は収まることなく、旧式の飛行船など砕いてしまえ、とばかりに暴れまわる。

 「矢に沿って飛んで」

 伝声管に吹き込んだ声は、冷静を通り越してもはや冷淡といっていい。

 G1スナイパー、危機にあればあるほど、その心と技は冴え渡る。

 

 ひょう!!

 

 今度は真上へ、矢が放たれる。小さな矢は、暴風に煽られて右へ、そして左へ。

 風の行方を示しながら、天へ向かって飛んでいく。

 その先にこそ、『マグフォード』の活路がある。

 だが、真下から再び『セロ』。

 「ええい、こうなったら魔法でぇ……むぎぐぐぐ」

 「はいはい、渦ちゃん静かに」

 暴れるG2ハイウィザードを、G6ジプシーがぎゅう、と抑える。いっそ首締まってないか? という勢い。

 「G7!」

 「はいはい」

 だが、指揮官のG3が声をかけたのは、戦闘職の仲間ではない。

 グラリスNo7、盲目のG7クリエイター。

 およそ修羅場には不向きな、研究肌の錬金術師だ。

 だが、その真の脅威は彼女自身ではないことを、そこにいるすべての人間が知っている。

 その細い手に握られた小さな試験管。それこそは。

 「暴れていいわ、『ジギタリス』」

 ぴぃん、と弾かれた試験管が、真下から迫る脅威、『セロ』へと吸い込まれる。

 人造生命体・ホムンクルス。現在、ホムンクルスには4種類が確認されているが、本来、錬金術師が使役を許される人造生物は1人につき1種1体のみ。

 だがグラリス・クリエイターたる彼女は特別に、ギルドから4種すべての使役を許されている。

 少女型の『リーフ』。

 鳥型の『フィーリル』。

 獣型の『アミストル』。

 その3種は、戦いの中ですでに見せた。

 そして、

 

 bbbbBBBaaaaaAAAAAAoooooOOOOO!!!!!!

 

 『セロ』の赤黒い船体、その上に、同じく赤黒い、いや赤い、青い、不吉な極彩色の生命体が出現した。

 口に牙、粘液に虫羽根。昆虫のようでも、獣のようでも、魚のようでも、いっそ人のようにも見え、そしてそのどれにもまったく似ていない。

 

 不定形型ホムンクルス『バニルミルト』。

 

 だが、それは本当にバニルだろうか。

 バニルなら通常、せいぜい馬か、大きくても小ぶりの象ぐらいしかないはず。

 しかし、そこに出現したバニルの巨体は、『セロ』の船体をほとんど覆い尽くし、いっそまだ余りがある。

 この世界に点在するダンジョン、そこに君臨するボスモンスターでさえ、ここまで巨大なものはちょっとお目にかかれない。

 『巨大種(ギガンテス)』。

 自然の摂理を外れた人造生命体、その範疇からもさらに逸脱した超級生命体。

 グラリスに君臨する世界最高の『巨大種使い(ギガントファンサー)』、G7が駆使する最後の、最大の、そして最強の人造生命体が今、空中戦艦『セロ』に襲いかかったのだ。

 

 つづく

 

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中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 16:53 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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