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第十六話「The heart of Ymir」(45)

  Baaaaa!!!

 

  ホムンクルス・ギガンテス『ジギタリス』の陵辱が続く一方で、

 「はい右、もーちょい右でやんすー♪」

 「イヤーッ!」

 「はい、行き過ぎ行き過ぎ」

 「ヤッ!」

 「おっけーでやんす♪」

 「ありがとう。じゃあ、行きますね」

 謎の会話を交わしているのはグラリスNo6・虹声のG6ジプシーと、同じく覆面のG14ニンジャ、そして盲目のG7クリエイターだ

 直上へ上昇中のため、今や完全な『壁』と化した甲板の上、ハーネスにぶら下がったG14が、同様にハーネスへ身を委ねたG7を片手で『抱っこ』し、甲板上をズルズルと移動してきた。甲板のわずかな手がかりに指を引っ掛けての軽業は、まさにニンジャの面目躍如といったところだ。

 そしてG7。

 肉体的には一切の動きを見せず、手のひらにインプラントされた魔法回路へ発動を指示。

 すべてのカプラ嬢が就任と同時に貸与される、カプラシステムの端末回路。

 それは3次元空間のみならず、さらに高次の空間にまで干渉し、人間を遠く離れた場所に転送したり、大量の荷物を異次元空間の倉庫に預かったり、いずれもこの世界の冒険者に欠かせないサービスを提供する。

 そして他でもないG7クリエイターが、カプラ社のスカウトに応じてグラリス・クリエイターとなった、一つの理由もそれだ。

 

 ざあっ!!

 

 『マグフォード』の真下、遥か地上の赤茶けた大地をのぞむ何もない空間から、何かが大量に、まるで滝のように落下を始めた。

 近づいてみれば、それが鈍い黄金色に輝くいびつな球形の物体とわかるだろう。

 この世界で『セルー』と呼ばれ、モンスターの体内で魔素が固形化したそれは、ホムンクルス『バニルミルト』のエサとして知られている。

 元々、人造生命体として生み出されたホムンクルスたちは、生命体としては極めて不完全、かつ不安定であり、その一つの証拠としてまともな食物摂取ができない。

 体組織の大半を魔力によって支えている、という構造上、自然の植物や肉から得られる栄養だけでは生命活動が不可能なのだ。

 ために、特殊なエサが必要となる。

 モンスターの体内において、自然の生命体と魔力が混合して生成される半物質『セルー』や『ジャルゴン』。一般人にはおよそ無価値なそれが、市場に出ればそれなりの値段で取引されるのはこのためだ。

 

 Bu!

 

 ホムンクルス『ジギタリス』の口が開き、『セルー』の滝を飲み込んでいく。通常サイズなら1個で充分な食事量となるが、そこは世界最大のギガンテス、胃袋の大きさもケタ違いらしい。

 「お給料3ヶ月分よ、味わってね」

 G7、苦笑混じりのセリフは冗談半分、本気も半分だろう。カプラ・グラリスに与えられる高い報酬に加え、それを無限に貯蔵し、こうして自在に出し入れできる環境があることは、『巨大種使い(ギガントファンサー)』にとってまさに無二の条件。

 とはいえ、冒険者が持ち帰る『セルー』を数トン単位で手に入れることは、誰にとっても大変な作業だ。

 もっとも、ホムンクルスにそれを忖度する知能はない。

 そもそも人造生命体に知能を与えることは、かの有名な人体錬成と並ぶ『大禁忌』に相当する。

 

 Baaaaaa!!!

 

 それでも満腹になれば機嫌が良くなり、主人に懐く、その程度の知性は彼らにもある。

 「うふふ。はいはい、頑張って」

 盲目の目を細めるG7。さらに、

 「可愛いでしょう、あの子?」

 そう問われても、グラリスをして答えようがない。唯一、

 「全然可愛くないけど頑張れ」

 正直に、しかし精一杯の声援を送ったのはG2ハイウィザード。

 その声が聞こえたか。

 

 Fi……

 

 異形の口から吐き出される、今までとは違う響き。

 瞬間、きぃぃぃぃ、と耳障りな異音を発し、ホムンクルスの頭上に魔法陣が出現する。そして、

 

 ぼっ!!!

 

 巨大な火の玉が1個、飛空戦艦『セロ』の船体に叩きつけられる。

 魔法が生み出す炎の矢『ファイヤーボルト』。

 それは魔法のレベルに応じ、1個から10個まで増加する。ホムンクルスが使えるレベルは1、ゆえに1個。

 だがその威力たるや。

 撃たれた『セロ』の流体装甲がぼごん!、と沸騰し、一瞬だが船体を支える竜骨までむき出しになる。

 かの放浪の賢者・翠嶺が操る『熱線砲(ブラスター)』や、アマツは瑞波の国の妃・一条巴の『氷雨』を例に挙げるまでもなく、魔法の威力はレベルだけでは測れない。

 翠嶺や巴の術を支えるのが、超絶的な知性や技量ならば。

 人造生命体がその身に抱えるのは、人知を超えた膨大な魔力量だ。

 かつて聖戦時代に跋扈した魔物、神々、聖霊にも匹敵する魔力を、食物に替えて胃袋に蓄えたホムンクルスの戦闘力は、一時的ながら一千年前のそれらに匹敵する。

 いかに技量が低かろうが、頭が悪かろうが、敵に密着して馬鹿力でぶん殴れば同じこと。

 

 きぃん!!

 

 凍気の矢『コールドボルト』。

 煮えたぎった流体装甲が急激に冷やされ、かき潰し続けたカサブタのように変色しながらボロボロと崩れ落ちる。

 

 ばちぃ!!

 

 雷の矢『ライトニングボルト』。

 強力な電撃が四方へと跳ね散り、流体装甲を形成するナノマシンを焼き狂わせる。

 全体が赤黒く変色した『セロ』の船体が侵され、歪んでいく。

 

 じゅぼぼおおお!!

 

 1本だけ回復した『セロ』のエネルギーウイングが、ホムンクルスの身体に突き刺さる。体内の水分が一瞬で沸騰・爆発し、焼け焦げて崩れ落ちる。

 肉が焼け焦げる異臭が、爆風の勢いで『マグフォード』まで届く。

 「うげげげげげ……でも頑張れ、やっちまえ!」

 G2の正直すぎる反応は、しかし全員共通のものだ。

 刃の上を綱渡りするような彼女たちの戦い、それを勝利に導くのなら悪魔でもなんでも構わない。

 

 ばち、ばちちちち!!

 

 『ジギタリス』の身体が、さらに切り裂かれる。いかに不定形とはいえ、内臓もあれば神経もある。体組織を一定以上に破壊されれば、待つのは死だ。

 「もう少し……もう少し!」

 グラリスNo3・月神のG3プロフェッサーが、祈るようにつぶやく。

 「もー、もっとスピード出ないの!!!」

 G2ハイウィザードがイライラと叫ぶ。

 空中都市上面まで、あと少し。だがその距離が遠い。

 飛行船の上昇速度が、歯噛みするほど鈍く感じる。

 「無理だ。もう風がない」

 グラリスNo1・神眼のG1スナイパーの声は冷静、そして残酷だ。飛行船を持ち上げてくれた暴風は収まり、そのあとの無風が『マグフォード』を包んでいる。

 「……仕方ない。G7、ごめんなさい」

 G3の謝罪に、

 「やむを得ませんね」

 G7は、少し残念そうな微笑で応える。

 そして、

 「ごめんね、『ジギタリス』」

 育て上げた巨大人造生命体に、届くはずもない小さな言葉を投げると、

 「……『生体爆破(バイオエクスプロージョン)』」

 結果、悪魔になろうと構わない。

 

 ぼきゅっ!!!

 

 史上最大のホムンクルスが、『セロ』もろとも火の玉と化した。

 

 つづく

 

JUGEMテーマ:Ragnarok

中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 14:36 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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