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第十六話「The heart of Ymir」(50)

 「ミネタ!」

 グラリスNo2、G2ハイウィザードが叫ぶ。

 飛行船『マグフォード』が、自らのアンカーの鎖に引かれ、ちょうど砲丸投げの選手が振り回す砲丸のように大きな楕円軌道を描きながら、空中都市の上空を飛ぶ。

 高度がさらに下がる。

 

 がしゃがしゃがしゃがしゃああ!!!

 

 ミネタ岩塊に広がる市街地、やや背の低い住宅の屋根を『マグフォード』の船艇が削り、石の瓦が液体か、いっそ煙のように粉砕されて四散していく。

 『マグフォード』の船体は奇跡的に平行を保っているが、すでに舵もなにも効かず、さしものグラリスたちも甲板にしがみつくしかできない。

 もしこのままどこかに引っかかって転覆でもすれば、船体は市街地を転がりながら大破、分解。

 もちろん、乗っているカプラ嬢たち、乗組員すべてが助からない。

 「頼む……っ!」

 グラリスNo5・美魔女のG5ホワイトスミスが祈るように叫ぶ。

 鎖がさらに引かれ、『マグフォード』の軌道は中央広場へ。高度がさらに下がり、住宅や商店を蹴散らすように船は進む。

 甲板の上は、その破壊による瓦礫が雨のように降り注ぐ。

 「ふ……んっ!」

 グラリスNo9・義足のG9パラディンが、片足で甲板を蹴って船首へ。ホムンクルス技術で作られた生体義足により、人智を超えたパワーと機動力を発揮できる彼女ならではだ。

 その身体を包む鎧も、義足の片足だけは関節部分に磁石が使われ、着脱が自在である。

 

 がすん!

 

 パラディンの巨大な盾が船首に打ち込まれる。即座に、盾の形が変えんばかりの瓦礫ががんがんと降り注ぐ。

 「できるだけ私の後ろへ!」

 「んなこと言ったって!」

 G9の指示に、G2が苦情を叫び返す。が、それも無理はない。

 揺れる、というより跳ね回るような甲板。降り注ぐ瓦礫。バリア呪文で防御されていなければ、今頃は全員、ボロ布のように身体を切り裂かれていただろう。

 そして、バリア呪文にも限界はある。

 「んなろお ! 『セイフティーウォール』!」

 G2ハイウィザードが、魔術師専用の防御呪文を発動。僧侶のそれと違い、ダメージを完全に防ぐことはできず、しかも地面や床に固定されてしまう。

 だが。

 「『セイフティーウォール』! 『セイフティーウォール』!」

 G2の呪文が連続発動。グラリスたちがしがみつく甲板を、円筒形の防御光が埋め尽くしていく。

 「さっすが渦ちゃん!」

 グラリスNo6、虹声のG6ジプシーが絶賛。ハーネス頼みの不自由な身体を引きずり、円筒を伝ってパラディンの後ろへ。

 「長くは持たないわよ!」

 そういうG2自身はグラリスNo10、長身のG10ロードナイトに片手で抱きかかえられ、じたばたしながら移動中。

 面白いのはグラリスNo13・死神のG13アサシンクロスだろう。人の心を持たず、殺人以外に何もできない美しき死神は、ずっと甲板の上で片膝をついた待機姿勢のまま。それでいて、飛来するすべての瓦礫を回避し続けている。もちろん座ったまま回避しているのではないく、一瞬だけ立ち上がり、避け、また座っているのだが、それがあまりに速すぎてふっ、ふっ、と一瞬、消えて見える。それを見て、

 「なんか腹立つわー!!!」

 G2、こんな時でも正直者だ。

 「G7、こっちへ」

 「ありがとう」

 グラリスNo4・隻眼のG4ハイプリーストが、盲目のG7クリエイターの手をひく。盲目、しかも戦闘経験皆無の研究者であるG7だが、その割に傷が少ないのは、少女型ホムンクルス・リーフを連れているからだ。

 「……!」

 自動的に主人を守る本能を持たされたホムンクルスは、飛来する瓦礫も脅威と判定し、自分の身体を使って防御する。とはいえその彼女も、片腕と頭の半分を失うという大ダメージ。いくら偽りの生命、肉体が滅びてもたった一個の母細胞から復活できるとはいえ、あまりに痛々しい。

 

 ばすん! ばす、ばすん!

 

 4つのエンジンが限界を迎え、次々に停止を始める。

 「降りるぞ!」

 G5が叫んだ。降りると言っても、もちろん半分以上は墜落である。

 

 すがががががが!!!! ばきん! ずがん!!

 

 『マグフォード』の船艇が、ついにシュバルツバルトの石畳をとらえた。

 「うひゃ!!」

 甲板のグラリスたちの身体が、1メートル以上も跳ねる。G9パラディン、そしてG13アサシンクロスだけが不動。

 

 がりがりがりがりがり……!

 

  奇跡的に人家も商店も少ない一角を、『マグフォード』の船体が駆け抜ける。市民たちが別の岩塊へ移されていたのが不幸中の幸い。そうでなければ大惨事だったろう。

 「広場ぁ!」

 正面、中央広場を囲む石製のアーチ。

 もちろん『マグフォード』が潜れる大きさではない。船首が突っ込み、一瞬で粉々に破壊。

 「よし、このまま止まれば……っ!?」

 G5がつぶやいた、その瞬間。

 奇跡を起こし続けてきた『マグフォード』の運が尽きた。

 

 がん!!

 

 中央広場を囲むアーチの内側、もう一つの四角いアーチに船首が引っかかった。

 速度が落ちている。破壊できない。

 行き場を失った『マグフォード』の船体が横向きに滑る。

 ドリフト状態。だが、陸に上がった船は、横方向には踏ん張れない。

 

 ばきん!

 

 最後に残った左の気嚢が、船体を残して剝げ落ちる。

 『マグフォード』の船体が一気に傾く。

 「転覆!」

 G5。

 今の速度からいって、このまま横倒しで済めば御の字。

 広場の上を転がりでもしたら死人は覚悟だ。

 

 ばあん!!

 

 嫌な予感は当たる。

 横滑りした『マグフォード』が、残った石のアーチに横っ腹を突っ込み、そのまま横転。

 巨大な船体が宙を舞う。

 この高さでも、落ちれば船はバラバラだ。

 「ちくしょー!」

 心底悔しそうなG2の声が、石畳の上を逆さまに流れる。

 あれほどに請い願った空中都市への帰還。その終幕がこれか。

 『マグフォード』の運も、本当に尽きたのか。

 いや、違う。

 『マグフォード』の運なら、とっくに尽きていた。船だけならば、この遥か手前で沈んでいたはずだ。

 だが、この船には乗っていた。

 

 幸運の女神たちが1ダース。

 いや、それ以上も。

 

 『マグフォード』が空中で一回転、シュバルツバルトの紋章が刻まれた広場の中央へ落下し……

 

 もふ。

 

 巨大な船体が埋もれるほどの真っ白な体毛、それが『マグフォード』の落下を受け止めた。

 「ご苦労様、『ベルガモット』」

 盲目のG7クリエイターが、指の試験管を軽く鳴らす。

 ホムンクルス・巨大種(ギガンテス)

 中でも最大の防御力を誇る『アミストル』の巨大種が、再び『マグフォード』とカプラ嬢、乗組員の命を守った。

 度重なる召喚で、もはや餌がない。巨大種を出現させておける時間は極小。

 羊に似た、しかし小山のような白い身体が、同量の有機塩へと還元され、サラサラと崩れていく。

 それにゆっくりと流されるように、『マグフォード』の船体が石畳の上へ。

 『接岸』

 アーレィ・バークの声が、今や完全に静まり返った船内に響き。

 やがて大きな歓声にとって代わられる。

 飛行船『マグフォード』は、こうして空中都市・ジュノーへ帰還した。

 

 『必ず帰る』

 

 無代との約束を果たしたのである。

 

 つづく

 

 

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中の人 | 第十六話「The heart of Ymir」 | 14:55 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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