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第五話「The Lost Songs」(2)
 「お待たせいたしましたぜー!」
 クローバーが、 お茶を乗せた盆を抱えたヴィフを従えて帰って来た。
 ヴィフの給仕で、時ならぬお茶会となった。
 香が『本当は苦 手な』熱いお茶をフーフーいいながら喫し、しばし和やかな空気が流れる。
 クローバーが、ヤスイチ号のことを話してくれた。
 彼はかつて、 ルーンミッドガッツ王国の軍人だったのだが、ある作戦でジュピロスの遺跡付近を調査中に、地中に埋まっていたこの船を発見したのだと言う。
 「王国の命令 でコイツを調べて…動かし方を研究して…でも、途中で怖くなっちまいましてねえ」
 クローバーが少し苦く笑う。
 「この『アグネ ア』…あ、このヤスイチ号のホントの名前なんですがね。…本気出したらマジでヤバいってことが分かってきまして…。コイツの『使い方』を完全に解析しち まったら、ホントに世界を滅ぼせちまうってね。で、こんなもの、王国の好きにさせちゃいかんと」
 その思いから単独で『アグネア』を盗み出し、 行方をくらましたのだという。
 そして、ルーンミッドガッツ王国へのレジスタンス組織に加わることになる。
 「なにせ王国 ときたら今の世界の中じゃ、軍事力も経済力もずば抜けてますんで。その辺の小国をどんどん属国化してるんです…。事実上『滅ぼされたも同然』の国やら、貴 族達も多くて。ウチにゃ、そういう恨みのある連中が集まってましてね…このヴィフの家もその一つなんですぜ」
 クローバーが ヴィフを親指で指す。
 その目の優しさが、まるで歳の離れた弟か、息子を見るようだと香は思う。
 「…僕の両親は 貴族だったんです。今で言うアルデバランの北の方が領地でした」
 クローバーの言葉を受けたヴィフが、身の上話を聞かせてくれる。
 「でもボクが子 供の頃に父の弟、つまり僕の叔父が反乱を起こしたんです」
 それは、表向きは『革命』だった。
 ヴィフの父は処刑され、何とか助かったヴィフ と彼の母はアルベルタの親戚の家で、ずっとかくまわれて生活することになる。
 「…後に、反乱を起こした叔父の後ろに、ルーンミッドガッツ王国が いるってわかって…」
 「…ジュノーへの足がかりとして、あの地域が欲しかったんでしょうなあ。今もそこはヴィフの叔父が領有してますが事実 上、王国の傀儡ですわ」
 正直、香には興味の無い話だ。
 が、お茶をすすりながら黙って聞く。
 「いつか王国を倒して、あの故郷を取り戻す のが僕の…母の夢なんです」
 そう語るヴィフだが、しかしその姿はどうにも優しげで、『戦士』の面影は薄い。
 戦場の鉄火場よ りも、陽の当るテラスか庭園で、お茶を片手に詩集でも読んでいるのが似合いそうだ。
 「でも治療師なんで…自分で戦うことはできないんですけど ね」
 そう言って頭をかく。
 身体の弱い母のために、治療専門のプリーストになったのだという。猛々しさよりも、やはり 優しさのイメージが大きい。
 「『BOT』を作ってる連中の後ろにも『王国』がいます。間違いない。だから、私は船長達に協力しているのですよ。 『客分』としてね?」
 翠嶺の説明に、クローバーが苦笑いする。
 「センセはまあ、どっちかってーと『用心棒』って感じですがねえ。 おかげさんで白兵戦じゃ負け知らずだ」
 「あらあら」
 翠嶺がまんざらでもない顔で笑う。
 「…それにして も香さん、魂を掴んで身体に戻すなんて、物凄い心霊能力よね…。…ひょっとしてその力…」
 翠嶺が自分の茶を盆に戻しながら、ふ、と何か に気づいたように、

 「…まさか『鬼道』…?」

 その言葉が翠嶺の口から発せられた次の瞬間だった。
 「!」
 香の手刀が、 『香自身の喉』へ向って閃いた。
 自殺行為。
 あっ、となった翠嶺がその手刀を止めようと、香を上回る速度で手を 出す。
 が、これこそが罠だった。
 手刀がいきなり方向を転じる。
 不用意に香の方へ身を乗り出した翠嶺の、その 喉へ。
 狙い澄ました香の手刀が、飛んだ。



 時刻は早朝…というよりもまだ未明。
 ルーンミッドガッツ王国首都プロンテラ。その王宮内。
 ただでも迷宮のようなその建物の、さらに奥深くにその部屋はあった。
 壁に掛けられた大きなタペストリーだけが目立つ部屋。
 タペストリーの絵柄は定番の『竜』。
 だが、それはただの竜ではない。
 『九つの頭』と『九つの尾』を持つ異様な竜。
 しかも、九つの頭がそれぞれ一本ずつ、九本の尾をくわえているという構図が、異様さを妖気のレベルにまで増幅している。

 『九頭九尾円環竜(ナインヘッズ・アンド・ナインテールズ・ウロボロス)』

 その名を知るものすら一握りという、謎めいた紋章。
 他に一切の飾りはなく、ただ中央に巨大なテーブルが置かれ、その周囲に20人ほどが着席している。
 さらに着席した20人の後ろにはそれぞれ一人ずつ、副官らしい人影が直立不動で控えていた。
 計40人。その全員が鎧、あるいは軍服姿。大半が男性、女性は数人。
 一人を除いて、いずれも若い。
 「…と、まあ昨夜の作戦は『惨憺たる有様』だったわけだが…」
 テーブルの上座を一人で占領した唯一の壮年男性が、ため息まじりに口を開いた。この男の後ろにだけは副官がいない。
 『クルト』。
 昨夜のプロンテラで、そう呼ばれていたパラディンだ。
 あの『マグダレーナ』と呼ばれていた女性の姿は見えない。今は彼が、この部屋の主であり責任者であるらしい。
 「…イーグルチームはランドクリス1体に半数の兵を失い、かつ自力では抑えきれず、マグダレーナ様の手を煩わせるハメになった」
 40人以上の人間がいるにもかかわらず、しん、と静まり返った室内に、クルトの厳しい声が響く。
  「…ファルコンチームに至っては、正体不明の敵3名…わずか3名にルティエの臨時ベースまで追撃され、部隊の9割を失った。…もはや部隊の再編すら不可能なダメージ だ。しかも『BOT』の殺害には成功したものの死体は奪われた。カプラ社への示威行為として死体を晒すこともできん」
  クルトは言葉を切ると、自分の正面、巨大なテーブルの反対の端に座った二人に、まっすぐ視線を向けて訊ねる。
 「イーグルリーダー、ファルコンリー ダー。両名とも以上の件について、何か言う事があるか?」
 問われた2人の男、クルトを上座とするなら、末座に座った男達がそれぞれに反応する。
 「…何もありません、大佐殿」
 一人の男がはっきりと、しかし沈んだ声で答えた。
 「…部隊の被害については申し開きできませんが…」
 もう一人が『片方の目』をクルトに向ける。
 「…ワープポータルを越えて追撃された事に関しては予想外の事態です。通常考えられない事で…部隊の情報が漏れていた可能性があります。内通者の調査を…」
 やや上ずった調子で反論する男は、片目を包帯で覆っている。話の内容、そしてその目の傷からみてこれが昨夜、静達と戦った『ファルコンリーダー』。
 片目の傷は静の『飛爪』を喰らった痕だ。
 「待ちたまえ、ファルコンリーダー」
 別な一人の男が彼の言葉を遮った。
 クルトを除けば最も上座に座った男だ。
 見事な金髪を奇麗にセットし、いささか冷たさを感じるほど整った顔。無代なら『生粋のプロンテラ人、それもかなり高位の貴族』と即座に分析しただろう、完璧な王国語。
 「…何か…? コンドルリーダー?」
 『ファルコンリーダー』が恐る恐る、といった感じで応える。明らかにこの『コンドルリーダー』を怖れている。
 下手をすると、部屋のトップであるクルト以上に。
 「…『ワープポータルを越えての追跡』が予想外の事態? キミはそう言うのか?」
 「…は…?」
 『ファルコン』の顔が不審に歪む。
 が、『コンドル』は頓着しない。
 「…その『予想される事態』については先月、『タートルリーダー』がレポートを提出しているよ。対抗策も一緒にね。…ちなみに我がコンドルチームでは既に、その対抗策を取り入れている。他のチームもほとんどやっているんじゃないかな?」
 そう言って室内を見回す『コンドル』に、集まった面々から否定の色はない。
 「…え?」
 『ファルコン』の、半分が包帯に覆われた顔が驚愕に歪んだ。
 「…だったね、タートルリーダー?」
 「…その通りだ」
 『コンドル』から振られた言葉を受けたのは…。
 詰めれば二人は座れそうなスペースを一人で占領した、漆黒の鎧姿の巨大な男。
 長く伸ばした黒髪を後ろで太い三つ編み。
 くっきりと太い眉の下に、眦の切れ上がった鋭い目。
 そして『意志の塊』を思わせる唇。
 甘さの欠片も無い、だが見る者の目を引きつけてやまない、恐ろしいほどの『漢っぷり』。
 その体躯は五年前に比べても優にふた回りは成長している。
 戦士としての身体をほぼ完成させ、いよいよ『男』としての完成を見据えるところまで来た。

 『一条流』。その二十二歳の姿である。

 座る位置はかなり下座…だが、上座の『コンドル』に匹敵する存在感と注目を集めつつ、ゆっくりと口を開く。
 「ある種の…そう、環境に対して突出した感覚を持つ人間には、ワープポータルでつながった先の匂いや音から、その行き先を特定できる者が実在する。彼らの追撃を防ぐには…」
 流の落ち着いた解説を、『コンドル』が引き継ぐ。
 「…いったん、目的地とは別な場所、『中継地』に転送し、しかる後に目的地に転送する。これで『匂い』による追跡をかなりかく乱できる」
 掌をテーブルに滑らせ、架空の戦略図を描くのが様になっている。
 「中継地としては『匂いが強い』、あるいは『風が強い場所』、つまり海岸などが適地である。ウチ…コンドルチームはイズルードの郊外を中継地にしてるよ」
 両手の掌を上に向け、流の方に広げて見せる。
 「それで問題はなかろう、コンドルリーダー」
 流が軽くうなずく。
 「実際には、出発、中継、目的の三地点において『匂い』が類似する場所を選ぶのが理想だが…。そもそも匂いを感知できる人員が少ないので現実的ではない。よって、より強い匂いでかく乱するのが現時点ではベターと言える」
 流が淡々と解説する…が、その内容たるや自分の婚約者、つまり静がモデルなのだから世話はない。
 もし無代が聞いていたならば「…お前、自分の嫁をダシにすんなよ」と突っ込んでいるに違いない。
 だが、そんな事を知る由もない『ファルコン』の顔色はもう青を通り越して白い。自分がそのレポートを読んですらいないことを、自ら暴露したも同然なのだから当然だろう。
 それまで黙っていたクルトが、そこでやっと口を開いた。
 「『ミス』は誰にでもある…が、『怠慢』はそうではない。そうだな? ファルコンリーダー?」
 「…は…」
 『ファルコン』の返事はもう、消え入るばかりだ。
 「処分、及び今後の処遇については追って伝える。以上だ。解散」
 ざ、と全員が立ち上がり、クルトに敬礼。
 クルトも敬礼を返し、
 「タートルリーダー。貴様は残れ」
 「イエス・サー」
 流がよどみなく応え、再び着席するのへ小さくうなずく。
 集まっていた40人の大半がぞろぞろと部屋を出て行く。その途中、ほとんどの者が通りすがりに流の肩を叩いていくのが面白い。顔を近づけて一声かけていく者もいる。
 理由は…流が部屋に残された事に対するものだ。
 (ファルコン・イーグル両チームの残存兵の併合と…『タートル』のアタックチームへの昇格が決定したのだろう)
 それが全員の共通認識だ。
 (タートルリーダーの実力と、これまでの戦果からみても当然)
 だから祝福の空気がある。
 最後に『コンドル』が流の側で立ち止まり、これは肩を叩く代わりに拳を出して来た。
 流はその拳を自分の拳でこつん、と叩き落とす。拳を合わせるのではなく、鎚を振るうように上から下へ撃ち落としたのだ。
 コンドルはちょっと驚いたようだったが、すぐにニヤリと笑って、最後に部屋を出て行った。
 拳を合わせなかったことに大きな意味はない。ただ、自分が拳を合わせる友は一人だけ、と決めているだけだ。
 この男のそういう頑なところは、5年経っても変わらないらしい。
 『コンドル』の後ろでドアが閉まると、クルトが立ち上がった。
 「タートルリーダー、ついて来い。副官もだ」
 「イエス・サー」
 流も立ち上がり、後ろを振り返る。
 「ユーク、来い」
 「い、イエス・リーダー!」
 ずっと流の後ろに控えていた若者が、緊張の面持ちで答えた。
 「固くなるな。オレの訊いた事にだけ答えていればいい」
 「はい…リーダ−!」
 流の大きな手で肩を叩かれ、若者が真っ赤になった。
 『ユークレーズ・スヴェニア』。
 それが彼の名前だが、流は『ユーク』の愛称で呼ぶ。職業はプリースト。
 シルバーブロンドの頭髪の下、その容貌にはまだ少年の面影が強く残り、体つきからも少年っぽさが抜けていない。
 流の並外れた巨躯の側にいると、正直、子供のようだ。実際、年齢も十六歳と『副官』としては異例の若さである。
 ユークを従えた流が側に来るのを待って、クルトが壁の一角を操作した。
 がこん、といういかにもな音がして、壁の一角がぽかりと開く。
 隠し扉。三人がくぐった先は庭園。
 ようやく朝の光が差し込み始めた、その緑豊かな庭園に建つ瀟洒な東屋が目的地だった。
 「ご苦労、クルト。良く来たね、流」
 東屋で彼らを迎えたのは『マグダレーナ』だった。
 昨夜、凄まじい破壊力を見せつけた時とは違い、今はその雰囲気は柔らかく、威厳の中にも優しさが感じられる。
 「空腹だろう? 朝食を用意したから、まあお座り」
 マグダレーナ、クルト、流がそれぞれテーブルを囲む。
 ユークの席もあったが、彼はそれを固辞すると、先ほどと同じく流の後ろに控えた。その方が落ち着く…というよりは、このメンバーと同じテーブルにつく『度胸』がまだ足りないと言った方が正しいだろう。
 だが、ユークの気が小さい、と思うのは早計である。
 なにせマグダレーナの後ろには、6人の『将軍』が直立不動で控えているのだ。
 「春」「夏」「秋」「冬」に、「夏至」と「冬至」を加えた6将軍は、ルーンミッドガッツ王国首都防衛軍を構成する、いわば『要』。いずれも屈強の、実力も経験も十二分に積んだ本物の武人ぞろいである。
 それが揃って突っ立っている。
 だから、本来ならば大佐であるクルトが、まして流やユークが着席し、その上食事をするなど考えられない。正直、将軍達の内心がどんなものであるか、想像すると少々恐ろしい。
 それもこれも、すべてはマグダレーナが許しているからできることだ。これだけ見ても、彼女の持つ有形無形の『力』が半端ではないことを感じていただけるだろう。
 緊張の余りか、ユークのぎゅっと結んだ唇には血の気が薄い。
 流が給仕の女性(それは昨夜『月影魔女』を名乗って戦ったあの女達だった)にホットミルクをもらうと、マグカップごとユークに渡してやる。
 顔を赤くしたユークが、立ったまま恐縮してそれを受け取るのを見て、マグダレーナがくすりと笑った。
 確かに微笑ましいとさえ言える光景だったが、彼女が笑ったのには別な理由がある。
 その理由は、後に記そう。
 テーブルに並べられた料理を一通り味わった所で、マグダレーナが口を開いた。
 「…さて流や。昨夜は見事な活躍ぶりだったらしいね」
 「ありがとうございます、マム。…しかし時間がかかりすぎました。まだまだです」
 「時間がかかったのは貴様のせいではなかろう」
 クルトが口を挟む。
 「『イーグル』が単独で突出せず、貴様のチームと連携していれば、殲滅はもっと速かったはずだ」
 「…」
 流は反論しない。実際、主な火力を強行偵察チームの『ロビン』と、首都の冒険者達に頼らざるを得なかった戦いは、流にとっても不本意なものだった。
 「…ではマグダレーナ様。イーグル・ファルコンの両チームは解体してタートルチームに吸収。両リーダーはそれぞれコンドル、スワローに預かりとする。…それで、よろしいですね?」
 「任せるよ、クルト。彼らにもいい薬だろう…授業料が、いささか高くついたがね」
 ふう、とマグダレーナがため息をつく。
 「この『ウロボロス4』も三世代目になるけど…これだけの被害が出たのは初めてだねえ…。『ファルコン』を襲ったのが何者か、まだ分からないのかい? クルト?」
 「申し訳ありません。今の所何とも…カプラガードにそんな腕利きがいるとは承知しておりませんし…」
 「『ウロボロス2』が反撃に出た可能性もあるが…。それにしてもたった3人というのが解せないねえ。プロンテラの市警と…首都の大手ギルドにも声かけな。私の名前を使っていいから」
 「承知いたしました、マグダレーナ様」
 クルトが将軍の一人に目配せする。「冬将軍(ジェネラル・ウインター)」が微かにうなずき、場を離れて出て行った。
 将軍を使い走りにするのだから、クルトの立場も階級以上のものがあるのだろう。
 そこへ口を挟んだのは流だった。
 「その事ですがマム。大佐殿も」
 クルトとマグダレーナが少し驚いて流を見る。
 「タートルリーダー。貴様、何か心当たりがあるのか?」
 「はい、…これをご覧下さい。ファルコンリーダーの身体から取り出された物ですが」
 流がユークから小さな包みを受け取り、テーブルの上に広げた。
 そこには、親指の爪をふた回りほど大きくしたような鉄片が一つ。
 飛爪だ。
 「…確か貴様の故郷の武器だな。『ファルコン』を襲った女剣士が使ったという…で、これが何だ?」
 いぶかしむクルトに、流が落ち着いた声で、
 「実は…これは私の許嫁のものです」
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