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第六話「Flash Memory」(3)
 ルーンミッドガッツ王国・首都プロンテラ。午後もやや遅めの時間。ウロボロス4宿舎の、石造りの廊下。
 「…少し遅れてしまいましたね」
 ロビンリーダーことジュリエッタが流の前を歩きながら、しかしくすくすと笑う。
 兄との約束であるお茶の時間に遅れた事が、むしろ嬉しいかのような態度だ。
 「急ぎましょう」
 流はそう言いながらも、ジュリエッタをせかす事はせずに歩いている。
 流の部屋から1ブロック以上離れた、コンドルリーダーの部屋が目的地だ。
 「申し訳ありませんわ。私の身支度が遅いばっかりに」
 「女性の身支度には時間がかかるものです」
 例によってどうでもいい応え。だが、
 「特に貴女のような美人はね」
 何とお世辞のおまけがついた。
 前を歩くジュリエッタがわざわざ振り向いて、素晴らしい笑顔を向けざるをえないぐらいの事態だ。
 「…まあ、嬉しいわ。…流」
 「その呼び名は二人きりの時だけに。ジュリア」
 「はい」
 くすり、と笑ったところで目的地に着いた。ジュリエッタが軽くドアをノックすると、短い返事がある。
 まずジュリエッタが、続いて流が部屋に入った。
 流の部屋と同じ間取りの、広めのリビング。だが、こんな無骨な軍隊の宿舎でも、主の性格というものは個性として出るらしい。
 流の部屋にはないテーブルクロス、それも上質な薄緑色のそれと、色を合わせたカーテンの爽やかな印象だけでも、いかにも殺風景な流の部屋とは全く雰囲気が違う。
 「ようこそ、タートルリーダー。…若干の遅参だが、まあ許そう。軍事行動ではないからね」
 その部屋の主は笑顔で、それもわずかに面白がっているような皮肉を混ぜるという、非常に高度な表情で彼らを出迎える。妹もかなりの『技持ち』だが、兄もそれに劣らないらしい。
 『コンドルリーダー』、テムドール・クライテン。
 奇麗にセットされた金髪と、それが普段着らしいスーツ姿は、実に分かりやすい『エリート』の姿だ。一条流とて、彼を侮る連中が言うよりは遥かに高貴の家柄なのだが、このコンドルリーダーの分かりやすさはある意味万国共通と言えた。 
 「申し訳ない、コンドルリーダー」
 「いやいや。…ああ、ジュリア。チームリーダーを使い立てして悪いが、給仕を頼めるかい?」
 「はい兄さん。喜んで」
 ジュリエッタが笑顔で立ち上がり、茶を煎れにかかる。
 一見、仲の良い兄妹。
 だが流はついさっき、ベッドの中でジュリエッタから聞かされたばかりだ。
 彼女の、この兄に対するほとんど『憎悪』に近い想いを。
 『何もかも、兄の物なのです。私の物、と胸を張って言えるのはこの心と…バイオリンぐらい…』
 流の腕が太すぎて腕枕ができず、代わりに幼子のように身体を丸め、男の脇に身体を寄り添わせて彼女は言った。この身体でさえ、自分の物ではないと。
 『先に生まれた、それだけのことで。会社も、爵位も、両親の愛も、すべて兄のものです』
 自分はいずれ、会社のために嫁にやられるだろう。それだけの人生。
 『いつか…いつか兄から全てを奪い取ってやりたい…。そのために、私は力がほしい…。流…貴方さえ力を貸してくれれば…』
 野心を隠しもしない。流に対して、それを隠しても無駄だと判断したのか。
 あるいはそれさえも、彼女の『技』の一つなのか。
 『兄から奪った物は、結果としてすべて貴方の物になる…私も含めて…』
 沈黙したままの流に、ジュリエッタは小さく含み笑い。
 『隠すべき野望を、ずいぶん軽々しく口にする女、とお思いでしょう?』
 ふふ、笑い声が漏れる。
 『…兄に告げ口しても構いませんのよ…?』
 するり、と身体を滑らせて流の胸板、その『ぶ厚い』などという表現では追いつかないほど隆々と盛り上がった肉体の上にひょい、と上半身を乗せる。
 そして、流の顔を真上から覗き込みながら、
 『兄はどうせ、すべて知っていますから』
 そう言い放った表情。
 流の耳元まで流れ落ちる金髪と、その整った表情の中で、青い瞳だけが不気味な輝きを放っている。身体は情欲に火照っていても、そこだけはひどく冷えたままだ。
 不思議、というべきか、流は決してそれを嫌悪しない。
 それどころかこの若者は、むしろそういうあり方こそ自分の血に近いとさえ感じる。
 (…オレは元々、そういう性に生まれついたのだろう…)
 割と冷静に、自分をそう評する。彼自身も目的のために、瞳を凍らせることに何の抵抗もない。
 ただ違う事は。
 (オレには、あいつらがいる)
 亡き父の、母の、義父の。義妹達の。そして友の。
 彼らが自らの『生』に賭けた熱量、それがこの若者の心にも熱を宿らせた。
 火のない場所に、決して消えぬ温もりを運んだ。その温もりが集まって、ついにそこに火を灯した。
 決して消えない火を。
 『…どうか…私に力を…流…』
 ジュリエッタが、何かの呪術にも似た性技を流の肉体に流し込む。
 だが、流の心を呪縛する何の効果もない。 
 (ウチの義兄妹とはえらい違いだな…だが貴族だ何だの兄妹など、皆こんなものなのだろう…)
 当の流ときたら、呑気にそんなことを考えていたのだった。
 テーブルに、茶が来た。
 それぞれの目の前にカップが置かれ、ジュリエッタがポットから茶を注いでいく。
 「…タートルリーダー。改めて、アタックチームへの昇格おめでとう。ついでに…我が妹殿まで手に入れたようだね?」
 コンドルリーダーがにっ、と唇をつり上げてみせる。
 「ありがとう、コンドルリーダー。サポートチームからいきなりアタックは不安もあるが…『勝利の女神』がついてくれるのは心強い」
 流が受けるのを、ジュリエッタが聞きとがめる。
 「勝利の女神だなんて…それは貴方の方ですわタートルリーダー。私にとっての、勝利の守護神…」
 「おやおや」
 コンドルリーダーが苦笑する。
 「我が妹殿ときたら、もうすっかり君の崇拝者らしいよ」
 「身に余る光栄だ。…オレの事は『流』と」
 「では、私の事も『テム』で。…おっと、ただしこの3人だけの時にしてくれ。私をそう呼ぶのは、家族だけなんでね」
 「もう家族同然、ですわよね? 流?」
 ジュリエッタが微笑み、給仕を終えて席に着く。
 「さて…流。本題に入ろう」
 「…ああ」
 「キミと僕、そしてジュリア。タートル、コンドル、そしてロビンの3チームが揃えば、今やウロボロス4の全戦力の8割を掌握できる」
 コンドルリーダーの表情はにこやかで、それこそ会社の新製品でもプレゼンするかのようだ。
 「…それで?」
 「以前に話した通りだ。キミと僕、それに妹の三人で…ウロボロス4を乗っ取らないかい?」
 新製品の目玉機能でも説明するかのような明るさ。
 「その話は断ったはずだが」
 流がコンドルリーダーの視線を強く跳ね返すが、その明るさに一点の曇りもつけられない。
 「あの時とは、事情が変わっただろう? キミは今や、ウロボロス4に2つしかないアタックチームの片方を掌握している…それに、今朝、キミは知ってしまったはずだ」
 「何をだ?」
 「あの女…マグダレーナ・フォン・ラウムさ」
 ふふん、とコンドルリーダーが肩をすくめる。仕草そのものは軽薄だがその容姿と、内面から溢れ出る自信がそれを打ち消す。
 「マグダレーナ様が何だ?」
 「まがい物に『様』はいらないよ、流」
 あくまで品良く、優雅に見えたその顔に暗い、しかし力に満ちた何かが差す。
 それは美しい青空に突然、猛烈な雷雲が出現したような印象を与えた。
 「『あれ』は私の祖父たちが『ウロボロス8』を支援して作った実験動物だ。ただ余りに出来が良すぎたために、周囲があれを崇拝の対象にしてしまった。愚かな事だ」
 「…」
 流が今朝、朝食の席で知ったばかりの機密事項を、コンドルリーダーは既に承知だったらしい。
 「僕はウロボロス4での任務を終えた後、現在欠番になっている『ウロボロス8』を復活させるつもりでいる。前任者『速水厚志』は死亡しているから、次は僕自身がね」
 青空に出現した雷雲は、今や閃光と共に無数の稲妻を放ち始めている。
 「流。キミがウロボロス4となり、僕に強力してくれるならば、9つのウロボロス全てを手に入れる事も夢じゃない。その意味がわかるだろう?」
 そして稲妻は落ちる。
 「僕と、世界を手に入れないか、流」
 
 
 窓の外の月が、少し高く昇った。
 やっとのことで落ち着いたクローバーがぼそぼそと醜態の謝罪をし、これから眠りにつくという香をベッドに残して部屋を後にしてから、しばしの時間が経っている。
 ヤスイチ号のエンジン音だけが遠くに響く、静かな部屋。
 ぐすっ。
 ぐすっ。
 ぐしぐし。
 ぐすっ。
 「…ハナコちゃん?」
 「…ぶぁい…」
 はい、と返事をしたつもりだろうが、涙と鼻水でとてもそうは聞こえない。
 ぐしっ、ぐしっ。
 香が放ってやったちり紙でびすびすと鼻をかみ、ようやくまともな言葉に戻る。
 「…ハナコは…ハナコは間違っていました…」
 「…うん」
 「船長さんは、悪い人じゃなかったです…。とっても良い人です…」
 「うん」
 香には、ハナコがかなり前から起きていて、3人の話を聞いていたことはお見通しだ。
 がば、と花子がベッドから飛び起きる。
 「ハナコは! ハナコはひどい事を言ってしまいました! 怪しい奴! とか海賊! とか…。いっぱい暴れて壊しちゃったし…あ、謝らないといけません!」
 「そうね」
 「…許してもらえるでしょうか…」
 しょぼん、とうつむく。
 「…ハナコちゃん」
 「…はい」
 「…大丈夫。もともと、怒ってなんかないと思うわ」
 たった半日ほどで、香の優しい物言いもすっかり板についたようだ。
 ハナコの顔がぱあっ、と明るくなる。
 「はい! 謝ってきますっ!」
 「あ、その前に」
 「はいっ! 何でしょう、お姉様!」
 ドアへ向おうとした花子がくるん、と身体を回して帰って来る。
 「そろそろ私、眠るから。…多分、1日か2日は起きないと思う」
 「はい」
 「その間、私の身体をお願いね。それから…」
 「…はい?」
 香は少し微笑む
 「『お姉様』はやめましょう。香でいいわ。…友達、でしょう?」
 「…! は、はいっ! か、香さん」
 「はい、ハナコちゃん。…じゃあ、おやすみなさい」
 「おやすみなさい、香さん」
 言うなり、ぱた、と香はベッドに倒れた。と思った時には、もう眠っている。
 ハナコはかいがいしく、香の身体に毛布をかけたり、枕を直したり。
 ひとしきり世話を焼いておいて、ふむ、と納得の表情。
 そして。
 「…よしっ!」
 だっ! と開いたドアをくぐり抜けて走り出す。

 「せ! ん! ちょー! さ! あ! あ! あ! ん!」

 これでもかという大声でクローバーを呼ばわりつつ、どどどどどーん! という勢いで廊下を走り抜ける。
 「な、何だなんだ…って! は、ハナコちゃん!?」
 「ああ! い! た! あ! あ! あ! 」
 びゅーん、とハナコが加速。
 「ちょ! ぶつかるぶつかる…うぉごふぅ…!」
 ずどぉん! と、ハナコの身体がクローバーの土手っ腹に激突した。さしものクローバーが数メートルも廊下を滑走し、ひっくり返る。
 コクピットに通じる、左右に大きな窓のある広いブリーフィングルームだ。談笑したりゲームで暇を潰していたスタッフたちがの視線が、何事かと集中する。
 「船長さん! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」
 「いでででで…な…どうしたんだよハナコちゃん? あーあー、ほら涙と鼻水拭いて」
 「は、ハナコのことはいいですっ! ひどい事言ってごめんなさい! いっぱい暴れてごめんなさいいいいい!!」
 クローバーを押し倒した格好でだあー、と泣き出す。
 最初は困惑顔だったクローバーだが、状況が分かって来ると表情を緩めた。
 「いいってハナコちゃん。確かにあっしのツラは怪しいしねえ。いきなり女の子の前に顔出しちゃいかんよな」
 わはは、と笑って、大きな手でハナコの頭をなでてやる。
 どうにも微笑ましい光景に、スタッフの間にも和んだ空気が流れた、その時だった。
 「…?」
 クローバーがハナコの異変に気づいた。
 ハナコの目が、窓の外に釘付けになっている。
 「…? どうした? ハナコちゃん?」
 「…あれ…何でしょう…?」
 「ん? 何か見えるのか?」
 クローバーがどっこいせ、と身体を起こすと窓の外を覗く。
 次の瞬間。
 「!」
 その身体ががば、と窓に張り付いた。目を剥き、口はわなわなと震えている。
 「…船長…さん? あれ…何ですか? 何か飛んでます…」
 ハナコが、急に様子の変わったクローバーに、心配そうに問いかける。
 だがその時には、その場にいたスタッフ達も窓に張り付き、口々に異常を唱え始めていた。
 「ばかな…!」「ヤスイチ…? しかしあれは…!」「そっくりじゃないか…!」
 月光の中、ヤスイチ号と並ぶように飛行する物体。
 それは、純白の船体の葉巻型飛空船。
 まさにヤスイチ号そのものだ。
 クローバーの口から、小さなつぶやきがもれる。
 「…『セロ』…」
 言葉に混じった混乱と絶望を感じ取り、ハナコが息をのむ。
 バチッ!
 窓の外が一瞬、稲妻に照らされたような閃光にさらされた。全員の目が一瞬、真っ白に白熱する。
 その視界が戻った時、クローバーを含む全員が驚愕の声を漏らしていた。
 ヤスイチ号そっくりの船体の、その後部から光が吹き出している。後方から前方へ、船体を抱え込むように前傾して伸ばされた光の翼は、ちょうど12枚。
 その圧倒的な輝きの美しさ、力強さの前に、天上の月の姿さえ霞む。
 「…エネルギーウイング・『ルシファー』…封印を…解いたのか…!」
 クローバーが苦いものでも飲み下すようにつぶやくのと、ヤスイチ号の船内に声が響くのが同時だ。
 「…聞こえているか? クローバー船長。…私だ」
 「…プロイス議長!」
 船内放送のスピーカーから流れてくる声にクローバーが応える前に、スタッフ達が混乱した声で反応した。
 「…そこにいるな? クローバー?」
 「…ああ。…プロイス…お前が…『セロ』を飛ばしているのか?」
 「そうだ」
 その声は意外に若い。そして自信と意志に満ちあふれている。
 「そして全ての真実を知った。よくも今まで我々を騙してくれたな、クローバー」
 「…! …一体いつ、どこで『セロ』を!?」
 「君がそれを知る必要はない。『容疑者』である君はね」
 「!」
 背後で微かなドアの開閉音。コクピットに通じるドアだ。
 と同時に、コクピットから武装した数人のスタッフが飛び出しクローバーを取り囲む。
 はっ、とクローバーが振り向いた時には既に、数本の剣やら短剣を突きつけられている。
 クローバーが動きを止めた。が、それは突きつけられた武器のせいではなかった。
 「…ヴィフ…」
 武装したスタッフを指揮しているのは、ヴィフだった。
 「…クローバー船長。動かないで下さい」
 その声は震えている。
 「…革命評議会、プロイス・キーン議長からの指令です。貴方を『Safety First号』…いえ『飛行戦艦アグネア』の船長から解任し、拘束します」
 その目はまっ赤だ。
 「…貴方は評議会への虚偽報告と、革命行動への怠慢の容疑で革命裁判にかけられます」
 その唇は真っ青。
 「…ヴィフ」
 クローバーの顔もしかし、若者に負けず劣らず絶望の色に染まっていた。
 「…船長…どうして…」
 若者の口から、千切れるような言葉が漏れる。
 「…どうして僕らを騙したんですか! 船長!」
 「…騙したつもりはない…」
 「騙したじゃないか!」
 その声はもう、泣き声に近かった。
 「王国を倒して故郷に帰る…それが僕の夢だって…知ってたでしょう…? どうして…」
 「…知ってるさ…だが、そのために何人殺す…? 何人殺される…?」
 「子供扱いするな! 裏切り者!」
 その叫びこそ、見捨てられた子供のようだ。
 「…容疑者の言葉に耳を貸してはいけない、ヴィフ。速やかにクローバーを監禁せよ」
 「はい、議長殿。…連行しろ!」
 声だけの命令にヴィフが応え、クローバーを取り囲んだスタッフに指示を出す。
 が、異変が起きた。
 「駄目ですっ!」
 クローバーに突きつけられた刃物の前に、立ち塞がったのはハナコだ。
 「ヴィフさん! あなた間違ってます! 船長さんはいい人です! 嘘だってついてません。…全部…あなた達のためにしたことじゃないですか! 分からないんですかっ!」 
 ハナコの剣幕にしばしたじろいだヴィフだが、すぐに硬い表情に戻る。
 「ハナコちゃん。これは僕たちの問題だ。そこをどいて、部屋に戻って」
 「どきませんっ! どうしてもって言うなら…ハナコはまた暴れますっ!」
 ざわっ、とスタッフの間に動揺が走る。昼間のハナコの暴れっぷりを知っているなら当然だ。
 さすがのヴィフの額にも、イヤな汗がにじむ。
 しかし、助け舟は意外な所から出された。
 「ハナコちゃん。そこをどくんだ」
 クローバーだ。腹をくくった声。
 「船長さん! で、でもっ!」
 「キミにもしもの事があったら、香姫様はどうなる? もうお寝みなんだろう?」
 「う…」
 ハナコの脳裏に、ベッドで眠る香の姿が浮かぶ。同時に、その肩に乗せられた信頼と責任の重さも感じてしまう。
 「ヴィフ。オレは抵抗しない。さっき香姫様にお預けしたばかりのこの命だが…やはり因果応報というものだろう」
 クローバーの表情に、暗い決意が宿る。 
 「だがヴィフ、香姫様とハナコちゃんは無関係だ。無事にお望みの場所にお送りする、って約束してくれ」
 「…わかりました」
 「…」
 力の抜けたハナコを、今度はクローバーが庇うように前に出た。
 「…手錠を」
 ヴィフがもう、何の感情も感じられない声で命じる。
 不気味なほど大人しく、クローバーが両手を出す。
 その手に、冷たく銀色に光る手錠ががちゃり、と落とされた。
 その瞬間、クローバーの二つの拳が真っ白になるほど強く握りしめられるのを、ヴィフが、そしてハナコが見つめていた。

 つづく。
中の人 | 第六話「Flash Memory」 | 00:25 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
ユークたんハァハァ(何

映像化したら楽しいだろうなぁ・・・だれかしてくれないかな・・・ハナコちゃんとかスピード感でそうだな!

そして無代さんはいつになったらでてくるんですか・・・!(笑
主人公無代さんじゃなかったのか。。。!

posted by (*`・ω・) ,2009/12/01 3:55 PM

 落ち着いて下さいw

 無代を早く出したいのは山々なんですがw 彼が絡むはずのキャラクターがまだ位置につけてないんですよ。
 他のキャラクターが暴れすぎてw

posted by sizuru ,2009/12/08 8:13 PM










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