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第七話「Wings」(3)
 それは『戦闘』というには余りにも奇妙な戦いだった。
 ハナコに『動くな』と指示した『香』はひょい、とベッドを降りると、ハナコを押さえつけている男達の所へすたすたと歩く。
 その両側から剣と短剣が襲いかかった。どちらもフェイントを織り交ぜた、しぶとく厄介な攻撃だ。
 だが、『香』がどこをどうしたものか。
 ぽき。
 間の抜けた音と共に、剣が鍔元から『折れた』。
 ぼろり。
 これまた間の抜けた音と共に、短剣の柄と刀身が『分解』した。
 『武器破壊』、だがあまりにも鮮やか過ぎて、まるで手品か魔法のようだ。
 「?!」
 一瞬で武器を失った二人の敵に、『香』の掌底が叩き込まれる。
 狙いは顎。
 かくん! かくん! と二つの顎が頭ごと変な方向にひん曲がり、一瞬で意識を吹き飛ばされる。
 2つの身体が、膝から垂直に床へ落ちる。
 体重の軽い『香』の体では本来、打撃技の威力はあまり期待できない。香が普段、手刀による『斬撃』あるいは『刺撃』を使い、しかも人体の急所である経絡を狙うのはそのためだ。
 だが、この『香』の掌底はそのスピードと狙いの正確さで、馬鹿にできない威力を相手に与えることができるようだ。
 言うなれば、ハイスピードで打ち降ろされるミニサイズのハンマー。
 「…な…?!」
 ハナコを6人掛かりで押さえつけていた男たちが、一瞬その拘束を緩める。ハナコには脱出の好機。
 (…動いちゃ駄目…動いちゃ駄目…)
 しかし、ハナコは動かなかった。『動くな』という『香』の言葉を、無意識に守ったのだ。
 そしてそれは正解だった。
 ぽき。
 がしゃ。
 ぽろ。
 ぽこ。
 べちゃ。
 間の抜けた音が連続して響く。
 例によって、男たちの武器があっさりと破壊されたのだ。
 武器を失ってもなお、反撃しようとした者もいる。
 だが『香』の狙い澄ました掌底を顎に喰らい、またもや膝から垂直に落ちる。
 ものの数十秒ほどで、医務室の中で意識のあるのはハナコと『香』だけになった。
 「…うーん、やっぱり『女の人の体』は使いにくいなあ…」
 『香』がしげしげと『自分』の手を眺めてつぶやく。
 「…こっちを『姉さん』がやってくれればよかったのに…あ、でも魂接合のサポートは姉さんじゃないと無理か…」
 なにやらぶつぶつと文句を言っている。
 「…あの…?」
 ハナコが体を起こしながら、おずおずと『香』に話しかける。
 「ん?」
 「…あなた…誰…?」
 そう訊ねられた時の『香』の表情が、ハナコの目にずっと後まで焼き付いた。
 それは、とても懐かしそうで。
 同時に、とても優しく。
 そして、少しだけ寂しそうだった。
 なぜこの人がそんな目で自分を見るのか、ハナコには分からない。
 「…あの…?」
 「…ごめん…。あのね、『ハナさん』。今は、ボクが誰なのかは言えないんだ。…ルール違反になっちゃうから」
 ハナコには『香』が何を言っているのか半分も理解できない。
 が、『香』の表情が本当に済まなそうで、そして辛そうに見えたので、それ以上訊ねることができなかった。
 「でもコレだけは言える。ボクはハナさんの味方だよ」
 にかっ、と白い歯を見せて笑う。
 元々が微笑することさえ珍しい香の顔だけに、その笑い方をすると凄まじい違和感だ。
 が、決してそれが似合わないわけではない。むしろ普段の香では絶対に見られない意外な、そして強烈な魅力を放っている。
 「そしてクローバー船長と、ヴィフさんと、ヤスイチ号と…『この人』の味方さ」
 最後に『自分の体』を指差す。
 親指。
 そしてまた、にかっ。
 「…ぷっ」
 ハナコは吹き出してしまった。香の体でそんなことをされると、どうにも違和感がおかしな方向へ行ってしまう。
 (…この人、ずるい)
 そう思う。
 この顔で、そんな笑い方をされたら、信じないわけにはいかないではないか。
 「さあ、ぐずぐずしちゃいられない。船長とヴィフさんが危ないんだ。助けなきゃ。ハナさん。こいつら縛って、船の外に放り出すよ」
 「…は、はいっ!」
 ハナコは素直にうなずいてしまう。
 『香』が、壊した敵の武器を使ってシーツを裂き、それを撚り合わせて紐を作る。元はただのシーツにもかかわらずやたらと頑丈そうで、しかも異常なほど制作の手際がいい。男達全員を縛り上げるのに十分な長さをあっという間に確保。しかもまだかなりの長さが余る。
 ハナコは出来上がった紐で片っ端から男達を縛り、その怪力でまとめて担ぎ上げた。担ぎきれない何人かはずるずると床を引きずる。
 「操縦席へ行くよ。船長達を助けるには、ヤスイチの力が必要なんだ」
 廊下に出ても、誰もいない。船内は彼らの他には無人のようだ。微かに、倉庫からペコペコの鳴き声がするのは、クローバーの愛鳥だろう。ちゃんと餌をもらえているのか、ハナコは不安になるが今はどうしようもない。
 ハナコが起こした騒ぎを聞きつけられた様子はなく、援軍の気配もないのが救いだった。
 途中の乗降ハッチから男達を放り出す。
 さすがに船外にいた連中が異変に気づくが、『香』がさっさとハッチを閉じ、内側からロックしてしまう。
 「…うあ、このロックシステム『新品』だ…。パスワード、デフォルトのまんまだよ、もう…」
 何かまたぶつぶつ言っている。
 たどり着いた操縦室のドアはロックされていた。だが、『香』が扉の側のボタン群をちょいちょいと操作すると、あっさりと開いてしまう。
 「…だからパスワードぐらい変えろって…」
 さっさと操縦室に入ってハナコを迎え入れると、ドアを閉めてロック。
 ハナコは初めて入る、ヤスイチ号の操縦室だ。
 内部は以外と広く、窓は両側に2つ。正面は窓ではなく、巨大なモニターになっている。
 席は4つ。
 モニター前に二つ並んでいるのが正、副の操縦席。その後方にあるのが通信と火器管制席だ。
 「…うあ、後ろの2席、カバーかかったまんまだ…。そーだよなー。『この時代』はまだ通信相手いないし…火器だって無いもんなー」
 『香』が、何とも言えない様子で室内を見回している。
 「…あの…あなた、ヤスイチ号を知ってるんですか…?」
 ハナコの質問を受けて、『香』はぽりぽりと頭をかいた。
 「うーん…知ってると言えば知ってる。でも、『今のヤスイチ』に会うのは初めてなんだ」
 「??」
 「…ごめん、詳しくは説明できない。でも、ヤスイチはボクをちゃんと知っているよ。『彼』には時間の流れなんか関係ないからね」
 にか、と笑ってみせる。
 「ヤスイチ号はね、ホントに本気を出せば、時間を超えて過去でも未来でも、この世界とは全然違う別の世界にだって行けちゃう。言ってみれば『機械の神様』なんだよ。実際、彼はこの世界とは違う世界からやってきたんだ」
 『香』が、操縦席に向って歩きながら語る。
 「それをサポートするために、彼の『記憶』は『超空間通信』を使って、どこの世界にも、どこの時間にも属さない『場所』にある『無限記憶体』に蓄えられる。だから過去に経験した事も、『これから経験する事』も、彼は全部知ってる」
 「???」
 ハナコは目を白黒させるばかりだ。
 「でも、『この時代』のヤスイチ号はまだ半分眠っている。彼を目覚めさせるために、ボクは来たんだよ」
 「????」
 もう何が何だかさっぱりわからない、というハナコの顔に向って、にかっ、ともう一度笑うと、『香』は正面のモニターに向き直った。席には座らず、立ったままだ。
 
 「さあ『ヤスイチ』。『ボク』が『誰』だか分かるかい?」
中の人 | 第七話「Wings」 | 17:46 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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